洋菓子店や和菓子店の集客や販促の方法

 洋菓子店、和菓子店の集客や販促の方法について最低限取り組んでいただきたいことを紹介します。

支援先のフルーツタルト苺 byパティスリー パルテール

目次は以下になります。

1.洋菓子店と和菓子店とは
2.洋菓子と和菓子の商品開発のポイント
・この店と言えば「これ!」と言われる商品を開発しましょう
・健康に配慮した商品を開発しましょう
・地域を巻き込める商品を開発しましょう
・手作業や手間を大事にした食感やシズルを開発しましょう
・賞味期限は可能な限り短くしましょう
・原材料は良いものを使い「しっかりと」伝えること
・原材料に果物や野菜を使う際は「自然栽培」農法作物を優先する
・その他の素材利用のポイントは低温・非加熱
・売れ筋やロングセラーになりやすい色使いを商品に取り入れる
3売場での商品の訴求方法について
・主要原材料やフレーバーを展示陳列する
・POPに売りの理由を明示する
→おススメの理由
→おススメを端的に説明するキャッチコピー:
・食欲や買い気を描きたてる色を配色した店内装飾 
4.洋菓子店と和菓子店の主な集客や販促策
・SNSを活用しよう
(Instagram)
(Facebook)
(Twitter)
・Googleビジネスプロフィールを運用しよう
・看板設置や掲示のコツ
・チラシ作成のコツ
・キャッシュレス決済を実施しよう
・インフルエンサーに試食してもらいweb認知度を高める
・ニュースリリースは必ず打つ
・新商品モニターを募集をする
・誕生日や節目需要の囲い込みを怠らないようにしよう
・周年記念イベントを実施しよう
・ポイントカードはポイントを貯めたくなるようにしよう
・地域のカフェやレストランを営業しよう

1.洋菓子店と和菓子店とは

 ここで言う洋菓子店とは、一般的にケーキや焼菓子、アイスクリーム、ジェラート、シュークリーム等で西洋起源のものを取り扱っているお店を指します。和菓子店とは、逆に日本由来のもので、起源は海外でも、日本の独自文化として発展した御菓子を取り扱っているお店を指します。饅頭、カステラ、大福等です。例えば饅頭は中国が起源ですが、酒饅頭等、定着していますので、和菓子店に含みます。いずれにしても、厳密には分類していませんので、御理解ください。実際、折衷型の御店も多いのが実情ですね。明確に分類できる時代では無いのかもしれません。

支援先の苺大福 by くろまる

 以下に、集客や販促策について紹介しますが、お菓子を製造して小売しているお店に「実施すべき」内容ですので、御覧いただけましたら幸いです。

2. 洋菓子と和菓子の商品開発のポイント

・この店と言えば「これ!」と言われる商品を開発しましょう

 洋菓子店や和菓子店が繁盛するためには、まずもって取り組まなければいけないことは、「このお店は、苺のショートケーキがおススメだよ!」

「このお店は、フルーツのタルトがおススメだよ!」

「このお店は、米粉生地のロールケーキがおススメだよ!」

支援先の米粉生地のロールケーキ by 菓子工房エスポワール

 このようなイメージが、お客様や地域に定着できるかが鍵を握ります。ですから、大手の洋菓子チェーンや和菓子チェーンのように、品揃えが豊富といったPRではなく、「これだけは、他店に負けない!」といった商品を開発するようにしましょう。これから先、何度も紹介しますが、大手と同じような取組は、避けなけらばなりません。スタッフも仕入量も敵うわけないのですから、品揃えを増やし、価格競争だけは回避しなければならないということを肝に銘じてほしいのです。

 商品開発を行う際、当店の売りの商品(当店と言えば、これ!)がわからない場合は、その商品を見つける方法があります。こちらの記事(⇒主力商品を既存の中から発見する方法:多属性態度モデルの利用)を御覧ください。また「当店と言えば、これ!」は、お店の存在価値そのものです。お店の存在価値は何なのかを徹底的に検討することで、売りにしなければならない商品イメージが起案できるものです。存在価値からアプローチしたい場合は、こちらの記事(⇒商品や御店の存在価値の作り方)を御覧ください。

・健康に配慮した商品を開発しましょう

 開発しようとする商品は、可能な限り、健康に配慮した仕様を組み込むことをおススメします。当所の支援先においても、あるいは種々の2次データにおいても、洋菓子や和菓子において「健康志向」は顕在化したニーズと言えます。具体的には以下の論点です。

 →甘さ抑えめ(砂糖の使用量を減らす)

 →人口甘味料の使用を減らす(避ける)

 →合成着色料は使わない(減らす)

 →食品添加物の使用を控える(減らす)

 →野菜や果物の使用量を増やす(結果的に相対的な小麦の使用量を減らす方向)

 →糖質を減らす方向

・地域を巻き込める商品を開発しましょう

 開発しようとする商品は、可能な限り、地域や近郊の果物や野菜を使ったり、可能な限り、お店から近い地域の食材を優先して使うようにしましょう。あまり考えずに業務用の卸に野菜や果物を運んでもらうということを避け、可能な限り「顔の見える生産者」から仕入れを行うようにします。考え方は、大手の洋菓子チェーンや和菓子チェーンが安易に出来ないきめ細やかな仕入れをすることです。例えば、苺大福を売りの商品にする場合、「△△市の生産者 田中さんの苺を使っています」と明瞭にPOP等で紹介できるということです。

 余談ですが、コーズリレーションシップマーケティングも有効です。いわゆる寄付型の商品ですね。寄付型の設計のポイントは、商品に関係性の深い「地域や社会課題の改善に貢献」できることです。例えば、地域の米生産現場に川から水を引き入れており、その川の汚染や生物多様性が地域課題だったとします。仮にその米粉を使用した「米粉ロールケーキ」を販売しているのでれば、「米粉ロールケーキの売上の1%を、この河川の清掃活動や生物保全に携わるNPOに寄付します」といった設計をすると良いでしょう。

・手作業や手間を大事にした食感やシズルを開発しましょう

 商品を開発する際には、可能な限り、効率化しないで手間をかける、手作業を取り入れるといった視点を大事にしましょう。効率化は大手の洋菓子チェーンや和菓子チェーンが得意とするところです。同じような取組をしたところで、そもそも価格では敵わないのです。近年は、御存知の通りコンビニエンスストアのスイーツの品質レベルが非常に高いです。「この内容で、この値段ならお得!」といったものばかりです。地域に根差した洋菓子店や和菓子店が、効率化に取り組むということは、コンビニエンスストアに代表されるような大手に戦いを挑むのと同じです。従って、可能な限り手作業を取り入れ、大手が出来ない装飾やシズル、食感を産み出せるよう、労を惜しまず、商品化をすすめていきましょう。

 仮に効率化に取り組むのであれば、「商品の売りのポイントを、手間を掛けて実現するために、時間を確保しなければならない。その時間を確保するために、あまり差が出ない工程を「効率化」する」といった姿勢で取り組んでください。あくまで、手間を掛ける時間を増やすためです。下記画像はパウンドケーキを製造販売している小規模店が、設備投資で効率化した末路の事例です。何の特長も見当たらない残念な姿になっています。小さな洋菓子や和菓子店が効率化すると、このような事例が後を絶たないのです。

支援先の失敗事例 パウンドケーキ

・賞味期限は可能な限り短くしましょう

 地域の洋菓子店や和菓子店で生もの(ケーキ等)を購入するお客様が求めていること、ここを考えたことはありますか。

 既述の通り、効率化で魅せるシズルや食感には限界がありますから、小さな洋菓子店や和菓子店でしか出来ない「手間を掛けることで実現できるシズルや食感」を求めていることでしょう。ただ、これだけでは不充分です。

 もう1つ忘れてはいけないことは、賞味期限や消費期限であることを肝に銘じましょう。先に紹介したコンビニエンスストアをはじめ、大手製パンメーカーや、洋菓子チェーン、和菓子チェーン等のスイーツの賞味期限や消費期限を見れば、そのあたりが明白になってきます。例えばコンビニエンスストアで確認いただくとわかるのですが、概ね翌日か翌々日が賞味期限や消費期限となっていて、期間が長いです。これは所与の食品添加物等を使用することで実現します。何度も言いますが、小さな洋菓子店や和菓子店は、大手と同じことをしていては、勝てるものも勝てません。ですから極端、真逆の発想を持つことが重要です。賞味期限や消費期限は、可能な限り「短く」する、「鮮度」を売りに展開する、ここが重要です。こうすることで概ね上手く事が運びます。つまり「消費者が地域の洋菓子店や和菓子店に求める要素」に「鮮度」があることを念頭に置いて取組んでください。

 例えばクリスマスケーキ。大手はスポンジを9月頃から製造し、冷凍保管するようになっています。クリスマスケーキに仕上げるために、クリスマス直前で解凍し、デコレーションすることで完成させます。インターネットや種々のメディアが発達したことで、このような状況は、一般の多くの消費者が知るようになっています。ですから、小規模な洋菓子店は、事前予約制を併用する等、数量を限定し、出来立てや作り立てを提供できる方向に、取組を加速させてほしいと思います。そういった出来立てや作り立てといったPRは、単価を上げる要因にすることも出来ますし、且つ、他所とは圧倒的に鮮度が違う(風味が違う)商品に仕上げることができます。また、先に紹介した健康志向に配慮した商品との相性も良いなど、小さな洋菓子店や和菓子店だからこそ!といった取組が叶うと言うものです。下記画像は、支援先のひな祭りケーキです。予約日に焼き上げて提供していますが、断然、風味が違うと人気です(クリスマスケーキも同様に人気です)。

支援先の 「ひな祭りケーキ」 by ラミエット

・原材料は良いものを使い「しっかりと」伝えること

 洋菓子や和菓子は、原材料の良い悪いが、食味や風味に大きな影響を及ぼします。それは職人の皆さんが、痛いほどわかっているはずです。例えばマーガリンをバターに変えるだけでも、劇的に風味や食味は向上するものです。実際、支援先の現場でも、マーガリンをバターに変更するだけで、お客様の満足度が大きく向上した!ということは多々あります。他にも、小麦粉、餅米、卵、牛乳、小豆、栗等々、健康視点で良いものを選択していく癖をつけましょう。

 例えば、卵は平飼いで有精卵、蜂蜜は蜂の採蜜エリアに農薬や除草剤がまかれていない品質等、栗の渋皮煮は、中国産の溶剤で皮を溶かしたものではなく、国産栗を仕入れ自店で皮むきし製造する等です。良いものを選べば、間違いなく風味は向上します。無論、値付けとのトレードオフですから、全てコダワルというのは難しい側面もあるでしょう。しかしながら、小さい洋菓子店や和菓子店は、「消費者は大手よりも高品質を求めている」ことを自戒して取り組んでいただきたいのです。光明が見えることが多いので、おススメです。

 下記画像では、左が中国産で溶剤で皮を溶かした渋皮煮の栗使用、右が秋田県産の善兵衛栗を使用し、自社で渋皮煮を製造して利用したものです。価格は2倍近くに跳ね上がりましたが、販売点数は落ちませんでした。

・原材料に果物や野菜を使う際は「自然栽培」農法作物を優先する

 自然栽培という言葉を聞いたことがありますか。これは無農薬、無肥料、無除草剤で野菜や果物を栽培することを指します。こういった作物は、野菜や果物本来の野性的な風味や酸味が特長と言えます。農作物の中では頂点と言って良い栽培方法でしょう。また春菊やパクチー、ミントといった香り系の食材の場合、他の農法に比べて、より強い香りを実現できていることが多いです。無論、慣行栽培や有機栽培がダメというわけではありませんが、支援先や種々の2次データにおいて、甘いスイーツに、こういった野性的な風味や酸味、香りが馴染みやすいといった特長がありますので、おススメしています。

 また、自然栽培の生産者の中には、より進んだ取り組みとして、在来種や固定種をタネとして自家採取しつつ、栽培されている生産者もいます。いわゆるF1種(ハイブリッド種)等に比べ、アレルゲン反応等、健康志向な方にも喜ばれる栽培法です。念頭に置いて、商品化の素材として研究してみると良いでしょう。

・その他の素材利用のポイントは低温・非加熱

 ほか、食材選択でより良いものを選ぶ際には、低温や非加熱といった訴求をしているものを選択するようにしましょう。食材の酵素やビタミン、ミネラル類を失活することなく保持した原料になりますので、健康志向の商品化には必須とも言える取組です。

・売れ筋やロングセラーになりやすい色使いを商品に取り入れる

 こちらの記事(⇒食品のパッケージデザイン等の色や飲食店の店内の色の決め方)で紹介しましたが、需要喚起をしたい場合、赤色の扱いは必須と言えます。また売りの商品はロングセラーにしていきたいでしょうから、ロングセラーになりやすい色(茶色、肌色等)の配色も重要です。そのあたりは、上記リンク先の記事を御覧いただき、商品開発のシズルに色が重要な要素であることを確認して、進めていただければと思います。

3. 売場での商品の訴求方法について

・主要原材料やフレーバーを展示陳列する

 苺ショートケーキや苺大福、フルーツタルトのように、明確に売りの果物や野菜が視覚的に確認可能なスイーツには当てはまらないのですが、視覚的にネーミングのみでは、到底、主要原材料等がわからないものは、必ず、その原材料を展示陳列するようにしましょう。例えば下記画像は支援先でのジェラート売場ですが、主要原材料を見せることで、一目で風味や食味が想像しやすくなります。ジェラートのようにショーケースで注文を受けるスタイルの場合は、売場のシズル感も大きく向上しますので、一石二鳥です。近年、スイーツは、Instagram等のSNSへの投稿が、飛躍的な集客に繋がる側面があります。そのような場面でも、写真映えしますので、ぜひ実施したいものです。

支援先のショーケースでの主要原料展示販売 by tig

・POPに売りの理由を明示する

 店内に足を踏み入れた方に何点お買い物をしていただくかが客単価の向上を担います。そうであるならば、POPは手抜きをせず、丁寧に掲示したいものです。考え方は何を買っていただくかをまず決めること。売りの商品を1つ、暮らしや利用シーンに馴染む商品を数点買っていただく、そのように設計すると良いでしょう。その上で、それぞれのPOPの記載内容を決めていきます。価格は当然なのですが、主に以下の論点を記載するようにしましょう。なおPOPの記載内容や作り方の詳細は、こちらの記事を御覧ください(⇒こちらクリック:近日公開)。

→おススメの理由

 何故売りの商品なのかの理由、利用シーンを踏まえておススメの理由、暮らしを踏まえておススメの理由、をそれぞれ記載します。具体的には以下のようになります。

何故売りなのかの理由:他店と違いこだわっている食材の話(果物や野菜、卵、小麦粉等)、こだわっている理由(地域や社会に貢献したい旨や、お客様の健康な食生活に貢献したい旨、貢献や配慮しなければならない責任感の背景等)

利用シーンや暮らしを踏まえておススメの理由:お夜食に適量、コーヒーに合う、紅茶に合う、手土産に恥ずかしくない、お歳暮やお中元に、ながら消費しやすい、持ち運びしやすい、パパが喜ぶ、子供の間食に等々

→おススメを端的に説明するキャッチコピー

例①

説明文:「甘味の強い△△苺」の風味を活かした「酸味のある甘味を抑えたクリーム」が絶妙なバランスのイチゴショートケーキ

キャッチコピー:他店で味わえない△△イチゴの病み付きスイーツ!

例②

説明文:受験生のお夜食に適量なサイズと適量な糖度を実現しました

キャッチコピー:受験生の味方のスイーツ登場!

例③ 

説明文:米栽培の資源である●●河川の汚染改善に貢献したい

キャッチコピー:●●川の汚染改善に貢献できる!

・食欲や買い気を描きたてる色を配色した店内装飾 

 こちらの記事(⇒食品のパッケージデザイン等の色や飲食店の店内の色の決め方)で紹介しましたが、客単価をあげるためには、色のチョイスや配色も重要です。特に赤色は需要喚起に必須ですし、茶色等の暖色は、ロングセラーなお店創りには不可欠です。売りの商品や品揃えの商品の色をベースに、店内の配色を考えていきましょう。絶対の抑えなければいけないのは、種々の2次データにもある以下の配色構成比です。

 赤色2割:暖色4割:ほか4割

 赤色は商品の食材として、洋菓子店では取り入れやすいでしょうが、和菓子店では難しいのが実情です。とは言え、需要喚起には必須な色ですので、店内の装飾や壁面の色等の指し食として活用するようにします。洋菓子店のように商品に赤色が取り入れれるようであれば、それも含めて店内(売場)が2割程度が赤色になっているかを確認するようにしましょう。

4. 洋菓子店と和菓子店の主な集客や販促策

 別の記事(⇒こちらをクリック)でも紹介しましたが、集客と販促策は別に行います。集客は見込客を獲得するために実施します。販促は、この機会に行きたい、行ってみたいと如何にして思わせるかを意識して、取り組みます。

・SNSを活用しよう

 SNSは、洋菓子店や和菓子店においても、やはり避けては通れない集客や販促ツールだと言えますね。以下に、支援先で事が上手く運んだアプローチを念頭に、ポイントだけ整理しましたので、一緒に確認していきましょう。

(Instagram)

 こちらは集客策に多いに活用できます。シズルが良い商品や店内装飾等を、上手に写真に収め、画像とともに投稿していくと良いでしょう。これまでの経験上、比較的若い女性層に効果が大きいと判断します。私の娘も高校時代から大学の今まで、どこかに食事に行くといった場合、Instagramを多用して、シズルからお店を判断しています。本人に聞いたところ、スイーツを探すのに、Google等のオーガニック検索に頼ったことがないそうです。

 また、洋菓子や和菓子はスイーツでもありますから、ハッシュタグ検索を意識し、スイーツと言った言葉に言い換えたり、カフェスイーツでカフェを探す方も多いため、そのような方々に検索されるよう、テキストやワードに気を配ったり、トライ&エラーを繰り返しながら、Instagram内で視認性の高い投稿テキストにチャレンジしていきましょう。

(Facebook)

 こちらは販促策に多いに活用できます。1度来店いただいた御客様とのコミュニケーションツールとして有効だと判断しています。お買い上げいただいた御客様に「お得情報はこちら!」「新作スイーツ情報はこちら!」といったFacebookページの案内をしつつフォローを誘発していきます。Instagramと違い、「この機会に行ってみよう!」「この機会に買いに行きたい!」と思っていただけるかが鍵を握ります。

(Twitter)

 Google等のオーガニック画像検索では、InstagramやFacebookに投稿した画像が見当たらないといった体験をお持ちの方も多いのでは無いでしょうか。実際、その通りで、Twitterだけは、しっかりと画像検索結果として表示されているようです。私は、インターネットやwebによる集客や販促策に明るく無いのですが、スイーツの検索において、画像はとても「行きたい!」「見てみたい!」「食べてみたい!」といった衝動に有効だと言えますので、オーガニック検索対策という側面では、ある意味、1番おススメなSNSなのかもしれませんね。

・Googleビジネスプロフィールを運用しよう

 今や対消費者向けの商売をする方には、外せないツールになったのでは無いでしょうか。MEO(Map Engine Optimization:地図エンジン最適化)と言う言葉が定着した近年、「近くの」といった視点でお店を探索する消費者行動や意思決定プロセスを踏まえると、必ず導入したい取組ですね。

 MEOについては、こちらの記事(⇒クリック)に事例と効果を紹介していますので、ぜひご活用ください。

・看板設置や掲示の留意点

 洋菓子店や和菓子店の看板設置のポイントは、「誰に見てほしいのか」「何がおススメの商品なのか」を実現することです。「見て欲しい方に何がおススメだよ」といったメッセージ性を持たせなくてはなりません。例えば下記は支援先のマフィン専門店ですが、見て欲しい方が「車利用客」で「おススメがマフィン」ということになります。見て欲しい方に「見えるのか」も重要で、この事例の場合、目の前の県道を通る車の法定速度を基準に「300メートル手前からドライバーに見える」文字のフォントやデザインを心掛けています。看板設置に置いて、「どこから見えるか」は「誰に見て欲しいのか」「何がおススメなのか」を知らせるために、重要なことです。このあたりの実現の仕方は、あらためてこちらの記事(⇒クリック:近日公開)で紹介します。

支援先の看板 by fujico muffin

・チラシの店外配布の留意点

 チラシ作成し配る際には、売りの商品を際立てつつ、そのチラシを持った人が、「この機会に行きたい!」「この機会に体験したい!」といった状況になっているかを意識しましょう。例えば、下記画像のチラシは、洋菓子店では無くクロワッサンとバケット、食パン(トーストパン)が人気のパン屋の事例になりますが、クロワッサン、バケット、食パンに対して、「この時だけだから、体験したい!」という仕掛けがあることに気付きます。

支援先のPowerPoint手作りチラシ by パンプレッソ

 この成功事例を参考に説明すれば、売りの商品等を「この機会に、更にお得に手に入れることができる!」「新しいフレーバーや食味が、この時だけ特別に体験できる!」といった仕掛けが重要だと言うことです。このパン屋の事例では、前者がクロワッサン ビジュの販売、後者が回数券という販促になるでしょう。洋菓子店や和菓子店でも有効でしたので、ぜひ参考にしてください。なお、集客や販促に有効なチラシの作成の仕方は、こちらの記事(⇒クリック)で紹介しています。活用ください。

・キャッシュレス決済を実施しよう

 国が推進するトレンドには逆らえないですよね。また、電子マネーの普及等、当たり前の世の中になってきました。私の肌感覚として、洋菓子店の方が和菓子店より、キャッシュレス決済が進んできているように感じます。お客様にとって利便性は確実に向上するものですから、二の足を踏んでいるお店は、ぜひ、この機会に導入するようにしましょう。例えば「これ3セットください」「クレジットカード使えますか。」「使えないのでしたら1セットにしてください」といったことありませんでしたか。和菓子店の現場では、よくある話ですよ。

・インフルエンサーに試食してもらいweb認知度を高める

 洋菓子店や和菓子店は、新商品を開発したり、売りの商品(スイーツ)をリニューアルした際には、ムリだとは決めつけずに、インフルエンサーに試食をしてもらうようにしましょう。例えば支援先ではカステラプリンを開発した際、スイーツブロガーに試食してもらえるよう、郵送でサンプルを提供していきました。結果、多くのスイーツブロガーが記事にしてくれたものです。郵送の場合、送料は掛かりますが、それ以外は原則無料ですので、ぜひ、ムリだと思わず、自らインフルエンサーにメッセージを送るなど、接触してみてくださいね。この支援先では「この方に書いてほしい」をリスト化し、計50件にアプローチしたところ10件も記事にしてくださいました。

支援先のカステラプリン by シードリングカフェ

・ニュースリリースは必ず打つ

 マスメディア・ネタとして、お菓子は非常に反響が多いものと認識されています。ですから、新商品や売りの商品をリニューアルした場合は、必ずニュースリリースを打つようにしましょう。「どうせ、取り扱ってくれないよ」と思わず、私に騙されたと思って頑張ってみてください。意外と勝率の良いことに気付くでしょう。例えば先ほど紹介した支援先のカステラプリンの場合、神奈川新聞など地元紙をはじめ、6社の媒体が記事にしてくれました。記者を招いて試食会を催すのも良いでしょう。このカステラプリンも実施しました。

 ニュースリリースに記載すべきことについては、こちらの記事(⇒クリック:近日公開)に詳しく紹介しておきます。洋菓子や和菓子店が発信するニュースリリースの記載事項のポイントは、「主原料の話題性」「開発に至る経緯」にあります。開発に至る経緯があるから、その主原料を使ったスイーツを開発した!といった筋書きが、記者の方やライターには喜ばれます。

・新商品モニターを募集をする

 常連さんの中から数名、モニターを募集するのも有効です。あるいは商圏内のキーマンをモニターに推薦するのも良いでしょう。キーマンを選択する際は、可能な限りカフェの店主、地域で認知度の高い会社の経営者等を選びます。「そんなこと難しいのでは?」と思わないで、接触してみてください。地域の商工会や商工会議所の担当者に主旨を説明して、紹介していただくのも実現性が高いです。

 支援先の事例では、地域で認知度の高い食品スーパーの経営者と、地域で人気のカフェの店主にモニターになってもらいました。結果、事あるごとに、その方々が口込んでくださるばかりではなく、SNSで新商品やイベントを積極的にシェアしていただく等、有効な関係が構築できています。

 モニターには、無料で試食をしてもらい、その際、一言でも二言でも、感想や評価をもらうようにしましょう。その内容を改めてwebサイトや自店のSNS等で紹介するもの反響があります。

・誕生日や節目需要の囲い込みを怠らないようにしよう

 お客様の御子息の入学式や卒業式、お客様の誕生日等、来店くださるお客様には必ずハレの日があります。そのあたりを念頭に置いた「受注生産スイーツ」の集客は、年中実施するようにしましょう。具体的には事例のスイーツ画像を示しつつ「誕生日ケーキ承ります」「ご入学のお祝いケーキ承ります」といった具合に、必ず店内に掲示したり、レジで精算された方に案内チラシを配布するようにします。誕生日や節目需要は、必ずお客様の購買意欲を盛り上げるものですし、そのハレの日に自店がかかわれるか否かは、お客様との関係性構築において、最重要だと思っていただいても結構です。いずれにしても手を抜かないように取組みましょう。

・周年記念イベントを実施しよう

 お店にとって、お客様に感謝を伝える日でもあると共に、自店の存在感や認知度を高める最大のチャンスが、毎年訪れる「オープン記念日」では、無いでしょうか。洋菓子店や和菓子店にとっては、クリスマスやお彼岸、ひな祭り、バレンタインデーといった一般的なもの以外に、1番オリジナリティーの高いイベントや販促が実現できる日でもあります。

 周年記念イベントを盛り上がる企画作りには、コツがあります。こちらの記事(⇒周年記念イベントの成功する企画作りについて)で詳しく紹介していますので、ぜひ活用ください。

・ポイントカードはポイントを貯めたくなるようにしよう

 洋菓子店や和菓子店に限ったことでは無いですが、ポイントカードは、貯めたくなる仕掛けを用意できるか否かが成否を握ります。仮に貯めたい!という内容であれば、必ず来店頻度は高まりますし、来店間隔も高まるものです。

 ポイントカード運用を成功に導くコツについては、こちらの記事(⇒クリック:近日公開)に触れていますので、ぜひ活用してください。

・地域のカフェやレストランを営業しよう

 地域のカフェやレストラン等のスイーツに、自社のスイーツが「そのまま扱われる」ように営業活動もおススメです。つまり、自社の商品の広告塔や営業マン代わりに、そのカフェやレストランを位置付けるということです。

 そのカフェやレストランでは、必ず自店の紹介文や説明文をメニュー表に記載してもらうようにします。広告費だと思って、お得な掛け率で納品してあげることも良いでしょう。ただし、1日10食限定など提供する(卸す)量にキャップを持って実施するようにしてください。希少性がある方が、メニューの売れ行きが良いということは、種々の2次データでも明らかですし、あくまで広告的な役割ですから、カフェやレストランで量販という状態は賢明ではありません。割安に卸して100個も200個も販売協力してもらうと、収益が減る一方です。あくまで自店に来店し購入していただくために、当店のスイーツに接してもらう機会提供程度に捉えるようにしましょう。

==お知らせ==

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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

売上を伸ばすことで
1)根本的な経営改善をしたい
2)資金繰りを改善したい
3)知恵やスキルを身につけたい

そのようにお考えの方は、
是非、お気軽にお問い合わせください。

※メールは24h受け付けています。

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