御店・商品・サービスの存在価値(ストアコンセプト・商品コンセプト)設定の方法(決め方)

 ストアコンセプト、商品コンセプトといった「お店や商品・サービスの存在価値とは何なのか」について説明したいと思います。

目次

1.ストアコンセプトや商品コンセプトとは
2.コンセプトとは:消費者から見た存在価値を明確にすること
3.コンセプト(存在価値)の設定の方法(決め方)とは
4.集客や販促が成功した存在価値の設定の事例
 1)Googleキーワードプランナーから商品コンセプトやストアコンセプトを決めた事例
 2)Googleマイビジネス(ビジネスプロフィール)のインサイトから商品コンセプトやストアコンセ プトを決めた事例
 3)口コミサイトの悪口や批評から商品コンセプトを決めた事例
 4)自店の1次データを分析しストアコンセプトを決めた事例

1.ストアコンセプトや商品コンセプトとは

 ストアコンセプトとは、そのお店が消費者に提供できる価値を明確に言葉や屋号、キャッチコピー等で表現したものです。商品コンセプトと言うものは、その商品が、消費者に提供できる価値を明確に言葉や商品名(メニュー名)等で表現したものになります。サービスコンセプトというものもありますが、これは商品コンセプトと同様に考えてもらって結構です。

 またストアコンセプトと商品コンセプトとの関係は、ストアコンセプトが上位で、商品コンセプトが下位になります。つまり、ストアコンセプトを具現化するツールが商品であり、その商品はストアコンセプトを踏まえたもので無ければなりません。

2.コンセプトとは:消費者から見た存在価値を明確にすること

 どのような事業(ビジネス)にも、どのような商品やサービスにも言えることなのですが、継続的に売れ続けるためには、そもそも「消費者にとっての存在する価値」が明確でないと、それは叶いません。

 ましてや、うちの商品は「ここが他所と違う」といったマーケティング活動は、独り善がりな側面があり、事業者としては、差別化しているつもりでも、消費者にとっては、何ら無意味な差別化であったりすることが多いのです。そこで、重要なことが、この存在価値を明確にするという過程です。今回はあらためて、この存在価値が何なのかを説明したいと思うのです。

3.コンセプト(存在価値)の設定の方法(決め方)とは

 商品やサービス・事業の存在価値とは、「消費者にとって無くてはならないこと」「消費者にとって、無くなったら困ること」と言えます。

 これは、事業者目線消費者目線で考えることがポイントで、まとめると以下のようになります。

 つまり、事業者は消費者にとって、どのような存在でありたいのか、どのような価値を提供できるのかを明確に考えることを指します。消費者が「当店や、うちの事業が無くなったら困る理由」「商品やサービスが無くなったら困る理由」について考えていきます。

 なぜ、事業者目線と消費者目線で考察する必要があるかなのですが、それは、先に示したように、事業者の思い込みの差別化(独り善がり)を避けるためです。

 さて、存在価値を実際に作り上げる際には、コツがありまして、下図のように考えると良いでしょう。原則は、「顧客ニーズ+ウオンツ」、消費者目線においては「顧客ニーズのみ」「ウオンツのみ」でOKということになります。

 上記の事例では、「安心して食べられる」という部分が顧客ニーズ、「子供の焼菓子」の部分が、ウオンツです。また「市内の国道101号線でラーメンと言えば」の部分はウオンツと言えるでしょう。

 さて、存在価値の決め方は、大きく3つのステップで可能で、概ね下表のように考えると良いです。

 STEP①が特定存在価値の決定、STEP②が一般的存在価値の決定、STEP③が決定した存在価値の需要開拓方法の検討、となります。

 STEP①と②を起案する際、独り善がりな(事業者目線のみ)価値付けにならないように、STEP③を常々、念頭に、STEP①と②を起案していく必要があります。

4.集客や販促が成功した存在価値の設定の事例

1)Googleキーワードプランナーから商品コンセプトやストアコンセプトを決めた事例

 支援先のマフィン専門店では、Googleキーワードプランナーを使って、検索数の多いビッグワードを抽出しました。その上で、そのワードを実際に検索し、どのような記事が多いのか、どのようなニーズがあるのかを詮索したのです。マフイン周辺の検索ワードには、乳腺炎の罹患者や糖質を制限したい人がレシピを欲していること、あるいは、そのような商品を探していることがわかりました。

罹患者や制限食の方に定着させたい価値(自店)
・唯一の乳腺炎・糖質制限者向けマフィン

罹患者や制限食の方に認識されたい価値(消費者)
・乳腺炎・糖質制限者も楽しめるマフィンは同店

2)Googleマイビジネス(ビジネスプロフィール)のインサイトから商品コンセプトやストアコンセプトを決めた事例

 支援先の飲食店では、自店への来店時の検索動向を、Googleマイビジネス(ビジネスプロフィール)から抽出し、伸びている検索ワードに「地域名 ラーメン」があることに着眼しました。その上で、店頭を通過する通行車のニーズに叶うよう、ラーメン メニューを根本的に見直しました。

ドライバーに対し新たに目指す価値(自店)
・市内の国道101号線で1番ラーメンメニュー充実

ドライバーに認識されたい価値(消費者)
・市内の国道101号線でラーメンなら同店

3)口コミサイトの悪口や批評から商品コンセプトを決めた事例

 商品や御店に対しての悪口や批評は、見方を変えれば、消費者からの期待や要望ととれます。つまり、その期待や要望の中に、商品や御店の「お客様にとって無くてはならない存在」のヒントを得ることができます。支援先の食品メーカーでは、その悪口から商品コンセプトの見直しの改善点のヒントを得ることができました。

 そこで、悪口を整理して、どのあたりを改善していけば良いかを下図のように整理しました。

 結果、子供向けの焼菓子では、甘さを控えめにすること、サプリや健康視点を抑制して欲しいという顧客ニーズ(要望や期待)があることを見出し、次のように商品コンセプト(存在価値)を整理したのです。

子を持つ保護者の方に定着させたい価値(自店)
・国内で1番甘さ抑制し健康配慮の子供向け焼菓子

子を持つ保護者の方に認識されたい価値(消費者)
・安心して常用させれる子供の焼き菓子は同社

4)自店の1次データを分析しストアコンセプトを決めた事例

 支援先の食品スーパーでは、売行きや販売点数の多い商品に着眼し、多用な視点でクロス分析を進めました。また商品群毎に相関分析を行うことで、交絡因子を見つけることが叶いました。

 健康に配慮した加工食品と量目の少ない刺身の販売量には、強い相関関係があるのですが、因果関係がありません。そこで見つけた交絡因子が、単身の高齢者の存在だったのです。

市内の方々に定着させたい価値(自店)
・単身高齢者が買い回り易い市内№1の品揃え

市内の方々に認識されたい価値(消費者)
・市内で単身の高齢者に親切なお店は同店

5.最後に

 いかがでしょうか。お客様になくてはならない存在価値を見つけ出すことは、商品コンセプトや、ストアコンセプトを明確にすること、そのものです。これさえ決まれば、その後に続く集客策や販促策はぶれることはありません。

 ぜひ、皆さんの御店でも、1度見つめ直してみてはいかがでしょうか。

==お知らせ==

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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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