飲食・食品の顧客ニーズとは(潜在ニーズと顕在ニーズの把握の仕方)

食品メーカーや飲食業の方々が、自社の商品やサービス、飲食メニューの「顧客ニーズ」を知りたいと思う場面は多々あります。例えば、新商品開発や新メニュー開発の場面で、どのような商品にしょうか、どのようなメニューにしようか、といった具合に思案する時です。

顧客ニーズとは

顧客が何かを欲しいと思った際の背景にある「理由」や「動機」と言えます。あるいは、日々の暮らしの中で、実感している「不満解消したいとする欲求」や「充足したいとする欲求(つまり欠乏の充足)」、「改善してほしいという欲求」と、説明できるでしょう。

この顧客ニーズは、大きく2つに分類でき、1つは顕在化ニーズ、1つは潜在化ニーズとなります。

2 顕在ニーズとは

顧客自身が、「何を不満に思い、解消して欲しいのか」「何を充足して欲しいのか」「何を改善して欲しいのか」が明確にわかっていて、それを要望として、説明できることを指します。

例えば、支援先の飲食店で、1年間、お客様の声をメモ入れして整理していくと、要望の多い順に、下表のように整理できました。

御覧いただくと、理解できると思いますが、いずれも、顧客は、「何を不満に思い、解消して欲しいのか」「何を充足して欲しいのか」「何を改善して欲しいのか」が明確です。

顕在ニーズの見つけ方

飲食店の場合は、来店者、食品製造業の方は、購入いただいた御客様との接点を持ち、「何を不満に思い、解消して欲しいのか」「何を充足して欲しいのか」「何を改善して欲しいのか」を直接、聞き取ることです。

飲食店の場合は、スタッフに協力していただき、お客様の声に耳を傾けることで、上表のような「要望」を聞き出すことができます。アンケートも良いでしょう。食品製造業の場合は、取引先の食品スーパー等で、マネキン販売を行うなど、接点を持つことで、声を吸い上げることも可能です。

顕在ニーズの弱点

 顕在化したニーズを具現化した商品やサービスの展開は、既に競合も多く、新規客の獲得には弱い側面があります。お客様が安易に発するということは、競合の現場でも同様な場面が通常で、そのことに着想して、商品開発やメニュー開発、種々の販売促進策を行うわけですから、当然のことと言えます。

ですから、顕在化したニーズではなく、潜在化したニーズを見つけることに労力を注ぎたいものです。

潜在ニーズとは

顧客自身が、「何を不満に思い、解消して欲しいのか」「何を充足して欲しいのか」「何を改善して欲しいのか」が、明確にわからない状況では、要望として、説明でき無い状態にあります。この「説明は出来ないけれど、何かしらの充足要求や改善要求、不満改善要求」を潜在ニーズと言います。

とは言え、多くの方々は、その要求さえ気づかないものなので、潜伏しているニーズとして、「潜在ニーズ」として表現しています。

潜在ニーズの見つけ方(事例を通して)

潜在ニーズを発見することは、骨折りです。以下に見つけ方を1つの事例として紹介します。

秋田県美郷町商工会では以前、地域の衣料品店の来店顧客に次のようなアンケートを実施しました。(一部 紹介します)

こちらの質問4について、主成分分析、第2主成分分析を行った結果を、
ポジショニングマップに視覚化したものが下図になります。

御覧いただくとわかる通り、美郷町の衣料品店を利用する顧客は、緑色、桜色、紫色等、とくに茶色の選好や嗜好が高いという顕在化したニーズが明確になりました。

さて、このような結果を見ると、安易に「茶色」の衣料を強化し、指し色に桜色を使えば良いのでは無いかと決めて掛かり、品揃えを改善しようとすることでしょう。

この結果を見た、衣料品店A店や、B店などは、皆、同じ動きに走るので、結果、競争や差別化は同質的なものになってしまいます。そうですね。先ほど紹介した「顕在ニーズの弱点」の視点です。

このアンケートは、美郷町の衣料品店を利用されている方の回答結果になりますから、仮に「A店」を利用されている方が、同様な品揃えの強化に動いた「B店」に、わざわざ行く動機があるでしょうか。

アンケートの回答に協力する消費者(顧客)は、概ね、自分自身が認知していることを踏まえた回答をするものです。つまり、認知≒顕在化と言えますので、回答結果を分析すれば、上記のポジショニングマップのようになるものです。

では、潜在ニーズの発掘の仕方ですが、ポイントは次のようになります。

例えば、茶色。

色の心理学では、高級感がありそうなイメージとあります。

つまり、茶色の選好が強いというものを表層的に捉えるのではなく、「高級感」と捉えれば、美郷町の衣料品店を利用する方々は、「潜在的に高級感のある衣料品を望んでいる」と解釈できます。

以上のように、表層的な背景を「なぜ?」と疑問に思い、その背景を詮索、分析することで、潜在的なニーズを見つけ出すことが可能になります。

また、下図のように、顧客層と捉えられない赤丸の部分においても、潜在的に掘り起こせるニーズがあるのでは無いかと、考えることもできます。回答がエラーで無ければ、1人いれば100人居るとの発想ですね。

無論、衣料品は、色彩や色調のみで決まるものではありません。デザインの好み、衣料の種類(トップス、ボトムス等々)、お住いの場所等々、複数の要因が重なるものです。

つまり、多面的に分析し、それらを組み合わせることで、潜在ニーズを、より明確に表現できるようになります。

例えば、A町に住む50歳台女性は、高級感のあるトップスを欲しがっている

このような感じです。

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食品メーカー(加工食品製造業)や飲食業(飲食店)に実践し、成果を挙げている「集客や販促策」「販路開拓」「マーケティング」について、他の記事も併せて、御覧ください。

食品メーカー(加工食品製造業)や飲食業(飲食店)に実践し、成果を挙げている「商品開発」や「メニュー開発」について、他の記事も併せて御覧ください。

必要な売上獲得の近道になるはずです。

久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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