食品メーカー等の小売店へのインストアプロモーションの実施方法・集客や売上効果

食品メーカー等の営業担当者向け研修の中で話題にあがる「インストアプロモーション」について、今回は御案内します。自社に是が非でも売りたい商品がある場合、非常に有効なツールです。

念のため確認です。インストアプロモーションとは、取引先の食品スーパーや飲食店の「売場」や「店内」を、盛り上げる「独自の販促」を仕掛けることです。自社の商品の品揃えや売上を確保しつつ、取引先の売上向上に貢献できるという側面があります。

では、「どういう時にインストアプロモーションを仕掛けるか」なのですが、それは、以下のような課題をクリアしたい時です。

・自社の売りたい商品が売場に品揃えされないので、品揃えさせたい(定番導入)。
・自社の売りたい商品がメニューに採用されないので、採用されたい。

具体的に、どのような事例があるかを「言葉」で説明しますと、以下になります。(実際、私が食品メーカーに勤めていた営業マン時代には、以下の視点で取組んだものです)

①商品の試食販売等、消費者の興味を引く「場創り」に協力して、当日お買い上げの場合のみ**%割引がある(または、何かしら景品等を提供する等々)

②商品を**点お買い上げの方に、単純に何かしらの特典を提供する

③商品を**点お買い上げのレシートを貼って、応募すると、抽選で景品がもらえる

要するに、取引先の御客様や取引先のみメリットがあり、その取引先のみ「贔屓」したオリジナルな販促であれば良いのです。

無論、インストアプロモーションは、企画内容によって売上に大きな差がつくものです。つまり企画次第という側面があります。それに、事前打ち合わせや商談も労力が掛かるものですので、満を持して実施すべきものという側面があります。

ですが、タイトルにあるように、ハマれば、相当の売上と、当初の想定通りの課題解決が叶うため、
私は、おススメしています。ただし、以下の視点の留意が必要です。

・頻繁に仕掛けるものではありません。消費者にもバイヤーにも飽きられてしまいます。

通常の営業活動に加えて、手間や時間を要する企画の準備は、非常に大変なのですが、成功して想定通りの売上や、なかなか導入されなかった商品が品揃えされたり、メニュー化された場合、大きな大きな達成感もあります。余談ですが、私がメーカー時代に実施した事例を、上記の①から③について紹介しておきますね。

①の事例
山崎製パン時代で、新商品の売上ノルマを達成するため、未導入で大型単独店の大阪府都島区の某スーパーに新規の飛び込み営業を実施。その際、単に取り扱ってください!だけでは厳しいので、いきなり「試食のマネキン販売を提案」、さらに当日お買い上げのお客様にくじ引きで同店の商品券1000円が当たる企画を実施。売上対比5%の販促費を掛けて、所与の売上の確保と、新規取引開始を実現。

②の事例
湖池屋のグループ会社の「フレンテ」の営業時代の話。ピンキーという錠菓の新商品をエンド大量陳列。1時間毎に5分、着ぐるみのピンキーモンキーが登場。その時間帯に1点お買い上げの方に、その場でピンキーの着ぐるみと写真撮影し、差し上げる企画。売上対比8%の販促費で、所与の売上の確保と、当時、同社で社長賞を受賞するくらいの販売点数を確保。

③の事例
湖池屋の営業時代。湖池屋商品を2点以上お買い上げのレシートを、ハガキに貼って応募すると、抽選で100名に「湖池屋のお菓子の詰め合わせ」が当たるキャンペーンを同店だけに1ケ月実施。当時、未導入だった商品の場合は1点で応募可能とすることで、同店での品揃えに成功。所与の売上確保。販促費は確か売上対比で5%程度だったかと。

==最後に==
売上高販管費率5%というのは、多くの食品や菓子メーカーで営業の裁量で価格販促できる範囲です。常々、仕掛けどころを探り、取り組んでいることでしょう。今回の記事の主旨は、安易な価格販促では無く、たまには、この5%をインストアプロモーションに振り向けてみてはいかがでしょうか。そのような主旨です。バイヤーとの商談に緩急が付きますし、商談する当事者としても、やり甲斐を感じれる仕事ですよ。

久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

売上を伸ばすことで
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是非、お気軽にお問い合わせください。

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