私も15年ほど前に学び、今も役立っている情報をお伝えします。それは、男性の脳、女性の脳の話です。
ターゲットが男性か女性かにより、販促媒体で表現すべき内容やデザインが異なります。それは右脳と左脳に関係します。種々の販促や商品開発に役立ちますので、ぜひ参考にしてください。

日々の業務で「なぜあの商品は女性に爆発的に売れるのか」「どうして男性はこのメニューばかりを選ぶのか」と疑問に思ったことはありませんか?
そのヒントは「男性脳」と「女性脳」の違いに隠されているかもしれません。飲食業界や食品メーカーの皆様が明日から使える、脳の傾向に合わせたマーケティングの基本を分かりやすく解説します。
第1章:男性脳・女性脳とは?購買を決める「優先順位」の違い
男性脳と女性脳では、購買や物事を判断する際の「優先順位」が大きく異なります。
先ほどの画像(図:男性脳と女性脳の相違)をご覧ください。左脳が男性脳、右脳が女性脳と言われています。
・男性脳の特徴(スペック・目的・権威性重視)
論理的で、機能性や客観的な数字(データ)を好みます。「エリアで人気No.1」「糖質50%オフ」「内容量2倍」など、具体的で他と比較しやすい強み(スペック)に惹かれる傾向があります。また、「金賞受賞」などの権威性にも弱いです。
・女性脳の特徴(共感・物語・プロセス重視)
感情の共有、背景にあるストーリー、全体の調和を好みます。「地元農家の想いが詰まった野菜」「週末の自分へのご褒美」といった、その商品が作られたプロセスや、食べた時の幸福なシーンに共感することで購買意欲が高まります。
※ただし、「男性=男性脳」とは限りません。世の中には「男性脳の女性」や「女性脳の男性」も多く存在し、ターゲット層の働き方やライフスタイルによっても傾向は変化します。
第2章:マーケティング実務における男性脳・女性脳とは?
・視覚に訴える!「色の見え方」とパッケージデザイン
インターネット上で「男性脳 女性脳 色の見え方」や「画像」といったキーワードが多く検索されているところを拝見すると、男女で色の視覚的な好みに差があるのでは無いか、と検討されている方が多いのではないでしょうか。
実際、実務においても様々な2次データがありまして、整理すると次のようになります。
・男性脳に響くデザイン:コントラストが強く、力強いデザインが好まれます(黒、赤、濃紺など)。例えば、クラフトビールやガッツリ系の肉惣菜、濃厚ラーメンのパッケージなどで効果的です。
・女性脳に響くデザイン: ピンクやゴールド、パステルカラーなど、調和のとれた柔らかい色合いや、手書き風のフォントが好まれます。地元の特産品を使ったカフェスイーツや、健康志向のお惣菜などにぴったりです。
⇒パッケージにおける色使いは、ここで紹介する他、たくさんのマーケティング心理学が影響します。詳しくは「食品パッケージデザイン「色」の決め方!売れる色彩心理・配色比率・タブーを解説」を御覧ください。
⇒パッケージデザインの作成の仕方や心理学に準拠した手順は「売れる!加工食品・お菓子のパッケージデザインの作り方・作成方法と相場|おしゃれな成功事例も」を御覧ください。
・飲食・食品の集客と販促(プロモーション)への応用
商品開発のパッケージデザインにおける色だけでなく、店舗のメニュー表やSNSでの発信、LP(ランディングページ)の作成でも、脳のタイプを意識したコミュニケーションが重要です。
・男性脳へのアプローチ:結論と権威性を示す
「〇〇賞金賞受賞」や「リピート率90%」といったデータ、あるいは「このラーメンを食べるべき3つの理由」など、短く端的にメリットを伝える文章(コピー)が刺さります。
顧客価値(商品やお料理の存在価値)の視点で言えば機能的価値が好まれる傾向です。
⇒機能的価値は、「【事例付】顧客価値(存在価値)とは?選ばれる飲食店・小売店のコンセプトの作り方」で御覧いただけます。
ここで注意が必要なことがあります。それは、結論や権威性の裏側にある「根拠」です。例えば、受賞歴であれば、それを称するトロフィーや賞状があるでしょう。また、リピート率90%であれば、それを示すバックデータを、お客様に求められたら、あるいは公的機関に求められたら、直ぐに示すことができるようにしておかねばなりません。
・女性脳へのアプローチ:共感とクチコミ(UGC)を促す
「家族みんなが笑顔になる食卓」といった情緒的な表現を取り入れましょう。また、Instagramなどでのクチコミ(UGC)が発生しやすいように、「写真映え」や「誰かに教えたくなる開発秘話」を意図的に設計することが重要です。
顧客価値(商品やお料理の存在価値)の視点で言えば、情緒的価値が好まれる傾向です。
⇒情緒的価値は、「【事例付】顧客価値(存在価値)とは?選ばれる飲食店・小売店のコンセプトの作り方」で御覧いただけます。
食品の卸売業などの営業の方が、小売店へ営業する際も、担当者が「論理重視の男性脳タイプ」か「関係性・共感重視の女性脳タイプ」かを見極めることで、提案の成功率が大きく変わります。
ぜひ、自社の商品やターゲット顧客を思い浮かべながら、販促の切り口を見直してみてください。
(参考記事)
⇒飲食店・食品メーカー必見!集客と販促を成功に導くチラシ・フライヤーの作り方(作成方法)・デザイン・外注・相場の完全ガイド
⇒食品・スーパー・飲食店向け「売れるPOP」作成の手順とコツ|手書き・無料ツール・AI活用まで完全網羅
⇒食品の「新」商品開発や「新」メニュー開発の実務手順・成功法則|企画書・フレームワーク・アンケート活用・OEMまで|小規模な飲食・食料品製造業向け
第3章:事例で解説!3つの商品で見る男性脳と女性脳への「伝え方」の違い
男性脳と女性脳の違いを、実際に「ラーメン」「クラフトビール」「ヨーグルト」の3つの商品を売る場面に当てはめてみましょう。同じ商品でも、見せ方を変えるだけで刺さる層がガラリと変わります。
・事例①:ラーメンの集客・商品開発
ラーメンは特に「脳の違い」が顕著に表れるジャンルです。
≪男性脳向けの打ち出し方(数字とスペック)≫
キャッチコピー:「豚骨を48時間強火で炊き出した超濃厚スープ!麺大盛り無料!」
デザイン・見せ方: 黒や赤などコントラストの強い力強い筆文字デザイン。カロリーや背脂の量など、ガッツリ感を数値や極端な表現でアピールします。
≪女性脳向けの打ち出し方(ストーリーと共感)≫
キャッチコピー:「長年地元で愛されてきた老舗の味。家族みんなで囲めるよう、あの優しい味わいをそのまま冷凍ラーメンにしました。」
デザイン・見せ方: どんぶりから湯気が立つ温かい食卓の風景や、職人が丁寧に仕込んでいる様子の写真。後世に残したいという「想い」や、自宅でホッと一息つける「シーン」を伝えると深く共感されます。
・事例②:クラフトビールの集客・商品開発
地域の特産品などを活かしたクラフトビールも、ターゲットによってパッケージやLP(紹介ページ)の構成を変える必要があります。
≪男性脳向けの打ち出し方(権威と専門性)≫
キャッチコピー:「IBU(苦味基準)60!3種のホップを独自ブレンドした、世界ビール品評会・金賞受賞のIPA」
デザイン・見せ方: 濃紺やシルバー、黒などを基調としたシャープなデザイン。「受賞歴」のメダルアイコンを大きく配置し、アルコール度数や製法のこだわりを専門用語を交えてロジカルに説明します。
≪女性脳向けの打ち出し方(プロセスとご褒美感)≫
キャッチコピー:「地元の太陽をたっぷり浴びた特産フルーツを使用。週末の夜、がんばった自分を甘やかすフルーティーな一杯。」
デザイン・見せ方: ゴールドや淡い色合い(パステルカラーなど)を取り入れた、食卓にそのまま置いてもお洒落なデザイン。醸造家の顔や、地元の農園の風景など「作り手のストーリー」を見せることでファン化を促します。
・事例③:ヨーグルトの集客・商品開発
日常的に消費されるヨーグルトも、アプローチ次第で「指名買い」されるようになります。
≪男性脳向けの打ち出し方(機能と課題解決)≫
キャッチコピー:「生きたビフィズス菌100億個配合!タンパク質15g含有で、脂肪ゼロ。」
デザイン・見せ方: 健康課題(腸内環境、筋力アップなど)を解決する「機能性食品」としてのパッケージ。青や白などの寒色系で、スッキリとした科学的な信頼感を感じさせるデザインが好まれます。
≪女性脳向けの打ち出し方(情緒とライフスタイル)≫
キャッチコピー:「朝のひとくちで、心も体も整う。大自然でストレスなく育った牛の、生乳100%のなめらか贅沢ヨーグルト。」
デザイン・見せ方: まるでスイーツのようなとろりとした質感(シズル感)を強調した写真。毎朝のルーティンが少し豊かになるような、情緒的なベネフィット(得られる良いこと)を中心に伝えます。
まとめ:ターゲットの「脳」に合わせて見せ方を変えよう
どんなに素晴らしい食品や飲食店でも、ターゲットの「脳のタイプ」に合っていない伝え方をしてしまうと、魅力は半減してしまいます。
スペックやデータで背中を押す(男性脳的アプローチ)のか、ストーリーや共感で心を動かす(女性脳的アプローチ)のか。ぜひ、自社の主力商品や新メニューを思い浮かべながら、販促の切り口やキャッチコピーを見直してみてください。
ポイントは、獲得したい顧客層と、自社の顧客価値(誰にために、存在する商品なのか、お店なのか)の視点です。
Q&A:現場で頻繁に寄せられる質問について回答します
Q. 飲食店がSNSで集客する際、男性脳・女性脳それぞれに響く発信方法は何ですか?
A. 男性脳向けには「期間限定メニューの素材のこだわり」や「ランキング結果」などのスペックや客観的事実を短く伝えます。女性脳向けには、「試作中の裏話」や「お客様の声」、「店内の居心地の良さ」など、共感を呼ぶストーリーやプロセスを画像や動画で発信すると効果的です。
Q. 食品のパッケージデザインにおいて、男性脳と女性脳で「色の見え方」や好みはどう違いますか?
A. 男性脳は赤と黒、濃紺といったコントラストがはっきりした強い色合いやシャープなデザインを好む傾向があります。一方で女性脳は、ピンクやゴールド、淡いグラデーションなど、柔らかく調和の取れた色合いや、質感が伝わるデザインを好む傾向にあります。
Q. 男性脳の女性、女性脳の男性など、ターゲットが複雑な場合の飲食マーケティング対策は?
A. 性別だけでターゲットを絞るのではなく、「利用シーン」で訴求を分けるのが有効です。例えば、同じ店舗でも「仕事帰りのサクッと一杯(男性脳的アプローチ)」と、「休日のゆったりランチ(女性脳的アプローチ)」の両方のメニューや発信を用意し、顧客自身に選ばせる設計がおすすめです。
Q. 食品卸売業が小売店に営業提案する際、相手の「脳のタイプ」をどう活かせますか?
A. 担当者が男性脳タイプ(データ重視)であれば、「この商品を導入した他店の売上改善データ」や「利益率」を端的に伝えます。女性脳タイプ(関係性重視)であれば、「この商品が開発された背景」や「実際に買いに来るエンドユーザー(主婦層など)がどう喜ぶか」というストーリーを共有すると、円滑なコミュニケーションに繋がります。
Q. メニュー表を作る際、男性脳と女性脳で文字の読みやすさに違いはありますか?
A. 男性脳は視線を直線的に動かして目的のものを探す傾向があるため、カテゴリーごとに整理された箇条書きや、おすすめが一番上にくるレイアウトが好まれます。女性脳は全体を回遊するように見る傾向があるため、料理のシズル感のある写真や、手書きのポップ、店主のコメントなどを散りばめると滞在時間と注文数が増えやすいと言われています。
初稿:2019年9月28日 加筆修正:2026年3月10日
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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。













