テキストマイニングのうち、形態素解析を使って、商品開発ネタや販路開拓の販促企画のネタを立案する考え方の入口について説明したいと思います。
話を単純に、わかりやすくするために、以下の設定で進めてみましょう。「カフェの店員が、日々御客様の声を観察しているとします」
そんな中で、1ケ月も観察し、都度メモを取っていくと、数百もの文章があることでしょう。実際、支援先でも、そのくらいにはなります。ただ、話をわかりやすくするために、全部で以下の5つのメッセージであったとします。
① 酸味が苦手なので、ここの珈琲は酸味が控えめで好きです。
② ここの珈琲はマイルドで、飲み口が柔らかく美味しいです。
③ 酸味が控えめで、マイルドな口当たりが、好みです。
④ スイーツの甘さが控えめなところが、うれしいです。
⑤ スイーツと珈琲の相性が好きです。
形態素解析というのは、厳密に説明するとかなり難しくなるのですが、誤解を恐れずに簡単に説明すると、以下のようになります(個人や小規模な飲食店、宿泊業、食料品製造業の方々が、実務で捉えれるように、概念で説明することとします)。
その場合、以下のように/(スラッシュ)などで、文節を区切っていくことを進めます。
① 酸味/が/苦手/なので/、/ここ/の/珈琲/は/酸味/が/控えめ/で/好き/です/。
② ここ/の/珈琲/は/マイルド/で/、/飲み口/が/柔らかく/美味しい/です/。
③ 酸味/が/控えめ/で/、/マイルド/な/口当たり/が/、/好み/です/。
④ スイーツ/の/甘さ/が/控えめ/な/ところ/が/、/うれしい/です/。
⑤ スイーツ/と/珈琲/の/相性/が/好き/です/。
この解析のアプローチでは、この1つ1つの文言を。、再頻出順に並べていくのです。
(句読点等は除きます)
珈琲 3回
酸味 3回
スイーツ 2回
マイルド 2回
・・・・etc
以上のような感じです。
実際、支援先では、
以下のような結果になりました。
上位、5つだけ紹介します。
珈琲 245回
マイルド 189回
酸味 148回
苦手 146回
スイーツ 129回
この結果の詳細の分析の仕方は、ここでは控えておいて、仮に、スタッフ全員で、一定期間、顧客の声をヒアリング(観察)していると、次のように分析できるはずです。
(所感を確認するスタッフミーティング等が有効です)
「珈琲はマイルドの方が好感がある」
「酸味がある珈琲は苦手な方が多い」
「スイーツに関心が高い」
このように、顧客の声を再頻出ワードを並べ、来店客層の真相を言葉から捉えようとするアプローチ。
意外と「はっ!」とする気づきを得られたりするものです。
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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)
加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。