飲食店や食品メーカー等の関連販売やセット販売の実施方法や手順について(部分確率の利用)


この記事は、「関連販売」や「セット販売」を行う際の、商品や品揃えの決め方、さらには、その方法について説明しています。

目次

1.関連販売とは
2.関連販売が可能な業種とは
3.関連販売のメリットとデメリット
4.関連販売商品の見つけ
ステップ① 日常の売れ行きから目星をつける
ステップ② ①の想像について少量のデータを整理してみる
ステップ③ 確率を計算し判断
ステップ④ さらに上級テクニック(部分確率)を利用した関連販売

1.関連販売とは

クロスマーチャンダイジング(クロスMD)とも言われ、食品スーパー等の小売店の場合、メインとなる商品の傍らに(そばに)、そのメインとなる商品と関係性が強かったり、利便性が強い商品(関連商品)を陳列します。その上で、お客様の購入を促す情報を発信し、購買を提案する方法です。

またニューロマーケティング(脳科学の知見を活かして消費者の心理や行動を分析しマーケティングに活かす)の分野でセット販売は、「お金を払う」という心理的負担を軽減するために、何かしらを付属したり、組み合わせたりして、相対的な割安感を演出する方法として使用します。例えばドライブレコーダーが2万円のものがあるとして、これが300万円の新車に附属され、302万円であったなら、単独の2万円より、302万円の新車の方が「御得に感じる」といった事象です。

2.関連販売が可能な業種とは

パン屋、洋菓子屋、和菓子屋、豆腐屋といった食料品専門店でも、関連販売は可能ですし、有効です。無論飲食店でのメニュー表等でも可能です。

3.関連販売のメリットとデメリット

種々のメリットがありますが、関連販売の1番のメリットは、客単価向上でしょう。1人あたりの買上点数が向上しますので、当然と言えば当然です。

ただし、無関係なもので、関連販売を進めると、メインの商品のイメージを損ねたり、あるいは、そのお店の押し売りのように見えてしまい、顧客の不満要因にもなりますので、慎重な商品(メニュー、品揃え)の選定が必要です。

4.関連販売商品の見つけ方や選定の仕方(決め方)

ステップ① 日常の売れ行きから目星をつける

日常、売場でメニューや商品の売れ行きを、御客様を接客する中で俯瞰していると、このようなことを、ひょんな時に考えたことは無いですか?

「最近、アレとコレと、ソレと・・いっしょに購入する方多いかな・・・?」

まずは、この気づきが重要です。

ステップ② ①の想像について少量のデータを整理してみる

ステップ①で、気になる組み合わせが想像が付いた場合、下記エクセルの集計のように、1度、レシート単位で、整理してみると良いでしょう。


この場合、「ポテトチップス、ビール、チーズ、ウーロン茶あたりを一緒に購入する方が多い」と思った前提で集計したものです。

ステップ③ 確率を計算し判断

②で集計が出来たならば、下記のような表にして、確率を計算していきます。
例えば、ポテトチップスを購入した人のうちビールを購入した人が1人なら、1÷3=33.3%と計算します。

この表では、いくつかの着眼点があると思いますが、以下が言えるでしょう。


・ウーロン茶を買う人は、ポテトチップスを100%購入、チーズを66.6%購入している

 →ウーロン茶との関連販売売場をポテトチップスとチーズで作る

ステップ④ さらに上級テクニック(部分確率)を利用した関連販売

さて、問題点は、赤字や青字の部分です。
表の中の赤字を見ていきましょう。

・ポテトチップスを買う人は66.6%の確立でチーズを買っている
・チーズを買う人は50%の確率でポテトチップスを買っている

わかりますでしょうか。ポテトチップス側から見た数字と、チーズを買う人から見た数字に違いがあります。想像では、一致すると思うところですが。

ここが重要で、これを部分確率と言います。


上記の言葉のように、視点を変えて確率を計算することで、
「どちらの対象を主体に、売場で関連販売すれば良いか?これが明確に見える」ものです。

この場合、確率が高い方を採用し・・

チーズ売場にポテトチップスを寄せるのではなく、ポテトチップス売場にチーズを寄せる方が売れる確率が高まる

このように判断します。

==最後に==
一見、難しそうかもしれませんが、取り組んでみると簡単です。実際、当方の顧問先の小売店や飲食店の方は、1度やってみよ!で直ぐに慣れました。

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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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