卸売(問屋)での食品や菓子、飲料メーカーの仕事の内容と方法(コツ)

目次

  1. 卸(問屋)の仕入れ担当者との商談
  2. 卸(問屋)の営業マン全員との朝夕コミュニケーション
  3. 卸(問屋)との小売店への商談の事前打ち合わせや訪問許可
  4. 卸(問屋)との同行営業の実施

1.卸(問屋)の仕入れ担当者との商談

 特定の卸売業を担当することになったら、1番の仕事が、卸売業の仕入れ担当者との自社商品の取り扱いを1品でも増やすための交渉です。三菱食品や山星屋のような「いわゆる1次問屋(大手)」の場合は、月毎に特定の商談日が設けられていることが多く、その日に自社の商談時間を確保してもらえるよう、事前交渉を進めていきます。2次問屋や3次問屋のように規模が小さくなってくると、あらかじめアポを入れておけば、概ね「いつでも商談可能」ですので、月に1回程度は商談に漕ぎつけれるよう、事前にアポをとっておくと良いでしょう。

 地域(エリア)担当で、1次問屋(大手)の支店を担当する場合は、事前に社内に居る本社担当と情報を共有し、何が本社で採用(仕入れる商品と卸価格)されているかを確認し、支店の仕入れ担当とは、その条件(卸価格や年契など)を説明しておく機会を設けていきます。

2.卸(問屋)の営業マン全員との朝夕コミュニケーション

 担当する問屋では、定期的に朝か夕に、訪問するようにします。極端な話、営業マンが10人居れば、その10人と一言でも、二言でも、全員と会話するというスタンスで訪問します。朝は、これから客先に出かけようとする忙しい時間ですので、なるべく端的に会話を心かけます。例えば、「今度、この商品が御社で取り扱われることになったので、1度、御試食ください!」「**さんの担当の**という小売店のバイヤーに興味もっていただけると思うので、▲▲さん検討してみてください!」というように、商品パンフレットや試食用サンプルを手渡す程度です。

 逆に夕方は、担当の小売店から帰ってきて、一息つこうという雰囲気ですので、意外と立ち話に付き合ってくれます。例えば「朝、お渡しした商品、試食してもらいましたか?」といった具合に、会話を深耕させていくのです。話が弾めば、卸の担当者から自発的に「**という小売店があるけれど、あと2円程度安くなるなら、商談してくるよ!」といった具合に発展することもあります。

著者が菓子メーカーの営業時代に通った問屋の1つ 滋賀県カワムラ:赤字のあたりに朝夕立ち営業マンとコミュニケーションしていた

 問屋では、仕入れ担当は仕入れ担当ですから、この方と「もっと売ってほしい!」と懇願しても、何も広がりません。肝心なのは、客先の小売店に何を卸すかを決める権限のある各営業マンを、どう攻略するかです。適度な頻度で、訪問し、朝夕に顔を出す習慣をつけ、相手の営業マンに「あのメーカーの、あの子(娘)、がんばってるなー!」と噂話が立つくらいの関係性まで、踏み込んでいくと良いでしょう。

 ポイントは、時間があれば顔を出す!ということで、名前と顔を、しっかりと問屋の営業マン1人1人に覚えてもらえるように取組んでいきましょう。

3.卸(問屋)との小売店への商談の事前打ち合わせや訪問許可

 食品メーカーの営業担当者が小売店で「どういった仕事をしたらよいのか」(⇒こちらです)で紹介した通り、小売店に卸しているのは問屋です。ですから、何円で小売店に卸すのかを決めるのは、問屋の営業担当者の見積次第です。ですから、仮に小売店で商談する機会があったとしても、食品メーカーの営業マンが、小売店に勝手に見積書を提示し、卸価格を交渉することは絶対に避けなければなりません。

 とは言え、小売店での仕事で紹介した通り、本部のバイヤーとの商談や、各店舗での商談も臨機応変に実施したいのが本音です。従って、そのような商談ができるよう、問屋さんを訪問し、事前に、行きたい小売店への訪問許可と、何円で商談して良いのか等々を決めておくようにしましょう。「2.営業マン全員との朝夕コミュニケーション」で紹介した夕方の「しっかりと時間をとって会話ができるタイミング」で、その小売店を担当する営業マンに条件面等の交渉をしておけば良いのです。

4. 卸(問屋)との同行営業の実施

 「2.営業マン全員との朝夕コミュニケーション」を続けることで、担当している問屋の営業マンと仲良くなってきたら、おススメしたいのが「同行営業させてください!」と言う言葉を伝えることです。

 これは文字通り、卸の営業マンがルート営業している先に、一緒についていって、時間をもらい、小売店に自社商品を営業する行為です。小売店にしてみれば、「信用している卸の営業マンが連れてきた食品メーカーの担当者なら、話を聞いてやるか!」という雰囲気で接してくれますので、バイアスが掛かり、商談が有利に運ぶことが多いです。その同行の日が、ご自身が攻略したい小売店の本部商談なら、尚更ラッキーだと言えます。バイヤーとの商談が、問屋の営業マンの信頼度で、バイアスが掛かり、かなり有利に展開することが多いものです。

==お知らせ==

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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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