設定したターゲットが適切か否かの判断や検討方法

当webサイトの支援事例でも紹介している長崎県のカステラ製造業事業者からのメールでの質問。

「設定したターゲットが、適切か否かの判断は、どのようにしますか?」

*可能であれば、ターゲットを設定する作業に入る前に、以下の視点を事前に意識して進めれば、最適なターゲット設定が叶うということを補足しておきます。

・有効な市場規模だと言えるか?
 設定したターゲットの層を将来に渡り獲得することで、「目標とする売上や利益を獲得することができる」と言い切れるのかがポイントです。今後、設定したターゲットに事業を展開するわけですが、充分な売上や利益を確保できる見込みが立たないのに、頑張っても意味がないことです。商品やサービスの売上高は、次のような式でも表すことができます。
 ターゲット設定をする際には、仮に正確な情報がわからなくても、下記の公式で算段してみることが大切です。
⇒売上高=ターゲットの市場規模×自社ブランドのシェア
⇒売上高=購入者数×購入頻度×客単価

・競合に比べて優位な展開が可能か?
 ターゲットを設定する場合、できるだけ強い競合商品やサービスが存在せず、かつ、競合商品やサービスが少ないほうが、成功の可能性が高いと言えます。競合を意識したターゲットの設定になっているかどうかを確認しておくことです。

・波及効果が充分見込めるか?
 数あるターゲットが存在する市場の中でも、周辺市場への波及効果の高いターゲットをターゲティングしていくことが理想です。当初はターゲットを絞るという意識が重要ですが、結果的に「もっと市場が拡がり、売上や利益を伸ばしたい」と思うことは自然の流れです。従って副次的効果として、意識する程度で良いので、検証の際には、「拡がりそうか」も念頭に置いておくと良いですね。

 例えば、石川県の羽咋市のコスモアイル羽咋という宇宙博物館の売店にある宇宙食用に開発された「ドライフード」は好事例です。現在、防災の備蓄食として拡がっていますね。このことを「拡がりそうか」と念頭に置けると良いということです。

・到達可能性が確保できているか?
 例えどんなに市場規模が大きく、ライバルが少なく、成長性や波及効果があったとしても、そのターゲット層に、今後仕掛ける広告宣伝等が到達できなければ(広告宣伝等が伝わらなければ)、そもそもマーケティング活動自体が成り立たないです。

・測定可能性が確保できているか?
 既述の到達可能性と対で考えると良いです。そもそも測定できない市場には、広告宣伝等は展開できないです。測定とは、ターゲットが「概ね○○○○人、存在しそうだ!」といった概算を指します。

久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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そのようにお考えの方は、
是非、お気軽にお問い合わせください。

※メールは24h受け付けています。

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