感染症の影響後、居酒屋を取り巻く環境は劇的に変化しました。当事務所の顧問先やプロジェクトでの量販居酒屋支援の現場においても同様で、その変化への対応を進めてきました。
これからの時代、単なる思いつきの「集客」や「販促(販売促進)」だけでは生き残れません。お店独自の価値を見つめ直し、ターゲットに確実に届ける「居酒屋マーケティング」の視点を持つことが、繁盛店創りの第1歩です。
居酒屋は、他の飲食店では充足できない独自の価値があることを知っています。その価値を今一度、見つめ直すことがポイントです。

つかまなければならない顧客は「なんとなく飲みに行くか!」といった層では無く、「このために層」です。そのお店でしか楽しめない、そのお店でしか味わえないといった取組を加速させることで、実現できます。わざわざ行きたい!と思っていただける取組が出来れば、「このために層」の獲得が叶うでしょう。ただし留意しなければならないことが1つあります。それは、自店が良かれと思った取組も、お客様に魅力的で無ければ、何ら響きませんし、「このために」の演出は無理です。そのあたりを踏まえて、以下の目次の内容を1つ1つ見ていきましょう。
はじめに:居酒屋における「マーケティング」と「販売促進(販促)」の違いとは?
実際のノウハウに入る前に、言葉の定義を整理しておきましょう。居酒屋の集客を最大化するには、「マーケティング」と「販売促進(販促)」の両輪を回す必要があります。
・居酒屋のマーケティングとは
「誰に・何を・どのように提供するか」という、売れる仕組みやお店の土台を作ることです。本記事の目次1〜7で解説する「コンセプト作り」「ターゲット設定」「メニュー開発」などがこれに当たります。
・居酒屋の販売促進(販促)・集客とは
作ったお店の価値をお客様に伝え、実際の来店や購買行動を促すための具体的なアプローチです。目次8以降で解説する「チラシ」「ポイントカード」「インターネット活用」などの戦術がこれに該当します。
第1章:居酒屋マーケティングの第一歩:「あるべき姿」を考える
居酒屋とは、居座って酒や肴を楽しむ場所(空間)です。そのため「ゆとり」や「居心地」が良い空間創りが重要です。基本的には長居させなければなりません。無論、長居させないで回転率といった戦略もありますが、当事務所は、おススメしていません。長居してもらって、如何にして客単価を上げるか、ここがポイントになります。
例えば神奈川県逗子にある「おでん酒場あっかんべー」さんは、この「長居⇒客単価向上」が上手な居酒屋さんです。屋号のとおり、おでんが売りですが、そのおでんというコンテンツを中心に、「長居したくなる仕掛けが店内に目白押し」です。以下に説明していく、あらゆる「実施すべきコツ」は、この長居して客単価があがる、それでいて、繁盛するといった仕様です。ぜひ、必要な方は、御店で取り入れてみてくささいね。


第2章:居酒屋利用の想定顧客(消費者)層の検討と見直し
居酒屋の集客を成功させるためには、まずもって「どのような御客様がお店に溢れて欲しいか」を決めることが重要です。男性も女性も、老若男女もといった具合に欲張ると、概ね集客に苦戦します。これは私のようなマーケティングコンサルタントにも言えることですが、仮に飲食店の方が集客に苦戦していて、マーケティングコンサルタントに頼る場合、建設業界も、自動車業界も、食品業界も、といった具合に手広く「支援できる業界」をPRしているコンサルタントに対しては、「この方は大丈夫なのか?信頼して良いのか?」と不安を煽ることになります。逆に「飲食・食品業界専門です」と発するからこそ、飲食店の方も「信頼してみよう!頼んでみよう!」と思うものなのです。 居酒屋に限ったことではありませんが、特に居酒屋においては、この視点を強烈に意識することが、想定した売上や集客を実現する「はじめの一歩」だと、念頭に置いて取組んでほしいと思います。
繰り返しになりますが、居酒屋においては「誰に来店して欲しいのか」を明確に意識し、アルコール類の充実や、料理(メニュー)の充実、に取り組むことが求められます。
第3章:居酒屋で想定した顧客層を式にして論理的に捉える
さて、想定した顧客層とは、どのように考えるかなのですが、以下のような公式がおススメです。
顧客層=性別×年齢別×(居住地or勤務地)×選好×嗜好 ― ①
・選好と嗜好によるグルーピング
選好や嗜好の切り口は様々ですが、これまでの支援で上手く事が運んだグルーピングをいくつか紹介すると、下表のように整理できるでしょう。


紹介した式①にあるように、全ての項目は掛け算のため、それぞれの要素を複数組み合わせて、お店の顧客層を決めていくと良いでしょう。ある支援先の場合は、以下のようになりました。
顧客層=女性×20~40歳台前半×A駅周辺に勤務している方×選好(野菜を使った料理好き、ボリュームがあるもの)×嗜好(濃い味、カロリー抑えめ)
実際の経営は、この数値「顧客層」を極大化するために、この式の中の変数を操作するようなオペレーションが求められます。
第4章:想定顧客に対する居酒屋の顧客価値(存在価値)の決定方法
想定する顧客層が決まったら、「その方々にとって自店は、どのような存在感を提供できるのか」を検討していきます。つまり、存在価値です。そのお店が、長くお客様に愛されて親しまれるためには、その価値を強烈に意識した運営が必須だからです。
お店の存在する価値(顧客価値)の見つけ方には種々のアプローチがありますが、当所でおススメしている方法は以下の参考記事になります。集客に苦戦しているお店ほど、そのあたりを見つめ直してみてはいかがでしょうか。
≪関連する参考記事の御案内≫
⇒顧客価値を発見できるジョブ理論。詳しく知りたい方は「ジョブ理論を活用し顧客価値を創出(充足)した小規模事業者の事例」の記事が参考になります。
⇒そもそも、顧客価値とは?顧客価値はどうやって構築するのか?が知りたい方は「御店・商品・サービスの顧客価値(存在価値)の構築とコンセプトの設定手順や方法」の記事が参考になります。
第5章:居酒屋の売れる新メニュー開発(新商品開発)の方法とコツ
新たに売りのメニューを作る方法は、多くの居酒屋の方が、気になるところでしょう。ロジックは、そんなに難しくありませんので、手順に添って進めていきましょう。
1)既存メニューから売れ筋を発掘する方法
まずは、 新たに1から新メニュー(新商品)を開発せず、既存メニューを見直して、売れ筋に育てていくというアプローチを先に紹介します。
その場合、重点管理(ABC分析)等をベースに「A」に属するからといった単純な理由で、その「見直しすべき」メニューを選定することだけは避けたいものです。その数字は、単なる一定期間の結果であって、顧客嗜好や各料理に対する満足度等が反映されていないからです。
売れ筋メニューの発掘の仕方には種々ありますが、当所は多属性態度モデルによるアプローチを推奨しています。以下の参考記事から確認ください。
≪関連する参考記事の御案内≫
⇒売れ筋を顧客層や顧客特性を念頭に、発掘する方法は「多属性態度モデル活用による主力メニューや商品の決め方(発掘法)」の記事が参考になります。
2)顧客層を意識したメニュー開発の組み立て方
次に、新たに売りのメニューを作り上げていく視点を説明していきます。
売りのメニューとは、一言で言うと「自店の存在価値(顧客価値)を示す代表メニュー」です。つまり、売りのメニューを検討するにあたっては、この存在価値(顧客価値)を強烈に意識しなければなりません。存在価値は、想定顧客層にとって「価値」があれば良いので、想定顧客層の式①を踏まえて組み立てていく必要があります。
例えば、先の事例の「顧客層=女性×20~40歳台前半×A駅周辺に勤務している方×選好(野菜を使った料理好き、ボリュームがあるもの)×嗜好(濃い味、カロリー抑えめ)」の場合、A駅周辺に勤務している20~40歳の女性に一目置かれる料理でなければなりません。また、その料理は、野菜を使ったものでなくてはならないのです。盛付けは、ボリュームがある工夫が必要で、風味は濃い味、それでいてカロリーを抑えめな健康的なイメージでなければならないということです。
新メニュー開発(新商品開発)は試行錯誤ですから、これが正解というものは無いのですが、少なくとも、顧客層の式①を踏まえて、下表のようなチェックリスト(イメージ)を設け、その試作しているメニュー(商品)が、そのチェック項目を網羅しているのかを確認していくことが必要です。このことで、試作しているメニュー案の完成度を図ることが可能です。

確認作業は、実際のお客様に参画していただけるのが1番だと判断します。何百人ということは、規模が小さい店ほど困難ですから、5~10人程度に尋ね、8割以上の方が、全項目で「そう思う」という回答が得られるような完成度にすれば、良いと判断します。無論、10人中10人になるような完成度の域まで、取り組みたいところですが。
なお、この顧客層「女性×20~40歳台前半×A駅周辺に勤務している方×選好(野菜を使った料理好き、ボリュームがあるもの)×嗜好(濃い味、カロリー抑えめ)」の事例で産まれた商品事例は下記画像です。支援先では「そのまんま!かぶサラダ」としてネーミングしています。「野菜を使ったボリューミーで、風味が濃く、それでいてカロリー控えめな料理」になっています。

≪関連する参考記事の御案内≫
⇒そもそも、ネーミングの作り方を学び他たい方は「食品メーカー・飲食店のネーミングの方法(商品名やメニュー名の決め方)」で知ることができます。
3)メニューに動きと参加を促す
居酒屋は、「動き:聴覚や視覚」と「参加」のいずれか、あるいは両方を加味したメニューにすると「売れ筋メニューになりやすい」ことがわかっています。
動きとは、文字通りで、盛り付けた料理の全体や一部が動いていることです。鮮度(ついさっきまで生きていた・漁師直送など)の良さ等や、熱々といった訴求(PR)が期待できます。なお、こういった料理は、お客様がSNSなどで言及してくれることに繋がります(下記参考動画)。とくに難しいことはありません。冷たいものは冷たく、温かいものは温かく、熱いものは熱く、そのような思いでメニューを仕上げていきましょう(あるいは、改善しましょう)。
参加とは、調理の最終工程をお客様に委ねることです。お魚を焼いてもらう、小鍋に火を入れ煮詰めてもらう、等々を指します(下記参考画像)。ただし、風味や食味に影響するため、周到な調理マニュアルを用意し、お客様に委ねる準備が必要になるときもあります。


第6章:居酒屋の売れるアルコール等のドリンク類の品揃えの方法(コツ)
近年の流行る居酒屋のアルコールやソフトドリンク事情を紹介します。まずアルコールですが、あれもこれもではなく、ラインは浅く(狭く)、アイテムは深くという状態がおススメです。ラインとは、日本酒、焼酎、ビール、カクテルやサワーといったものを指し、アイテムはそのラインに属する各商品(各メニュー)と捉えると良いでしょう。下記に事例を紹介しますので、参考にしてください。


日本酒、ビール、カクテル、サワー、焼酎といった具合に、総花的に品揃えしておけば良いというよりは、日本酒は種類が多い、ビールだけは種類が多い、といったように、絞るということを指しています。支持される居酒屋の場合は、日本酒専門店、ビール専門店といったように、ラインは極力狭くするに越したことはないということです。

ひと通りのアルコールの種類を多く品揃えすることは、大規模チェーンに軍配があがります。つまり、ひととおりで競争しないことが重要なのです。
ソフトドリンクについては、可能な限り既製品を使わないことがポイントです。ウーロン茶などは最たるものですが、ちゃんとお店で湯沸かしし、煮出すようにします。要するに、既製品の銘柄が見えない取組が重要です。
ジュース類は、フレッシュにコダワリましょう。いわゆる駅立地にあるジュースバーを参考にされると良いと思います。つまり100%果汁(搾汁)が、支持される方向性です。単価は相応に上がっても構いません。お酒飲みの方に付き合う「お酒が飲めない方」の居心地を良くするためにも、大事な論点です。家では飲めない域を目指したメニュー開発が求められます。
備考)売れるオリジナル・アルコール(ドリンク類)の開発のネーミング
アルコール類やソフトドリンク類が人気になるには、ネーミングも重要な要素です。記憶に残り、購買を誘発するネーミングの決め方にはコツがありますので、以下の記事をご覧ください。
≪関連する参考記事の御案内≫
⇒そもそも、ネーミングの作り方を学び他たい方は「食品メーカー・飲食店のネーミングの方法(商品名やメニュー名の決め方)」で知ることができます。
第7章:アルコール類で原価率をコントロールする
居酒屋はアルコールを売って儲かると一般的に言われていますが、何でもかんでも儲かるわけではありません。例えば、ビールは、それほど儲からないことは周知の通りですね。では、どういったもので原価率を抑え、収益性を考えるのかと言いますと、それは「わりもの」「まぜもの」でしょう。
理屈は簡単で、例えばビールやワインは、原液そのものを販売するわけですから、どうしても高くなります。比べて、「わる・まぜる」といったアルコールは、原液を薄めることになるので、原価が下がるのです。事例を以下に示しておきますね。
≪焼酎割り≫
焼酎で割るアルコールが、1番原価が抑えられ利益率が高くなります。焼酎は大きく分けて3種類で、甲類、麦、芋、になります。他にはそば焼酎、黒糖焼酎、昆布焼酎、紫蘇焼酎など様々です。
≪炭酸割り≫
サワー、チューハイ、ハイボール、スプリッツァー等を、炭酸割りとします。ハイボールはウイスキーを割るものと勘違いされている方も多いですが、これは炭酸割りという意味です。
≪カクテル≫
洋酒を使って、種類の違う物を混ぜ合わせるのがカクテルです。
第8章:リピートされる居酒屋の空間演出の方法とコツ
居酒屋の定義を思い出してください。居酒屋とは、居座って酒や肴を楽しむ場所です。そのため「ゆとり」や「居心地」が良い空間創りが重要だと説明しました。そのことを具現化することで、お客様は「あの店は楽しい!」「あの店は居心地が良い!」と実感してくれることでしょう。つまり、次回来店へ向けた「事前期待」が高まるのです。
ちょっと視点を変えて説明しますと、食品メーカーの「ロングセラー商品」のパッケージデザインの起案が参考になります。居酒屋(自店)を、長く愛してもらうということが目的ですから、食品メーカーの商品に例えると「末永く愛用して購入してもらうこと」と同意だと言えます。従って、店内の色使いや彩りは、食品パッケージのロングセラーを誘発する色使いを参考にできます。
≪関連する参考記事の御案内≫
⇒色使いについて知りたい方は「食品等のパッケージ デザインの色の決め方・手順・色の選択の方法」で知ることができます。

なお、上記の視点だけでは、どの居酒屋も「同じような雰囲気」になってしまい、上手くありません。そこで、ここにストアコンセプトを踏まえたメッセージを加味したデザインが差異化のポイントになります。ストアコンセプトを具現化する言葉として、仮に「高級感」「活気」という要素があるのであれば、それぞれ、ゴールドや深赤色、橙色や白色等を指し色に使う等、デザインを秀逸なものにブラッシュアップしていきます。

第9章:居酒屋の既存客から新規客を獲得する方法
1度来店されたお客様が新規客を連れてくる方が(仲間を連れてくる方が)、独自に新規の御客様を囲い込むより容易です。そのあたりは、皆さんの御店でも実感では無いでしょうか。そこで、数ある飲食店の販促策の中から、居酒屋特有に「うまく集客できる」方法について、少々ピックアップして紹介します。
1)競い合う仲間を増やしたくなるポイント制度の導入
来店頻度や購買額に応じたポイントカードを発行している居酒屋も多いですね。しかしながら、そのカードが機能している居酒屋は、少ないのが実情です。従って、これからは、楽しく、参加したいと思っていただけるようなイベント(企画)と合わせて、実施していくと良いでしょう。

サワーの注文点数の累積に応じて、班長、係長、課長、部長、常務、社長と言った具合に店内で使える名刺を手に入れることができます。その名刺に応じた接待(割引や特別メニューの注文等)を受けたいがために、お客様は、仲間を巻き込んで、競い合うようにお店に来店を重ねます。
このように楽しそう、参加したいと思えるようなイベントとポイント制を組み合わせることで、想定通りの参加を促す「ポイント制度の運用」が叶うのです。
2)紹介してほしい方と「その理由を明確にすること」で来店を誘発する「紹介カード」
「誰でも良いから、誰かを紹介してください!」という主旨が、多くの居酒屋の発行する紹介カードでしょう。これでは、誰も紹介してくれないのが関の山です。ですから、これからは、「どのような顧客層を紹介してほしいのか」を明確に書くようにしましょう。そうすることで、紹介カードを渡された方が、紹介する際の「心理的ハードル」が下がるものです。気軽に誘いやすくなります。
・事例:「野菜を使った料理を紹介しつつ、野菜をタップリ楽しみたいご友人とご来店ください。サラダ料理を大盛りで御案内します」
・事例:「ビール好きの会社の御仲間とご来店ください。最初の麦酒を半額でご提供します」
このように、誰を紹介してほしいのか、どのような選好や嗜好の方を紹介してほしいのかを明確に記載する紹介カードがおススメです。
第10章:居酒屋の既存客の来店頻度を上げ来店期間を短期化する方法
既存客を囲い込めたかどうかを確認する指標には、次回来店までの期間(時間)をウオッチし短期化したかを見る方法、来店頻度が上がっているかを確認する方法があります。この指標を改善するアプローチとして、数ある飲食店の販促策の中から、居酒屋特有に「うまく集客できる」方法について、少々ピックアップして紹介します。
1)次回も来店したくなる「選好や嗜好に働きかけるカード(割引券)」の配布
おススメしたい取組に「次回来店時の割引券」というものがあります。ただし、単に「次回来店したら割引します」では効果が薄いことも事実です。そこで、次回来店したいと思わせるよう、企画を作り込んでおくことが必要です。

簡単にポイントを説明しますと、次回来店時に、再来店してほしい方の選好を意識した割引券を配布するということです。上記画像は、こんにゃく好きな私に『「こんにゃくづくしの会」を実施するので、その際に参加しませんか?』という意図の割引券ですね。
2)来店して貯めたくなるポイント制度の導入(ポイントカード)
既述で紹介した「競い合う仲間を増やしたくなるポイント制度の導入」の取組は、ここでも役立ちますので、ぜひ取り組んでみてくださいね。
例えば、ポイント数に応じて、注文する料理やアルコールのランクがアップするのも嬉しいですね。例えば、一定数に到達すると案内されるQRコードがあり、そこから、ポイントに応じた「裏メニュー」の存在を匂わすPRです。実際支援先でも行うことがありますが、ポイントに応じて注文できる内容がランクアップしていくことが、本当に、うれしいようで、いつも人気になる企画です。
工夫次第で御客様が「盛り上げてくれます」ので、めんどくさがらずに、企画して実行してみてくださいね。
第11章:居酒屋で客単価を上げる鉄板の方法
各テーブルに、スタンドPOP(下記画像のようなもの)を用意し、「店長やスタッフおススメの料理」として紹介するようにしましょう。あるいは、お客様からの注文が多く評判の料理等を紹介しつつ「大人気」という表記も良いでしょう。

上記画像の事例のようなスタンドPOPを店頭で見たお客様は、「大人気だから頼んでみよう・・!」といった衝動に誘発されることがわかっています。このような表記をテーブルで見たお客様は、ウインナーが食べたいと思ったのでは無く、大人気というメニューを頼んでみたいと思ったということです。これは記号消費といわれる現象で、この現象を利用することで、テーブルでの注文を促進することができます。
≪関連する参考記事の御案内≫
⇒記号消費活用によるマーケティング策を知りたい方は「記号消費活用による集客策・販促策・商品開発・メニュー開発の方法(手順)」で知ることができます。
⇒関連してメニューを注文してもらう関連販売やセット販売は、客単価向上に有効です。手法や方法は「飲食店や食品メーカー等の関連販売やセット販売の実施方法や手順について(部分確率の利用)
」で御覧ください。
余談ですが、このスタンドPOPは、そのお客様が在席している間に「数回」更新を掛けると効果的です。タイムリーに新たなおススメを見ることで、注文意欲が喚起されることがわかっています。「注文が伸びないなー」と思った場合、迷わず事前に用意していた「おススメスタンドPOP」を更新するようにしましょう。結果、テーブル単価(客単価)の向上に大きく貢献することがわかっています。
第12章:新規客を新たに開拓する方法
ここでは、既存客を介した新規客の獲得の方法では無く、新規客を独自に見つけ出し、獲得していく方法について説明していきます。とは言え、飲食店全般論では無く、居酒屋特有の方法について、数ある中から、とっておきのおススメを紹介したいと思います。
1)インターネット(Web)を活用した居酒屋の集客と販売促進(販促)の方法
まず押さえたいのは、集客策と販促策との相違です。詳しくは以下の関連記事より、ご覧ください。
≪関連する参考記事の御案内≫
⇒集客と販促の違いは「集客策と販促策の相違と実施方法を成功事例で説明」で知ることができます。
上記の関連記事で紹介している通り、インターネットで扱う集客ツールと、販促ツールには相違がありません。Facebook、Instagram、TwitterといったSNSは勿論のこと、ホームページ(webサイト)等も両方の取組に有効です。
居酒屋特有の論点としては、下表の内容の情報の発信を心掛けると良いでしょう。かなり有効な集客や販促が実現できることが、支援の中でわかっています。事例として、日本酒と日本酒に合う肴を提供している居酒屋の事例を紹介しておきます。

なお、発信する情報は、先に紹介した顧客層を意識し、これらの顧客層の選好や嗜好を踏まえて組み立てていくと良いでしょう。例えば、顧客層を「女性×20~40歳台前半×A駅周辺に勤務している方×選好(野菜を使った料理好き、ボリュームがあるもの)×嗜好(濃い味、カロリー抑えめ)」とした、先ほどの事例の場合、野菜の品種、野菜の調理による風味の変化・・等々をPRすることで「集客策とする」というようなことです。
インターネットに取り組んでいる居酒屋の方で、「発信する情報が無い」「困っている」という話を耳にしますが、以上のように考えていきますと、キリが無いくらい、発信すべき情報は溢れていると言えますよね。日本酒の銘柄を1つ1つ説明するだけで、どれだけの銘柄が日本にあると思いますか。野菜の品種を説明するだけで、どれだけの品種があると思いますか。野菜の調理による風味の変化は、一言や二言で済むわけが無く、切りが無いくらい奥が深いですよね。切りが無いですね。
また、現代の居酒屋の集客において、多くの想定顧客が手元に保持しているスマートフォンの活用は避けて通れません。特に以下の3つのWebツールは、強力な販売促進の武器となります。
① Googleビジネスプロフィール(MEO対策)による集客
「地域名+居酒屋」で検索した際、Googleマップの上位にお店を表示させる施策です。魅力的なシズル感のある料理写真や、最新の営業情報、メニューを整えておくことで、「今すぐ近くで飲めるお店を探している層」をダイレクトに集客できます。
② SNS(Instagram・TikTokなど)を活用した認知拡大
視覚や聴覚に訴える居酒屋のメニュー(前述した「動き」のあるメニューなど)はSNSと非常に相性が良いです。美味しそうな動画を投稿するだけでなく、お客様にハッシュタグ付きで投稿してもらう(UGCを生み出す)キャンペーンを実施するなど、参加型の販促策が効果的です。
③ LINE公式アカウントによるリピート販促
新規客を既存客へ、既存客を常連客へと引き上げるためのツールです。「雨の日限定の1ドリンクサービス」や「期間限定の旬のメニュー」などの情報をダイレクトに配信し、次回の来店(販売促進)を促します。紙のスタンプカードをLINEに移行するのも、再来店率を高める有効な手段です。
2)チラシ(フライヤー)を活用した居酒屋の集客と販促の方法
チラシ(フライヤー)を使って新規客を獲得する方法もおススメです。チラシ(フライヤー)を作成する方法や記載内容、どのようにお客様にチラシを届けるかについて、根本的に知りたい方は、以下の関連記事がおススメです。
≪関連する参考記事の御案内≫
⇒チラシの作成方法は「集客や販促を成功に導くチラシ(フライヤー)の作成の方法と新規客獲得方法」で知ることができます。
ここでは、チラシを作成する際の居酒屋ならではの留意点について、いくつか紹介します。
①アルコール類をPRするのか・料理(メニュー)をPRするのかを明確にする
ここでも、顧客層の選好を意識します。その上でアルコール類をPRするのか、料理(メニュー)をPRするのかを選択します。例えば、下記の顧客層が事例の場合は、それぞれ野菜を売りにした料理、ビール(アルコール)を売りにしたPRを心掛けます。
顧客層事例①の場合
「女性×20~40歳台前半×A駅周辺に勤務している方×選好(野菜を使った料理好き、ボリュームがあるもの)×嗜好(濃い味、カロリー抑えめ)」
顧客層事例②の場合
「男性×40歳台以上×A駅周辺に勤務している方×選好(ビール好き)×嗜好(カロリー抑えめ)」
なお、関連記事(集客や販促を成功に導くチラシ(フライヤー)の作成の方法と新規客獲得方法)に紹介しているチラシのキャッチコピー5要素(5つの記載すべき内容)を抑えた上で、余白がある場合は、嗜好まで踏み込みます。上記事例①の場合は、濃い味、カロリー抑えめの料理(メニュー)に言及します。事例②の場合は、カロリー抑えめの料理(メニュー)に言及すると良いでしょう。
また、リーチについて(どうやって顧客に届けるか)ですが、安易に新聞折り込みやポスティングといった選択は、あまり効果がありません。関連記事(集客や販促を成功に導くチラシ(フライヤー)の作成の方法と新規客獲得方法)に紹介しているバブル図を使い、どこに「その顧客層が存在するのか」を明確にした上で、届ける手段(持参して手渡し、新聞折り込み、店頭での掲示等々)を選択していきます。その方が、届けたい相手に確実に届けられます。
例えば、事例②の顧客層を想定したチラシを作成し、市内の草野球チーム7チーム各々の集まりでビールを楽しんでいただく場を設けたければ、20,000世帯に新聞折り込みするよりも、草野球チームそれぞれに訪問し、監督等に手渡しした方が、費用対効果が高いと言いたいのです。
②どういった利用をして欲しいのか場面を創造できるように
ここは少し上級者向けですので、可能なら取り組んでみてください。想定した通りの集客に貢献してくれることでしょう。
居酒屋は居座ってお酒を楽しむ場所です。その居座り方について言及するようにします。再び前項の顧客層事例①と顧客層事例②に登場していただきますが、選好を意識して、表現すると良いでしょう。
例えば事例①の場合、「〇〇種類の野菜料理に目移りする楽しさが伝わるよう」表現やイラストを心掛けます。事例②の場合、「●●種類のクラフトビールを選ぶ楽しみが伝わるよう」表現やイラストを工夫します。「長居してください」と伝えずとも、結果的に長居するに値する場だというイメージを訴求していきます。
ほかにも、年末年始を中心とした宴会であれば、宴会の楽しさが伝わるようにします。料理や酒の肴(メニュー)は二の次だったりします。顧客が叶えたい状況は楽しい空間を味わえることです。そうであれば、訴求するイラストや画像は、楽しんでお酒を楽しんでいるイメージのようなものが良いでしょう。
第13章:【曜日別】平日の居酒屋集客を最大化する具体的な方法
週末は満席でも、平日の集客に悩む居酒屋経営者は少なくありません。平日の稼働率を上げるには「ターゲットの絞り込み」と「限定感」、それから強烈な顧客価値(来店される動機付けであり、存在価値です)が鍵となります。
⇒そもそも、顧客価値とは?顧客価値はどうやって構築するのか?が知りたい方は「御店・商品・サービスの顧客価値(存在価値)の構築とコンセプトの設定手順や方法」の記事が参考になります。
平日のお店は、誰のために存在するのか?平日の「その料理」は誰のために用意するのか?
そのあたりを、考え抜くこと、そして伝わるようにPRすることが重要です。以下にアイデアの事例を、いくつか紹介します。
・「お一人様・サク飲み層」の取り込み
「晩酌セット(ドリンク+おつまみ2品で1,000円)」など、仕事帰りにフラッと寄りやすい低価格・短時間の動機を作ります。その際、ビール好きに対してなのか、ハイボールが飲みたい方なのかなど、アルコールの種類を意識すると尚良いです。
・特定ターゲット向けの「曜日限定イベント」
「火曜日はレディースデー(デザート無料)」「水曜日は近隣ビジネスマン応援デー(生ビール半額)」など、特定の客層が「今日あそこに行こう」と思い出す理由を曜日ごとに設定します。
・特定の食材(希少な食材)を訴求するイベント
「毎月第二火曜日は希少な魚「●●」が入ります。貴重な機会に、お刺身で食べたい方はぜひ!」など、特定の客層が「今月あそこに行きたい!」と思い出す理由を曜日や月ごとに設定します。
・周辺企業への「法人・団体アプローチ」
平日の宴会需要を掘り起こすため、近隣の会社へ「平日限定の飲み放題延長プラン」を記載したチラシを配布したり、名刺交換によるリピーター施策を強化します。
第14章:見込み客を獲得する居酒屋の集客アイデア15選
集客とは「お店を知ってもらい、来店への動機を作ること(見込み客の獲得)」です。ここでは、心理学的な根拠に基づき、新規客や認知拡大に直結するアイデアを紹介します。
1)地元コミュニティを巻き込む「ローカライズ戦略」
人は共通点を持つ相手に好意を抱く「類似性の法則」があります。例えば、以下に紹介する画像は、近隣の学校名を入れた「地元中学ハイボール」のようなメニューを店頭やSNSで告知した事例です。同窓会や地元客の来店動機を強力に喚起します。なお、それら中学校の御出身の方に開発にかかわってもらうことで、その方々の知人や、所属する団体(会社など)も「行ってみたい!」という見込客に育てることができます。

2)SNSでの「裏側・ストーリー」の発信(単純接触効果)
完成した料理だけでなく、仕入れの様子や店主の失敗談などを発信します。接触回数が増えるほど好感度が増す「ザイオンス効果(単純接触効果)」により、来店前から「親近感」という見えない資産が貯まります。
3)Googleビジネスプロフィール(MEO)での「シズル感」訴求
「近くの居酒屋」で検索する今すぐ客に対し、動画や湯気の立つ画像を掲載。視覚情報は言語情報の数万倍の伝達力があり、直感的な来店を促します。
4)看板メニューの「店頭一点突破」PR
A型看板に全てのメニューを書くのではなく「当店のこだわりお通し(刺身4点盛)目当てで来てください」と一点を強調します。「アンカリング効果」により、お店の価値を強烈に印象付けます。
5)ハレの日(記念日)」専用プランのWeb集客
「誕生日生ビール」や「主役生ビール」といったメニューを用意し、それをHPやグルメサイトで「記念日に強い居酒屋」としてPRします。目的来店層はドタキャンが少なく、客単価も高い傾向にあります。

6)インフルエンサーより「マイクロアンバサダー」の起用
フォロワーが少なくても、地元での交友関係が広い常連客に「特別招待券」を渡し、友人を連れてきてもらいます。信頼できる人からの推薦は「社会的証明の原理」として強力に作用します。
7)プレスリリースの活用で「話題の店」へ
例えば「額に『中』と書けば割引」といったユニークな企画は、地域のWebメディアや新聞の格好のネタになります。メディア掲載の事実は「ハロー効果(権威付け)」を生み、集客力を底上げします。
8)期間限定・数量限定での煽り(スノッブ効果)
「本日入荷の〇〇、限定3食」といった発信は、「他人が持っていないものを欲しがる」というスノッブ効果(希少性の原理)を刺激し、来店への焦燥感を生み出します。

9)近隣異業種との「クロスマーケティング」
近くの美容室や銭湯と提携し、互いのショップカードを置きます。異空間でのレコメンドは広告の押し売り感がなく、自然な見込み客獲得に繋がります。
10)参加型UGC(ユーザー生成コンテンツ)キャンペーン
「#〇〇居酒屋」で投稿すればその場で一品サービス。お客様自身のフォロワー(似た属性の友人)に対する最強の口コミ集客となります。
11)店頭での「匂い」と「音」の演出
焼き鳥の煙や、店内の活気ある声(聴覚・嗅覚)を店外へ漏らすことは、人間の原始的な食欲を直接刺激する最強のオフライン集客です。
12)「損したくない心理」を突く初回限定オファー
「今週来店しないと消滅する初回限定クーポン」など、人間が利益より損失を大きく評価する「損失回避性の法則」を利用したオファーを出します。
13)あえて「ターゲットを極端に絞る」看板
「最近、部下との飲みに疲れている管理職のあなたへ」といったピンポイントなメッセージは、「カクテルパーティー効果」により、当事者の目に強烈に飛び込みます。
14)LINE等の「ステップ配信」による教育
友達登録後、いきなり売り込まず「当店で扱う魚の美味しい見分け方」などの有益情報を配信し、専門家としてのポジションを築いてから来店を促します。
15)ユーザーの「自己重要感」を満たすイベント企画
「日本酒の銘柄を当てる利き酒会」など、お客様が自身の知識やスキルを披露できる場を作ることで、知的好奇心の高い層を集客します。
第15章:顧客を獲得しリピーターに変える居酒屋の販促アイデア15選
販促(販売促進)とは、「来店したお客様の客単価を上げ、再来店(リピート)を確実にするための仕掛け」です。支援先が実践されている素晴らしい事例を交えて解説します。
1)お通しの「高付加価値化」による満足度の底上げ

「お通し代980円で刺身の盛り合わせ」を提供する仕組みは、行動経済学の「メンタルアカウンティング(心理会計)」において、単なる席料ではなく「価値ある最初の一品」としてお客様の財布の紐を緩める絶大な効果があります。
2)手書きのウェルカムカードで「返報性の原理」を起動

予約客のテーブルに、名前入りの手書きカードを置く。人は親切にされるとお返しをしたくなる「返報性の原理」が働き、結果として注文数が増えたり、チップ代わりの高評価口コミに繋がります。
3)遊び心あるネーミングで注文のハードルを下げる(フレーミング効果)

ただのビールを「チャンピオン生」や「頑張った人に…」と言い換えることで、注文すること自体が「エンターテイメント(自己承認)」に変わります。見せ方を変えるフレーミング効果の好例です。
4)お客様の「参加」を促し、愛着を持たせる

「額に『中』と書いて頂ければ百円引き」。お客様自身が労力をかけたり参加した物事に高い価値を感じる「IKEA効果(保有効果)」により、その日の飲み会が一生の思い出(強烈なリピート動機)になります。
5)「制限」をかけて価値を高める(心理的リアクタンス)

「1日3杯まで!!」と制限されると、人間は自由を奪われたと感じ、反発してそれを欲求する「心理的リアクタンス」が働きます。結果、普段頼まない層まで注文するようになります。
6)品切れをあえて見せて「バンドワゴン効果」を狙う

売り切れたメニューに大きく「×」をつけて残しておくことで、「これほど人気なのか!」という社会的証明(バンドワゴン効果)を生み、次回以降の来店時の注文や、別商品の購買意欲を煽ります。
7)メニューに「感情とストーリー」を書き込む

「フレッシュな開けたて」「しぼりたてをすぐに瓶詰め」といったシズル感あふれる手書きの言葉は、「認知的容易性(読みやすく理解しやすい状態)」を高め、無機質な活字よりも脳にダイレクトに「美味しそう」と認識させます。
8)スタッフの「パーソナルなおすすめ」を導入する
「店長のおすすめ」ではなく「アルバイトの〇〇ちゃんが賄いで一番食べる裏技アレンジ」とする方が、権威性よりも親近感が湧き、注文率が向上します。
9)ゴールが近いポイントカード(目標勾配仮説)
10個で満タンのカードを渡す際、あらかじめ2個スタンプを押して渡します。人は目標に近づくほどモチベーションが上がる「目標勾配仮説」により、ゼロから始めるより圧倒的に再来店率が高まります。
10)頼まざるを得ない「ペアリング」の提案(テンション・リダクション効果)
高単価のメイン料理を注文した直後の、お客様の心理的な緊張が解けた瞬間(テンション・リダクション効果)を狙い、「これに絶対合う日本酒があるんです」と提案することでクロスセル(ついで買い)を誘発します。
11)メニューの「松竹梅」の法則(極端の回避性)
コースや盛り合わせを3段階の価格で用意すると、無意識に真ん中(竹)を選ぶ心理を利用し、狙った商品の注文をコントロールして客単価を安定させます。
12)サプライズの「無料サービス」
食後に一口サイズの温かいお茶や、小さなデザートを「メニューにはないですが、サービスです」と提供する。期待値を上回るサプライズが「ピークエンドの法則」(最後の印象が全体の印象を決める)により、圧倒的な好印象を残します。
13)「次回来店の理由(フック)」を帰り際に渡す
会計時に「来週の火曜日に、幻の〇〇が入荷するんです」と口頭で伝えるか、専用のチケットを渡す。記憶が最も新しいタイミングでのアプローチが次回予約に直結します。
14)「常連客専用の裏メニュー」による優越感
何度も通うことで頼めるようになるメニューの存在は、マズローの欲求5段階説における「承認欲求(他者から認められたい)」を強烈に満たし、顧客ロイヤリティ(忠誠心)を高めます。
15)お手洗いの「ポップ」による無意識への刷り込み
居酒屋において、お客様が唯一一人きりになり、情報に集中できる空間がトイレです。ここに「実は当店、〇〇にこだわってます」という熱い想いを貼ることで、席に戻った後の追加注文を自然に促します。
(他にも)
・体験型・参加型イベント
「利き酒セットで銘柄を当てたら次回来店クーポン」「サイコロの出目でドリンクのサイズが変わるチンチロリン」など、娯楽要素を加えることで滞在中の満足度と客単価が向上します。
・季節・カレンダー連動販促
ボジョレーヌーボー解禁、スポーツの国際大会、地域の祭り、あるいは「11月11日(ポッキーの日ならぬ、焼き鳥の日)」といった独自の記念日を設定し、限定メニューを展開します。
・SNS連動「映え」イベント
「特定のハッシュタグを付けて投稿すると、その場でスピードくじが引ける」などの販促は、お客様のフォロワーを通じて新規客(紹介)の獲得に繋がります。
コラム:唐揚げ1個が販促の要(成果が出た居酒屋の販促事例)
神奈川県の愛川町にある「はらぺこ」という居酒屋の事例です。

こちらの立地ですが、最寄りに電車の駅があるわけではなく、周辺は工場が多いという立地で、車社会です。新型コロナウイルス感染症影響下で、これまでの主たる利用者層の工場の方々の利用控えや、宴会需要の激減により、計画的に飲みに来てくれる方々が激減しました。コロナ明けも客足が戻らず、かなり苦戦していたものです。
そんな中で、ご依頼をいただき支援に着手しました。着想したのは、同社の唐揚げの人気です。コロナ前の活況な時期、コロナ明けの不調な時期においても、来店されるお客様には唐揚げが大人気です。実際、当所のスタッフと何度か食事をしましたが、これがなかなか秀逸です。

さて、この支援の中でも、一番、大切に進めてきたフェーズが顧客価値(存在価値)です。「この店は誰のために存在するのか?」ここを徹底的に経営者と議論しました。
その結果、同社の人気メニューである唐揚げを中心に据え、「唐揚げ好きにとって、必要な存在になろう!」という意図の顧客価値を設定したのです。つまり、近隣の商圏(愛川町、清川村、相模原市、厚木市)の中において、唐揚げを食べたくなったら必要とされる店を目指し、集客や販促策を展開していきました。
その中で、核になったのが、下記画像の「唐揚げ1個増量カード」です。

このカードは1度来店され、唐揚げを注文された方に配ります。周知には、コロナ明けのランチ再開チラシを、様々な拠点で配布しました(以下の画像)。例えば近隣の工場の総務課への配布やポスター掲示です。さらには種々のSNSで発信しました。

ランチタイムでも、ディナータイムでも、お店が開いている限り、何度でも使えるようにしました。結果、近隣の商圏の唐揚げ好きの間で少々、話題になり、安定したランチの唐揚げ定食と、ディナーの居酒屋「からあげ単品」メニューを魅きに、集客に成功したのです。前年比では、約132%超の客数、売上は前年比139%超となったのです。
それから2年、毎年2割増しの売上を重ね、現在はキャパオーバーなので、この画僧のカードを配布せす経営を行っています。
第16章:居酒屋の集客・販促に関するよくある質問(FAQ)
Q. 居酒屋の利益率を向上させるための「ドリンク品揃え」のコツはありますか?
A. ポイントは「ライン(種類)は浅く、アイテム(銘柄)は深く」揃えることです。あれもこれもと酒類を増やすと在庫ロスが増え、原価率を圧迫します。自店のターゲットが好むジャンル(例:日本酒など)に絞って深掘りしつつ、オペレーションを簡略化することで、高い満足度と適正な原価率(原価コントロール)を両立させることが可能です。
Q. 紹介カードを配ってもなかなか新規客に繋がりません。どうすればいいですか?
A. 「紹介してほしい相手」と「その理由」を明確に提示することが成功の秘訣です。単に「お友達を紹介してください」ではなく、「お酒好きの同僚の方に、この希少な日本酒を教えてあげてください」といった具合に、お客様が誰かを誘う「口実」をデザインしてあげましょう。これが紹介カードを通じた来店誘発のポイントです。
Q. 「売れる新メニュー」を作る際に、味以外で意識すべきことは?
A. お客様の五感を刺激する「動き(聴覚・視覚)」と「参加」の要素です。ジュージューという音、目の前で仕上げる演出、あるいはお客様自身が最後にひと手間加える調理工程など、体験型のメニューは満足度を高め、客単価アップにも直結します。記事内の「顧客層の式」に基づいたチェックリストの活用もおすすめです。
Q. ターゲット層を絞ると客数が減ってしまう不安がありますが、大丈夫でしょうか?
A. むしろ、絞らなければ誰にも響きません。「誰でもいい」は「誰にも必要とされない」と同義です。本記事で提唱している「顧客層=性別×年齢×立地×選好×嗜好」の公式を使ってターゲットを具体化することで、その方々にとっての「唯一無二の存在価値」が生まれ、結果として選ばれる店になります。
Q. 居酒屋の客単価を上げるために、回転率は重視すべきですか?
A. 当事務所では、無理な回転率向上よりも「長居してもらい、客単価を上げる」戦略を推奨しています。居心地の良い空間(居座って楽しむ場所)を演出し、お客様にゆったりと過ごしてもらう中で、追加注文を促す仕組み(動きのあるメニューやポイント制度など)を構築することが、繁盛店への近道です。
Q1. 居酒屋の集客方法で、まず最初に取り組むべきことは何ですか?
A. まずは「誰に来てほしいか」というターゲット層(想定顧客)を明確にすることです。記事内で紹介した「性別×年齢×立地×選好×嗜好」の式に当てはめて、自店の強みがどのお客様に刺さるかを定義しましょう。ターゲットが曖昧なまま販促を行っても、費用対効果は上がりません。
Q2. 平日の居酒屋集客を増やすための具体的なアイデアはありますか?
A. 平日は「わざわざ行く理由」を作る曜日限定のイベントが効果的です。例えば、近隣ビジネスマンをターゲットにした「水曜ノー残業デー限定・最初の生ビール100円」や、雨の日の来店を促す「LINE限定・雨の日おつまみサービス」など、心理的ハードルを下げる販促アイデアが有効です。
Q3. 飲食店でリピーターを増やすための販売促進(販促)のコツは?
A. お客様の「選好(何を重視するか)」や「嗜好(何が好きか)」に働きかけることが重要です。単なる割引券ではなく、次回来店時に「前回の好みに合わせた一品」をサービスするクーポンや、ランクアップ型のポイントカードなど、「また来たい」と思わせる仕組み(紹介カードや選好カード)を導入しましょう。
Q4. 居酒屋の客単価を上げるマーケティング手法はありますか?
A. 「滞在時間の延長」と「メニューの工夫」が鍵です。居心地の良い空間演出で長居を促しつつ、メニューに「動き(視覚・聴覚)」や「参加(お客様が仕上げる調理工程)」を取り入れましょう。五感を刺激するメニューは注文率が高まり、自然と客単価が向上します。
Q5. インターネット(Web)を活用した集客で、最も優先すべきものは?
A. Googleビジネスプロフィール(MEO対策)です。「地域名+居酒屋」で検索する「今すぐ客」を取りこぼさないよう、最新の料理写真や営業情報を常に更新しましょう。さらにInstagramで「映える」メニューを発信し、LINE公式アカウントでリピート販促を行う「Webの三段活用」が現在の飲食店販促の王道です。
Q6. 実際に成果が出た販促事例を教えてください。
A. 当事務所の支援事例では、既存メニューに「ネーミングの工夫」と「シズル感のある演出」を加えただけで、注文数が3倍になったケースがあります。また、ポイントカードの貯まるスピードをあえて速く設定し、再来店までの期間を半分に短縮させた成功事例も多くあります。
Q7. 居酒屋の販促イベントを企画する際の注意点は?
A. 「自店がやりたいこと」ではなく「ターゲット客が魅力的だと思うこと」になっているかを確認してください。記事で紹介した「顧客層のチェックリスト」を活用し、そのイベントが想定顧客の嗜好(濃い味、健康志向、ボリューム感など)に合致しているかを検証してから実施しましょう。
初稿:2019年3月10日 加筆修正:2022年3月19日、2025年6月2日、2026年2月15日、2026年3月2日、2026年3月14日
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飲食店のメニュー開発や食品メーカー(製造業)の商品開発の記事
久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。













