飲食業、食品製造業、農業者の売上獲得支援をしている中小企業診断士の久保正英です。
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今回は、支援先からも多々、要望のある「高級志向」の飲食メニュー開発や、加工食品の商品開発の手法について、多くの事業者が見落としている論点を中心に説明していきます。
この商品開発で最大のポイントは、消費者の心にある「ヒューリスティック」に配慮することです。
これは、人は物事を即座に判断する「行動経済学」の論点で、消費者の日常の購買行動を観察していれば、気づかされます。
例えば、近年のポテトチップスの商品開発の傾向は、二極化していて、概ね、次の2つです。
・従来のポテトチップス(いわゆる100円以下で買えるもの)

・最近の高価なポテトチップス(上代が200円以上のもの)

消費者が店頭やECサイトで「スナック売場」に行き、買い物をする際、仮に上記の2品が並んでいたら、概ね、次のような視点が瞬間が、頭を折檻することでしょう。
・消費者そもそもの購買動機
小腹が空いたから、補食として買いたい。食べたことがある「従来のポテトチップス」にしようかな・・
でも、高級感のある「高価なポテトチップス」も気になる・・
・過去の経験が参考に
食べたことがある「従来のポテトチップス」なら、美味しいことを知っているし、いつも通りにしようかな・・
でも、高級感のある「高価なポテトチップス」も気になる・・
・その場の情報を参考に
プライスカードやPOPを見て、「従来のポテトチップス」の相場観や、割引率なども念頭に、今日は、少し安いし、やっぱり「従来のポテトチップス」にしようかな・・
でも、POPの「芳醇な風味」や、高級感のある「パッケージデザイン」も気になるし、「高価なポテトチップス」も気になる・・
さて、このような心情を考えることが、以前も紹介したように、行動経済学をマーケティングに活かす最大の論点なのですが、実は、結果は概ね理解できていて、ほとんどの消費者は、「従来のポテトチップス」を手に取ります。
これがヒューリスティックです。
いくつかのヒューリスティックが複雑に絡み合うのですが、例えば、「いつもの経験」「いつも目に触れ、記憶に残っていること」が大きく影響し、何となく「まっ、従来のポテトチップス」で良いか!と回答を、直観、即決させるのです。
さて、では高級志向の商品やメニューを開発する方は、何を念頭に取組めば良いのか。ここが今回の本題です。以上の説明でわかるように、いわゆる定番といわれるメニューや商品には、ヒューリスティックが働き、なかなか消費者の手にとってもらえないものです。
そうであるにもかかわらず、多くの事業者は、パッケージで高級感を出したり、原料をコダワルことで、その高級路線にチャレンジします。
そこで、紹介したいのが、私が支援している中で、明確に効果を期待できる手法で、ヴェブレン効果というもの。
これは、商品やメニューの実用的な効用(つまり、お腹を満たす等)だけでなく、「何かしらの特別感によって、その商品やメニューを手に入れることに価値を見出す」という消費者の購買行動や思考を利用するもの。
では、次回、そのヴェブレン効果を使った商品やメニュー開発の具体的手順等について紹介していきたいと思います。(具体的手順 ⇒ クリック)
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ほか、商品開発やメニュー開発で必要な売上や集客につなげたい方向け記事を用意しています。一覧はこちらを クリックしてください。
久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。