ホテルや旅館業の集客の方法

 ここでは、ホテルや旅館業を営まれる方で、通常のマーケティング活動以外で見落とされている「集客」のコツを10点、紹介していきたいと思います。

目次

1.都合運営への顧客参加の工夫
2.思いやり注意喚起の実現
3.集客したい顧客層を意識した色彩や色調
4.セルフビルドによる温かい空間創り
5.飲料用のお水
6.温泉やお風呂の機能性
7.アクティビティへのアクセス簡便化
8.自然景観の活用度
9.主力メニューの決定または特長化
10.ほかマーケティング活動のポイント

1.都合運営への顧客参加の工夫

 規模が大きい宿泊施設(ホテルや旅館)ほど、オペレーションを効率化するために、お食事の時間や御布団を敷く時間を、事業者都合で進めてしまうものです。食事時間については「18時から、18時15分から、18時30分から」といったように、食事の開始時間をお客様に委ねる場面が定着してきていますが、例えば、お布団を敷く時間などはどうでしょうか。御夕食無し朝食ありプラン等においては、往々にして布団をあらかじめ敷いて、お客様をお迎えする事が多いように思います。観光から一息つこうとチェックインして、お布団が敷いてあるよりも、お茶を茶菓子といただくというニーズが強ければ、この布団が敷いてある状況は、不満足以外の何物でもありません。

 このように、往々にして様々なことが、事業者のオペレーション目線で、お客様の同意無しで決められることが多いのです。1度、すべてのオペレーションを見直して、その判断やサービスが、お客様の心情や事情に配慮したものなのか、チェックしてみてほしいものです。心情や事情に寄り添う取組が実現できれば、顧客満足度は大幅に改善することが、種々の2次データや当事務所の1次データでも明らかになっています。

2.思いやり注意喚起の実現

 多くの宿泊施設(ホテルや旅館)では、お客様同士のトラブルを避けるため、スタッフとお客様との誤解を避けるため、社会通念上の衛生管理(近年では感染症への罹患を恐れるがため)、といった理由で、多くの注意喚起を、館内の掲示等にて実施していることでしょう。その際、想定している顧客層への「思いやり(想いやり)」が滲み出ているかをチェックするようにしましょう。
 例えば、下記画像はファミリー層が多い宿泊施設の事例ですが、ファミリー層を想定した浴場での思いやりが表現できています。仮に、この宿泊施設が、ファミリー層への思いやりが欠落しているようだと、このような掲示は実現しなかったことでしょう。

 このように、ターゲットとする顧客層を念頭にした(館内の各施設での過ごし方や楽しみ方)「思いやり注意喚起」を強化すると、顧客満足度は大幅に改善することが、種々の2次データや当事務所の1次データでも明らかになっています。

3.集客したい顧客層を意識した色彩や色調

ターゲットとする顧客層の居住地、年齢(世代)、更には、将来にわたり宿泊サービス業として「どのようなメッセージをお客様に伝えたいのか」(どう口込まれたいのか)等々、色彩や色調は、想定した顧客層の集客や販促、さらには、これらの方々への満足度向上において、非常に重要です。 従って、どのような色彩や色調でフロントを彩るのか、お部屋を彩るのか等々、今一度、見直しを図っておきましょう。 詳しくは、こちらの記事を参考(⇒こちらをクリック)にしてください。

事例:茶色を中心に整えたフロント

4.セルフビルドによる温かい空間創り

 高級ホテルや高級旅館を除いては、安易に外注に頼って店内装飾を構築することは避け、手作り感満載(セルフビルド)で、店内装飾を順次実現していくと良いでしょう。種々の2次データや当事務所の1次データにおいては、セルフビルドの実現度が増すに連れて、顧客満足度が向上することが明確になっています。 なお高級旅館や高級ホテルにおいても、アクセントに、セルフビルド要素を組み入れると、
厳格ながらも温かさを演出でき、好感度が向上するとのデータもあります。

事例:セルフビルドで壁紙
事例:セルフビルドで種々木材で全体装飾

5.飲料用のお水 

 近年、多くの御家庭では、飲用にミネラルウォーターやボトルドウォーター、浄水器の取付けといったことは一般的になってきたのでしょうか。ご自宅で、そのようであれば、宿泊時(ホテル、旅館)にスペックを落とすと言うことは、受け入れがたいのでは無いでしょうか。これは外食する際に「お家で食べれないもの」「お家のスペック以上のもの」といった「特別感」「イベント感」を求める感情と同様と言えます。飲料用は、必ず水道の蛇口とは、別モノに提供するか、ミネラルウォーター等を無料サービスで組み込む等、何かしらの工夫をするように心がけると良いでしょう。
 意外と知られていないことですが、このあたりが口コミで評価を落とす理由にもなりますので、注意が必要です。特に都市部で、お水がカルキ臭いといった地域では、気を掛けていきましょう。

6.温泉やお風呂の機能性

 これは事業者の皆さんが1番わかっていることでしょう。一般的には温泉があるか無いかは、集客において影響が大きいですね。説明するまでもなく、温泉がある方が優位です。温泉がある場合は、泉質や効能を、いわゆる「分析表をそのまま掲示」ということに留まらず、わかりやすく泉質を明示するとともに、効能についてPOP等で補完していくと、お客様の満足度が高まることが、多くの2次データや、当事務所の1次データでも明らかです。
 
 温泉が無い事業者は、お風呂の機能性にコダワルようにしてみてください。例えば湯舟にゲルマニウムという石(*)を入れておくと(32℃以上になると)、筋肉の凝りや疲れを癒す、冷え性やストレスを和らげる等の機能性を訴求できます。ラジウムという石であれば、抗酸化力ホルミシス効果(活性酸素を除去)で疲労回復等、遠赤外線効果・マイナスイオン効果が訴求できます。

 無論、薬事法等、ケアしなければならないことはありますが、学術論文を引用したPOPを掲示する等、工夫次第で訴求可能になります。

*ゲルマニウム:電気を通す導体となる性質をもつことがわかっています。結果、マイナスイオンが放出される効果で、心身をリラックスさせ、筋肉の凝りや疲れを癒すことが期待されます。遠赤外線の効果は、体を芯から温め、冷え性やストレスを和らげれますし、細胞の老化防止、新陳代謝が高まるといった効果も期待できます。

**ラジウム:抗酸化力ホルミシス効果(活性酸素を除去)・疲労回復・病気療養・自律神経の回復・健康増進効果・糖尿病など難病の緩和。岩盤浴に、お風呂などの温浴に人気の高い鉱石。遠赤外線効果・マイナスイオン効果がある。

7.アクティビティへのアクセス簡便化

 宿泊施設(ホテル、旅館)周辺で行われる祭り、種々のイベント、種々のアクティビティとの連携や協業は、可能な限り深めていきましょう。年齢層が若い宿泊客ほど、アクティビティ等ありきで宿泊拠点を決め、宿泊施設を決めるというフローが一般的だと言われているからです。
特に40歳前半以下の客層の集客には、如実に効果があるという2次データも豊富ですので、積極的に進めていきましょう。
 イベントやアクティビティの創出の仕方は、後日こちらにリンクを貼っておきますので(→こちらをクリック準備中)、参考にしてください。

 ただし、アクティビティ等を紹介するようなPRだけでは不充分です。これらのアクティビティへの参加を検討する方の立場で、何が煩わしいかを検討すると明らかです。それは、これらアクティビティへの参加の手配(予約)です。従って予約時に、アクティビティ等の予約を同時に承るなど、工夫を配慮していくと良いでしょう。支援先の青森の十和田の旅館では、下記画像の外部団体が行うイベントに協力するとともに、自身の予約プランに組み込み、顧客の煩わしさを解消することを心掛けています。

8.自然景観の活用度

 宿泊施設(ホテルや旅館)にとっての「自然景観における優位性」について、どのようなものがあるかを認識するようにしましょう。この認識は往々にして、その宿泊施設のストロングポイントになることが多いです。例えば、下記画像の宿泊施設では、川の臨場感が特長になりますが、これは宿泊した方しか理解し難い要素です。従ってwebサイトに掲示したりする等、マーケティングメッセージに活用することをおススメします。その臨場感を伝える(メッセージを伝える)努力をすることは、間違いなく集客に貢献するものです。口コミの誘発にもなります。

 都市部の宿泊施設(ホテル)の高層階が、夜景をPRすることも間違いなく「自然景観における優位性」と言えるでしょう。

 さて、私どもの経営する施設には「そのようにおススメするものは無い」と聞こえてきそうですが、
果たして「本当でしょうか?」私なら、きっと考え抜いて見付けることができます。ぜひ、練りに練って検討してみてくださいね。

9.主力メニューの決定または特長化

 皆さんの宿泊施設(ホテルや旅館)の御料理の売りは何ですか。洋食、和食、お魚料理、お肉料理、
地のモノと言った具合に種々、聞こえてきそうです。では質問です。「そのお料理や、その献立を、主力とする理由は何ですか?」このように質問すると往々にして回答できない事業者や料理長がほとんどです。これに答えられないようであれば、おそらく、顧客満足度が高い料理を提供できているとは言えないでしょう。あるいは、口コミがなされ、新たな顧客を誘発するような「パワー料理」「パワー献立」には程遠いでしょう。こちらに論理的な主力メニューの決定や特長化の実現の仕方を説明した記事(⇒こちらをクリック)がありますので、ぜひ活用ください。

なお、地域でしか食せない食材の活用度をあげることは必須です。ここは基本として頭に置いて取組んでいくと良いでしょう。

10.ほかマーケティング活動のポイント

 以上、一般的なマーケティング活動以外の論点について、見落としがちな論点を紹介しましたが、
これらの取組は、以下のマーケティング活動が実現できている上で有効になるものです。以下の点についても、ひと通りチェックしておきましょう。参考記事のリンクも貼っておきます。ホテルや旅館といった御自身のビジネスだったらといった想像とともに、読み進めてみてくださいね。

・想定している顧客層(ターゲット)にとって存在価値のある宿泊サービスになっているか
(→商品やサービスの存在価値の発見や決め方の記事が参考になります:こちらをクリック
・提供している宿泊サービスが、顧客ニーズを充足したものか
(→顧客ニーズの把握の仕方記事が参考になります:こちらをクリック
・想定している顧客層に心情に響くチラシになっているか
(→チラシの作成の仕方や集客の仕方の記事が参考になります:こちらをクリック
・想定している顧客層の心情に響くPOP(掲示)になっているか
(→POPの作成の仕方や集客の仕方の記事が参考になります:こちらをクリック
・web検索の主力になりつつGoogleビジネスプロフィールの運用は出来ているか
(→Googleビジネスプロフィールの運用や事例の記事が参考になります:こちらをクリック

==お知らせ==

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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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