1.割引券(クーポン券)とは
今回は、割引券(クーポン券)ついて紹介します。
このツールですが、居酒屋、ベーカリー、喫茶店、イタリアンレストラン、カフェ等々、様々な飲食店や食料品の製造小売りの現場で利用されることが多いです。
とは言え「想定通りのリピートに繋がっていない」といったことも多いのでは無いでしょうか。
皆さんの取組で何かしらのヒントになるよう、支援先等の成功事例を基に説明していきたいと思います。なお、割引券(クーポン券)は次のような語句の意味で使用しています。
▶割引券(クーポン券):1度来店した御客様に、価格的なお得感や価格以外の魅力で、再び来店していただこうと仕掛ける御客様への配布物
2.次回来店を促すことができる割引券(クーポン)の事例

例えば、東京都八王子市の「和食・居酒屋 あじなお」の割引券が上記画像です。実物を使い、ポイントを絞って説明していきます。ポイントは5つに絞られます。のちほど、1つ1つ説明していきます。
・1人のために伝えれるように御名前を明示
・可能な限りすべて手書きに
・使いたくなるお得感の演出
・愛嬌や愉快さによる印象付け
・名刺サイズで
3.1人のために伝えれるように御名前を明記
小さな事業者がチラシやメッセージカードを作る際に、やってしまう大ミスがあります。それが、万人向けの内容です。渡された方は「あっそっ!みんなに配っているものでしょ・・」程度の反応であるにもかかわらず、一生懸命に配布する様相が、多くの現場で散見されます。
事業者においては、今配っている割引券は、ほとんどの人が必ず、手元に大切に保存してくれているだろうと甘い期待があるものです。しかしながら、実際は、そのように保存してくれる方は少数でしょう。そもそも、不特定多数の方に向けて作成した割引券だと言うことは、配布されて受け取った方はわかっていますから、そこには『情』は生まれにくいものです。
そこで重要になるのは、如何にして「パーソナル(1人のために)に魅せていくか?」ということです。少しでも「私のために、わざわざ努力してくれている!」という気持ちを御客様に醸成させることです。
ですから、画像のように、誰に伝えたいのかを、明確に御名前で示して会計時等に、手渡すことをおススメします。
4.可能な限りすべて手書きに
あなたのお店に、少しでも満足を抱いている御客様であれば、帰り際に渡される割引券は、次回への望みをつなぐことでしょう。その際に有効なことは「情」と「熱意」です。つまり、次回来店への事前期待の醸成です。
従って、割引券は手書きで「お店の個性」を伝えるようにしましょう。イラストが下手くそでもOKです。絵心が無くてもOKです。その直筆の少々の苦労が、お客様には嬉しいものです。
なお、共通の部分だけ書いたものをコピーして、御客様それぞれにパーソナルな部分だけ手書きも良いでしょう。上記の事例の画像の場合、名前と、吹き出しの部分が空いていて、そこだけに、個々人に合った内容を書き込みます。御酒全般が好きな方や、御酒が飲めないでソフトドリンクの方なら、画像のように「1drink 無料」でも良いでしょう。逆に御料理で引きつけれるお客様の場合は、「おいしい 肉じゃがを無料で」、あるいは、食材で魅了できる御客様なら「美味しい旬のアマダイのお刺身をサービスします」といった感じでしょう。
5.使いたくなるお得感の演出
単に次回、飲み食い時に割引しますといった内容では、次回来店に向けた事前期待が弱いです。何かしらの仕掛けがあると良いですね。例えば特選素材を仕入れるタイミングでの特別料理の提案、種々のイベントの実施等が「事が上手く」運びます。
この事例の場合は、蒟蒻尽くしの料理イベントや、お酒の種類を豊富に取り揃えた居酒屋Dayというものを企画し、お客様に「何だろうな?何だか気になる・・」を演出しています。
6.愛嬌や愉快さによる演出
何度も言いますが、手書きを心掛けてください。インターネットで無料のイラストを引き出し、プリンターで一律に印刷したものでは、「1人のために」という主旨が薄まってしまいます。下手でも構いません。手書きです。
また、必ずイラストは記載しましょう。店主の似顔絵などは、好感度抜群です。この事例の店主はタコみたいな方で、眼鏡をかけているので、このような愛嬌です。
7.名刺サイズ程度
割引券のサイズは、財布等に忍ばせておける程度にしましょう。具体的には名刺サイズ程度です。これより小さいと紛失の恐れがありますし、大きいと折り曲げて保存するなど、かさばってしまいます。
財布や名刺入れなど、日常身に着けているものを意識すると、概ね名刺サイズ程度がおススメです。
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初稿:2019年8月1日 加筆修正2025年3月17日
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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。