集客できる飲食店の割引券(クーポン券)の作り方とデザインの留意点

今回は、1度来店いただいた方に、次回来店を誘発する割引券を作成する際の留意点について紹介します。実際、支援先で実践していただいていますが、『リピート率は5割超え』の直ぐれものです。

例えば、東京都八王子市の支援先『和食・居酒屋 あじなお』の優れた割引券がこちらです(↓)。実物を使い、ポイントを絞って説明していきます。

1.1人のための割引券にすること

 小さな事業者がチラシやメッセージカードを作る際に、やってしまう大ミス!それが、万人向けの割引券。渡された方は「あっそっ!」程度の反応であるにも関わらず、必死に配布する様相(笑)が、多くの現場で散見されます。

 事業者においては、今配っている割引券を、必ず読み込んで、手元に大切に保存してくれているだろうと『甘い期待』。

 そもそも、不特定多数の方に向けて作成した割引券だと言うことは、配布されて受け取った方はわかっていますから、そこには『情』は生まれません。そんなもので、お客様の気持ちをつかむことなど出来るわけが、ありません。

 ですから、小規模な飲食店等は、万人にチラシを配るという発想を捨てた方が良いです。よっぽどの破格の割引等、お客様に大!メリットが感じられる場合以外には。

2.すべて手書き

 あなたのお店に、少しでも『満足』を抱いているのであれば、帰り際に渡される割引券は、次回への望みをつなぐことでしょう。その際に有効なことは『情』と、次回来店への『事前期待』の醸成です。ですから、割引券は『手書き』で『お店の個性』を伝えるようにしましょう。下手くそでもOKです。絵心が無くてもOKです。その直筆の少々の苦労が、お客様には嬉しいものです。

3.お客様の名前を入れる

 先に、万人向けは止めましょう!という主旨を説明しましたが、その主旨を色濃くしてくれるのが、お客様の名前を入れることです。接客中に、こちらから自己紹介するように仕向け、お客様の御名前もお聞きするようにしておきましょう。

4.使いたくなるお得感の演出

 単に次回、飲み食い時に割引では、次回来店に向けた『事前期待』の誘発は、困難です。何かしらの仕掛けがあると良いですね。例えば特選素材を仕入れるタイミングでの特別料理の提案、種々のイベントの実施等が『事が上手く』運びますよ。この事例の場合は、蒟蒻尽くしの料理イベントや、お酒の種類を豊富に取り揃えた居酒屋Dayというものを企画し、お客様に『何だろうな?何だか気になる・・』を演出しています。

5.愛嬌や愉快さ

 何度も言いますが、手書きを心掛けてください。インターネットで無料のイラストを引き出し、プリンターで一律に印刷したものでは、『1人のために』という主旨が薄まってしまいます。下手でも構いません。手書きです。また、必ずイラストは記載しましょう。店主の似顔絵などは、好感度抜群です。この事例の店主はタコみたいな方で、眼鏡をかけているので、このような愛嬌です。

6.名刺サイズ程度

 割引券のサイズは、財布等に忍ばせておける程度にしましょう。具体的には名刺サイズ程度です。これより小さいと紛失の恐れがありますし、大きいと折り曲げて保存するなど、かさばってしまいます。

 財布や名刺入れなど、日常身に着けているものを意識すると、概ね名刺サイズ程度がおススメです。

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 いかがでしょうか。この6点の留意点は、1つでも欠けると、集客に機能しません。必ず取り組むようにしてくださいね。

 使う場面ですが、概ね以下のようです。

 お勘定の際に、手渡しで愛情をもってお渡ししましょう。もちろん、既存客の「来店までの期間」「来店頻度」を改善する効果もあります。いちいち手書き?と思われるかもしれませんが、そこに相手のお名前が入ることで、グッと!親近感が醸成されます。これは、小さな飲食店だからこそできるきめ細やかさです。

初めてお見えになるお客様がいらっしゃいましたら、迷わず、自ら自己紹介を嫌味なくして相手のお名前を 確認しましょう。

あとは、バックヤードでササさって書いてしまいます。事前にお名前だけ開けて用意して書いておくと良いでしょう。

久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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