この記事を御覧になっている食品メーカーの方には、
私が、食品メーカーの営業マンをしているころを御存知の方も多いはず(笑
務めていた会社では、営業による売上獲得が優秀過ぎて(笑)、社長賞として表彰されたほど。(自慢話 ごめんなさい)
さて、実は、そのころの手法を、いまだに、営業研修や、中堅社員研修、新入社員研修でも使っています。
簡潔にポイントを紹介すると、雑談9割商談1割の関係性創りです。
商談のコツは、限られた時間に「どれだけ、自分自身を印象付けられるか」にあります。
バイヤーは、日常から、食品メーカー等から見積書を提示されるわけですが、そこには、商品名、価格条件、購入して欲しい量、商品画像と言った具合に、体裁は違えど、皆、同じような情報を提示して商談します。
こうなってきますと、仕入れ価格が安い、テレビコマーシャルがある無し、といった具合に、このくらいのことでしか、判断できない状況に、商談者全員で追い込んでいるようなものです。
結果、次のような現象に陥ります。
・バイヤーにとって、1番最後に商談したメーカーの商品が記憶に残り、有利(利用可能性ヒューリスティック)
・商談以外も、日常接していて、関係性が出来上がっているメーカー担当者と商談したものが記憶に残り、有利(関係性の構築)
ですから、商談する側は、このことに留意して、限られた時間を有効に活用しなければならないのです。
以上を踏まえると、バイヤーとの商談を成功させるコツをまとめると、「バイヤーの記憶に残る商談を行うこと」「どれだけ、自分自身を印象付けられるか」となります。
具体的には、次のようなことがあります。
・バイヤーの愚痴や抱えている課題を、自社商品とは無縁で、耳を傾けてあげることで、この担当者は、自分のストレスや悩みを軽減する有益な人物だと印象付ける。
・バイヤーの趣味やプライベート聞き出す努力を行い、その内容で盛り上がることで、この担当者とは、同じ価値観を持った話ができるという印象をづける。
・相乗積や、バイヤーが担当するカテゴリーの2次データや、他の小売店の情報を分析して提供し、この担当者と付き合っていると、有用な情報が得られそうだと、記憶に残す。
つまり、印象付けられるように商談をしてください!というのが回答です。
そのためには、真面目に見積書を見せながら、価格交渉や、購入量をお願いするだけでは、印象に残りません。ですから雑談が必要となるわけです。
とは言え、雑談は、何でも良いというわけではなく、先の3つの記憶や印象に残す論点で充分で、バイヤーの役に立つ、バイヤーにとって居心地の良い人物を演じれれば良いということです。
商談時の会話のポイント1つずつ、簡易に紹介します。
・バイヤーの愚痴や抱えている課題を、自社商品とは無縁で、耳を傾けてあげることで、この担当者は、自分のストレスや悩みを軽減する有益な人物だと印象付ける。
例えば、
・担当しているカテゴリーの売上が前年比割れ
・担当しているカテゴリーの利益率が下がっている
・上司の**さんが口うるさい
・バイヤーの趣味やプライベート聞き出す努力を行い、その内容で盛り上がることで、この担当者とは、同じ価値観を持った話ができるという印象をづける。
例えば、
・競馬で・・
・アニメのドラゴンボールが・・
・奥さんが早く帰ってこいと。。不仲・・で。
・娘が大学受験で・・・・・・etc
・相乗積や、バイヤーが担当するカテゴリーの2次データや、他の小売店の情報を分析して提供し、この担当者と付き合っていると、有用な情報が得られそうだと、記憶に残す。
例えば、
・あのスーパーで、売れている商品を紹介し、その商品を組み込んだ場合に期待されるカテゴリーでの相乗積への貢献を提案する(自社以外の商品で・・)
・地方で人気の食品スーパー等を紹介し、その品揃えや客層について話題提供
以上のように、雑談を徹底的に行い、残り1割時間になったところで、本丸の商談に入ると効果的です。
本丸の商談のコツは、以下です。
自社の商品を前年を超えるように購入いただく提案をし、代わりに年契や値差補填など、条件の優位性を示し、売上が向上するにつれ(当社との取り組みが深まるにつれ)、今後の「有意義な関係性」が向上するようなニュアンスを演出。
つまり、雑談9割必要な理由は、商談後に、あの担当者とまた逢いたいとして認められること。ここが重要です。
なお、日常の関係性が構築できていると、そもそも商談は優位です。
★食品メーカーや、日用雑貨を商材にしている事業者の方は、合わせて御覧ください。
特定の量販店を攻略したい若手食品営業マンは販売応援や陳列応援を受けるべき理由
久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)
加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。