飲食店や食品製造業のターゲット設定の仕方(ターゲティング)

目次

1.ターゲットとは何か
2.ターゲットを決める理由
3.ポジショニングすることが重要
4.顧客ニーズを把握することから設定する
5.競合を踏まえたポジショニングから設定する。

1.ターゲットとは何か

売上確保のためには、誰かに商品を販売したり、誰かにサービスを提供しなければなりません。
その誰かを決めることがターゲティングで、その誰かがターゲットです。なお、アプローチとして大きく2つあります。

1つは決めること

決めることとは、40歳台の男性で・・といった具合です。

もう1つは探ること

探るとは、自社の商品やサービスに共感するであろう層は「どうすればアクセスできるだろうか?」という論点です。

今回の記事では「探ること」を重点的に説明していきます。以下の③以降のステップです。

2.ターゲットを決める理由

個人や小規模な飲食店や食品加工事業者の資金は有限です。従って、効率的に誰かに商品やサービスを知ってもらう集客策や販促策が重要です。そこで、誰かにその有限な資金を集中的に使って、アプローチしなければなりません。その相手を決めるために必要なのです。

3.ポジショニングすることが重要

ターゲットを設定する際、「その商品やサービスの独自の存在価値や役割」を見出すことが重要です。
この見出すことをポジショニングと言います。つまり「誰に」がターゲティングであり「どのような存在価値や役割があるのかを見出すこと」がポジショニングです。

従って、ポジショニングで頻繁に登場する「差別化」とは異なる概念であることを理解してください。
ポジショニングは、競合ブランド(商品やサービス)と比較して優位に立つために検討するものではなく、生活者や消費者から見て「他に替えられない」「代替えが出来ない」存在価値や役割を持った存在になることを目的に検討するものなのです。

4.顧客ニーズを把握することから設定する

ターゲットを設定する場合、まずは既存のお客様や、周囲の知人等を観察することから始めます。またその声を整理していくのです。具体的には以下の図のように進めてください。ここでは、顕在化した顧客ニーズとして説明していきます。

確認するのは「現況の整理」と「運営上の整理」です。現況では、直近1年程度の客層別売上構成比や、利用目的別の売上構成比で視覚化するとわかりやすいです。上記図は居酒屋の事例ですが、宴会ニーズ、高齢者ニーズが高そうだ!と感じることができます。運営上の整理では、現況と同期間で、実のお客様の声を拾います。拾い方は会話の中から、気になる点を都度、メモをとり、その上でで表に「声が多い順」で整理していきます。

このように考えますと、ターゲットすべきお客様のイメージが見えてきますね。この飲食店の場合、ターゲットを設定するキーワードは、高齢者、宴会、宴席、高齢者のランチ、このあたりから創出できそうです。

5.競合を踏まえたポジショニングから設定する

自社の置かれている状況を客観的に俯瞰するために、競合を意識してポジショニングします。具体的には下図のようになりますが、現在と将来、この2つの視点で整理することがポイントです。

将来については、競合のお店をのぞいたり、自身の商品やサービスの代替になるお店をのぞいたり、
それらが発するチラシや、SNSの情報から推察するしかありません。その上で、現状と将来をプロットし、現状にも将来にも網が掛かっていないところをターゲットと設定します。無論、現状は無視し、将来の網が掛かっていない場所をターゲットとすることも可能です。

ポジショニングの軸は、多ければ多いほど、ターゲティングの精度があがります。可能な限り多軸で検討することをおすすめします。

久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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