気分一致効果を活用した集客や販促の方法(飲食店や食料品製造業向け)

人の心理や行動には「気分一致効果」というものがあります。
この効果を活用した広告メッセージの開発は、非常に多くの現場で利用されていて、私が勤めていた食品メーカーでも頻繁に登場しました。

とは言え、小規模な食料品製造事業者や、飲食店等では、この効果の利用は一般的では無いと肌身に感じます。とても使いやすい論点ですので、ぜひ知っておきましょう。

1.気分一致効果とは

 人は置かれている調子が良い(ポジティブ)時は、ポジティブな情報に反応し、調子が悪い(ネガティブ)時には、ネガティブな情報に反応するという側面があります。その心理的な事象の経験則を利用して、マーケティング活動の成果に繋げる為に「活かす」という意味で「効果」という言葉を使います。

 活かすとは具体的に、日常の広告物やPR媒体における、販路開拓メッセージ(文字、イラスト等)を指します。

2.気分一致効果の集客や販促活用の勘所

 例えば、御自身が、ビジネス街で焼肉屋を経営していて、ランチの焼肉定食というメニューを、商圏内の御客様に「もっと利用してもらいたい!」と考えているとしましょう。昼時となれば、店頭を多くの御客様が往来していますので、店頭に黒板を用意して、焼肉定食をおススメするPOPを掲載することとしました。

 その際、気分一致効果を活用した広告メッセージとは、どのようなものなのでしょうか。そのメッセージのパターンと、お客様の反応について、大きく2分類すると次のようになります。

・パターン①
 お客様の「気分や調子が良い」時は、意志決定において、ポジティブな視覚的情報や、そのようなPRが好循環に影響することが多い。

例:「精がつきます!」といったニュアンスのPRを実施すれば、調子の良い方の心理に働きかけることができます。

・パターン②
 お客様の「気分や調子が悪い・低い」時は、意志決定において、ネガティブな視覚的情報や、そのようなPRが好循環に影響することが多い。

例:「食欲が減退する季節ですね・・」といったニュアンスのPRを実施すれば、調子の低い方の心理に働きかけることができます。

3.気分一致効果を活用した集客や販促方法の立案

 広告メッセージや商品・料理のネーミングには、記号が大切(記号消費を誘発することが大事)であると、別の記事(⇒こちらをクリック)で紹介しています。この記号を作る際のアプローチの1つとして「気分一致効果」は活用できます。

 つまり、この焼肉屋の事例の場合、店頭を通った通行客のうち、パターン①とパターン②のお客様、どちらを囲い込みたいかによって、策は異なるわけです。つまり、調子が低い方で御店を満席にしていきたいのであれば、パターン②を採用します。調子が良い方で御店を繁盛させたければ、パターン①を採用します。いずれにしてもストアコンセプトで、誰に自店の価値を認めて欲しいのか(顧客価値=存在価値:顧客価値の発見の仕方の記事はこちらをクリック)により、採用パターンは変わるわけです。

・パターン①
調子が良くてモリモリ食べたいといった背景の方には、’「精がつく!」イメージのネーミング、キャッチコピー、イラスト等の情報でマーケティングを展開する。

・パターン②
調子が低い方には、「夏場の食欲が減退するシーズンですね・・。でも食べないと身体が悲鳴をあげますよ・・心配しています」といったような共感を示す形のイメージのネーミング、キャッチコピー、イラスト等の情報でマーケティングを展開する。

初稿:2017年6月1日 加筆修正:2025年6月13日

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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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