食品・スーパー・飲食店向け「売れるPOP」作成の手順とコツ|手書き・無料ツール・AI活用まで完全網羅

食品スーパー、パン屋(ベーカリー)、種々の和菓子店、ケーキ屋のような洋菓子店、居酒屋や食堂、カフェといったお店の共通の課題には、「客単価を上げること」「買上点数を増やすこと」のいずれか、または両方が挙げられます。

そのような場面で、最も費用対効果が高く、現場で即座に活躍する販促ツールが、売場や卓上に掲示する「POP(ポップ)」です。

道の駅かづの あんとらあ  燻製屋猫松さんの事例

POPは単なる「商品の値札」ではありません。お客様が商品を手にとる最後の瞬間に背中を押す、いわば「無言の優秀なトップセールスマン」です。適切に作成されたPOPは、商品の隠れた魅力を「顧客にとっての価値」へと変換し、お店とお客様の間に強いつながり(共創)を生み出します。

本記事では、これまで数多くの飲食店や食品メーカーを支援してきた視点から、「本当に売れるPOP作成の手順と方法」を、おすすめの素材選びから、キャッチコピーの捻出方法、そして近年検索ニーズが急増している最新のAIツール活用まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。

支援先で助言しつつ作成したPOP
仲間の先生が指導して作成したPOP

目次

第1章:食品や菓子を扱う現場で使用するおススメのPOP素材や文具

POP作成において、「何に書くか」は非常に重要です。スーパーの惣菜売り場や、飲食店のテーブルなど、現場の環境に耐えうる素材を選ぶ必要があります。いろいろと素材を試してきましたが、当事務所が最もおススメするPOP素材は、「ケント紙」になります。これをおすすめするのには、現場ならではの明確な理由があります。

(ダイソーのような100均でも購入できるケント紙)

•にじみにくい:油性ペンで描いてもインクがにじみにくく、文字がハッキリと読みやすくなります。
•修正しやすい:消しゴムで強くこすって消しても毛羽立ちにくく、書き直しが容易です。
•耐久性が高い:一般的な紙の割には水気に強く、それなりに厚手(厚口)であるため、冷蔵ケースの近くなどでも相応の耐久性があります。

ただし、POPとして活用する際、水気が多い場所に長期間置くと少々伸縮することがあります。ただ、これも手書きならではの「味のある風情」になり、お客様に温かみを感じていただけるため、おススメしています。

無論、一般のコピー用紙のようなものに描き、ラミネート(パウチ)加工等をすれば耐久性も増しますのでベターです。しかし、POPは「可能な限り、定期的に改善し、反応を見て書き換えるもの」です。そのため、使い捨ての要素が否めません。パウチ加工には時間もコストもかかってしまうため、ケント紙を使用し、ある程度の時間が経って汚れてきたら、新しいコピーで交換することをおススメしています。

もちろん、お店の雰囲気に合わせて、カラーペーパー、厚紙、画用紙等、お好みの素材を使っていただいて全く構いません。ダイソーなどの100円均一ショップでも良質なケント紙が手に入ります。

また、カラフルでオシャレなマスキングテープや、折り紙も、POPの装飾にはとても有効です。日ごろから手元に置いておくことをおススメします。基本は油性のマジック(プロッキーなど)を使用しますが、クレヨン等を用いて柔らかい風合いを出すこともあります。

(著者が持ち歩いているPOP作成文具一式)

よくある疑問:手書きとパソコン、どちらが良いの?

作成において「手書きが良いのか、パソコン(ExcelやWord、無料の作成アプリなど)で作った方が良いのか」と尋ねられることがよくあります。

正直なところ、どちらでも良いというのが当事務所の回答です。

手書きは温かみがあってお客様の目を引きやすいためおススメしますが、それなりに文字のバランス感覚やセンス、熟練を要します。そのため、文字を書くのが苦手な方は、無理をせず無料のテンプレートやパソコンソフトを活用し、「可能なら手書き要素を少し加える」といった柔軟な対応で問題ありません。

第2章:売行きが良くなる!POPの「黄金レイアウト」のコツ

素材が揃ったら、いきなり文字を書き始めるのではなく、まずはPOP全体の構成(レイアウト)を検討していきます。行き当たりばったりで書くと、文字が入りきらなくなったり、一番伝えたいことが目立たなくなったりしてしまいます。

1)POPのレイアウト構成比(黄金比)

種々の研究やデータがありますが、良いとこ取りをして整理すると、以下の構成と記載項目・比率になります。これが売れるPOPの「黄金比」です。

•キャッチコピー:4割(最も目立たせる!お客様の足を止める言葉)
•商品名:1割(何の商品か分かる程度でOK)
•商品説明:4割(キャッチコピーで興味を持った人に、納得してもらう理由)
•価格:2割(最後に背中を押す)
この視点は、縦書きでも、横書きでも同様です。

(POPのレイアウト構成比)

2)レイアウト作成の具体的な手順

以下に、主な手順を示していきますね。

1.POP用紙に書き出す前に、薄く鉛筆等で区画(キャッチコピーのエリア、商品説明のエリアなど)を区切っておきます。
2.パソコン(エクセルやパワーポイントなど)で作成する場合も、画面上で点線を引いてエリアを明示しておくとスムーズです。
3.無論、定規を使って完璧にミリ単位で測る必要はありません。「概ねこのくらい」という感覚で十分に効果を発揮します。

多くのお店では「商品名」を一番大きく書いてしまいがちですが、お客様が本当に知りたいのは「商品名」ではなく、「それを買うと自分にどんないいことがあるのか(キャッチコピー)」です。この比率を意識するだけで、反応率は大きく変わります。

第3章:POPのキャッチコピーと商品説明の切り分け方

レイアウトの枠が決まったら、次は何を書くか(コンテンツ)を決めていきます。
まずは、その商品について「お客様に伝えたい内容」を出来るだけ沢山、箇条書きで紙に書き出します。こだわり、味、産地、人気度など、思いつく限りすべてです。その上で、書き出した内容に「優先順位を1位から順位付け」します。

•優先順位 第1位:「キャッチコピー(全体の4割のスペース)」として大きく利用します。
•優先順位 第2位以降:「商品説明(全体の4割のスペース)」として少し小さな文字で利用します。

用紙の余白にもよりますが、商品説明は第2位だけでなく、3位以降も、使えるだけたっぷりと使います。ベースのPOPサイズ(例えばA6サイズなど)に収まらない時は、別の小さな紙に書いてベースPOPに貼り付ける「立体POP重ね」というテクニック(後述します)を活用し、立体的に商品説明を展開しても非常に効果的です。

•ポイント1: お客様に伝えたい内容のトップ(1位)を、短い言葉の「キャッチコピー」に変換しましょう。
•ポイント2: 伝えたい内容の2位以下を、「なぜなら〜」という商品説明として活用しましょう。

しかし、いざ「伝えたいことを書き出してください」とお願いすると、現場の皆様からは「毎日見ている商品だから、当たり前すぎて何も思い浮かばない」「言葉が出てこない」と悩まれることが非常に多いです。

そのような場合は、次の第4章で解説する「9つの捻出方法」を使うことで、誰でも必ず魅力的な言葉を生み出すことが可能になります。

第4章:キャッチコピーが必ず浮かぶ!「9つの捻出方法」とAI活用術

前章で「お客様に伝えたい内容を書き出しましょう」とお伝えしましたが、「毎日見ている商品だから、当たり前すぎて何も思い浮かばない」と悩まれる担当者様は非常に多いです 。そんな時は、以下の「9つの視点」を順番に検討してみてください。「必ず」魅力的な言葉を捻出することが可能です。

さらに今回は、近年の最新トレンドであるAI(ChatGPTやGeminiなど)にキャッチコピーを考えさせるための「プロンプト(指示文)」も合わせてご紹介します。(※事例として、当事務所が支援した「津久井在来大豆とうふ」の豆腐屋さんのケースを使用します )

1)商品の時点や期間での「販売実績」 

まだ買ったことが無いお客様には、「みんなが買っている」という事実が大いに参考になります。

•店主の声:「販売期間3ケ月(1日営業時間8時間・1ケ月の営業日は25日)で約36,000個売れている」
•POP文例:「1分に1個売れています!」
•AIへのプロンプト例:「過去3ヶ月で36,000個売れた豆腐のPOPを作ります。この実績の凄さが直感的に伝わる、短いキャッチコピーを3つ提案して。」

2)その商品の「3つの性(希少性・限定性・季節性)」

お客様にとって、「今だけ」「ここだけ」といった要素は、「今しか買えない」という気持ちを強くかき立てます 。

•店主の声:「津久井在来大豆は今が旬。無農薬栽培で生産量は希少。消泡剤を使わずに生産した豆腐はうちだけ」
•POP文例:「希少で今が旬の津久井在来大豆を使った豆腐は他店にあれど、消泡剤を使わない昔ながらの製法はうちだけ!」
•AIへのプロンプト例:「『今が旬』『希少な大豆』『うちだけの製法』という3つの強みを盛り込んだ、限定感をあおるPOPコピーを考えて。」

)その商品利用時のスタッフの感想の内容

販売するスタッフは、来店するお客様の等身大の姿でもあります。正直な感想は、購買の大きな後押しになります。
•店主の声:「麻婆豆腐に入れても、香辛料の風味に負けず、豆腐の美味しさがハッキリ感じられるとスタッフに好評」
•POP文例:「麻婆豆腐に使っても豆腐の甘味やコクが『しっかりと味わえる』くらい濃い味が特長!」
•AIへのプロンプト例:「スタッフの感想『麻婆豆腐の強烈な味にも負けないくらい豆の味が濃い』をベースに、シズル感のあるPOP文を作って。」

4)あえて「買わない理由(デメリット)」を伝える

全員に好かれようとするより、特定の人に深く刺さる言葉が売上を作ります。ネガティブな意見も強力な武器になります 。

•店主の声:「豆の味が濃厚すぎて、チーズのような風味が気に入らないというスタッフもいる」
•POP文例:「豆の濃厚な味が感じられる豆腐が嫌いな方は食べないで!」
•AIへのプロンプト例:「『味が濃すぎる』というネガティブな意見を逆手にとって、『濃い味が好きな人にはたまらない』と思わせる逆説的なキャッチコピーを出して。」

5)お客様から「質問されたこと」

お客様が質問するということは、強い興味がある証拠です。あらかじめPOPで答えておけば、強烈な動機付けになります 。

•店主の声:「『どうやって食べれば良いですか?』と頻繁に尋ねられます」
•POP文例:「湯豆腐!冷奴!麻婆豆腐など全ての料理で、唯一主役が晴れる豆腐!」
•AIへのプロンプト例:「お客様からよく聞かれる『どうやって食べるのが一番おすすめ?』という質問に答える形式で、食欲をそそるPOPコピーを考えてください。湯豆腐や冷奴など、どんな料理に使っても『豆腐が主役』になることを強調して。」

6)クレームになりそうな「不安要素」

不安要素をあらかじめ伝えておくことで、クレームを防ぐだけでなく、「だからこそ美味しい」という価値に変換できます。

•店主の声:「無添加で低温殺菌のため、日持ちしないことが不安要素です」
•POP文例:「高温殺菌等をせず、豆腐本来の風味を活かした『鮮度』が売り!」
•AIへのプロンプト例:「『賞味期限が短い(日持ちしない)』というデメリットを、『それだけ鮮度と風味にこだわって余計な加工をしていない』というポジティブな価値に変換してください。鮮度の良さを最大の売りにした、信頼感のあるPOPコピーを作って。」

7)お客様から「いただいた感想」

実際に食べた方の声は、他のお客様にとって最も信頼できる情報です。

•店主の声:「『風味が濃く、豆の味がしっかりとした豆腐ですね』と頻繁に感想を頂戴しています」
•POP文例:「多くの御客様から『本物の豆腐』だと好評です!」
•AIへのプロンプト例:「お客様からいただいた『風味が濃くて本物の味』というリアルな感想を活かして、まだこの商品を食べたことがない人の背中を優しく押すような、説得力のあるキャッチコピーを提案してください。」

8)おススメしたいお客様を「誰か1人に絞る」

ターゲットを1人に絞ることで、メッセージが鋭くなり、結果的に多くの方の心に刺さります。

•店主の声:「豆腐の本当の風味を知らない若い方に食べてもらいたい」
•POP文例:「『本物の豆腐の美味しさに出逢ったことが無い!』といった方におススメの1品!」
•AIへのプロンプト例:「『本物の豆腐の味をまだ知らない若い世代』という特定のターゲットに、真正面から語りかけるようなコピーを作ってください。彼らの既成概念を覆すような、インパクトのある言葉を考えて。」

9)SNSやメディアで「話題になった内容」

メディアの評判は、その商品の良さを客観的に表現してくれています。ブログやInstagramの記事はこまめにチェックしましょう。

•店主の声:「糖質制限をしている方のブログで『この商品は食べ応えがある!』と紹介されました」
•POP文例:「糖質制限(糖質オフ)な食事をされているお客様から『どの料理でも存在感のある豆腐!』と人気です!」
•AIへのプロンプト例:「糖質制限中のブロガーさんに『料理の中での存在感がすごい』と絶賛されたエピソードを元に、健康志向のお客様が思わず足を止めて手に取ってしまうような、満足感の高さを伝えるPOP文を考えてください。」

10)まとめ

全章で示したように、9つの捻出から優先順位の1番高いものを選びます。その上で、残りの8つを、可能な限り商品の説明文に突っ込んで作成していくと良いでしょう。以下が事例です。

POP文例①
POP文例②

第5章:売上をさらに伸ばす!POPの物理的な「装飾と仕上げ」のコツ

言葉が決まったら、いよいよPOP用紙に書き込んでいきます(または印刷します)。ここで、最終的な売上を左右する重要な物理的テクニックをご紹介します。

1)POPは余白を作らない工夫をする

POPは、余白が少ない方が良いと言われています。「情報のぎゅうぎゅう感」「詰まった感」を意識して作っていきましょう。 文字数が多いほど、そして余白が少ないほど、「伝えきれないほどの魅力が、この商品にはある!」というイメージが消費者に醸成されることが、心理学的に、わかっています 。

もし、書いていて余白が出来てしまった場合は、100円均一などで買えるマスキングテープや折り紙等を駆使し、隙間を埋めていくと「シズル感」が大きく向上します 。

コラム:POPに余白を作らない作成事例

仮に以下の写真のように、余白が出来てしまった場合は、マスキングテープや折り紙等を駆使し、埋めていくと「シズル感」が大きく向上しますので、おススメです。

事例①:余白あり
事例①:余白を折り紙を貼り付けて埋めた事例
事例②:余白あり
事例②:余白をマスキングテープで埋めた事例

2)売行きが良くなる立体POP重ね

ベースとなるPOP用紙にすべての情報が収まらない場合や、特に目立たせたいキャッチコピーがある場合は、「立体POP重ね」を活用します。別の用紙に文字を書き、それをハサミで切り取って、ベースのPOPの上にのりや両面テープで貼り付けます。

物理的に少し浮き上がることで、平面のPOPよりも圧倒的にお客様の目を引くことができます。

立体POPに使う吹き出し
立体の吹き出し文字の貼り付け②

3)売行きが上がる・視認性が良くなるPOPの文字サイズ

売行きが良くなるという文字サイズも、種々の2次データや研究が進んでいます。そのポイントを整理すると、概ね、次のような文字サイズが良いと言われています。商品説明を1とした場合の文字サイズが2倍、3倍と解釈してご覧ください。

ポイント 商品説明1:価格・商品名2:キャッチコピー3

4)売行きが良くなるPOPの強調線

POPをお客様に読み込ませ、購買意欲を喚起するために「強調線」が有効なことも、種々の2次データや研究で明らかになっています。「注目してほしい言葉」「伝わってほしい方」この両方を意識して、必要な箇所にアンダーラインを入れます。

ポイント:注目してほしい・絶対に伝えたい言葉にアンダーライン(ビフォー)
ポイント:注目してほしい・絶対に伝えたい言葉にアンダーライン(アフター)

5)POPデザインにおける色や色彩の選択方法

食品を扱う売場のPOP作成では、食品パッケージデザインの基本4色(赤色、青色、黒色、白色:台紙)をベースに、ロングセラーに育てたいのか、目立たせてその場の売れ行きが向上すれば良いのか(短命でも)、地域性、世代別、季節感といった要素を織り交ぜながら、色を使って文字やイラストを起こしていきます。

「食の基本色である赤を中心にするか、青を中心にするかをベースにPOPの色を使ったデザインを起案するアプローチ」「ロングセラーに育てたいのか、目立たせてその場の売れ行きを向上させるのかのアプローチ」、この2つのパターンから起案していくことがオーソドックスな考えです。

色の使い方は以下のパッケージデザインの考え方が参考になります。
⇒食品パッケージデザイン「色」の決め方!売れる色彩心理・配色比率・タブーを解説

第6章:【飲食店向け】用途別POPの書き方とデザインのコツ(メニュー・営業時間・アンケート)

食品スーパーとは異なり、飲食店(カフェ、居酒屋、レストラン等)におけるPOPは、店内の雰囲気づくりや、接客の一部としての役割を強く持ちます。ここでは、飲食店で特に検索されることが多い「メニュー」「営業時間」「アンケート」の3つのPOPについて、効果的な書き方とデザインのコツを解説します。

1)客単価を上げる「メニューPOP」は手書きデザインが最強

飲食店において、「今日のおすすめ」や「期間限定メニュー」をアピールするメニューPOPは、客単価に直結する最も重要なツールです。

メニューPOPのデザインにおいて当事務所が強くおすすめするのは、「手書き」を取り入れることです。なぜなら、手書きの文字には「今、厨房で作りました」「店長がどうしても食べてほしい一品です」というライブ感(鮮度)と熱量が宿るからです。

・デザインのコツ:メニューPOPには、料理の「シズル感(ジュージュー、とろーり等の擬音語)」を必ず入れましょう。文字だけでなく、料理の写真を切り抜いて貼ったり、筆ペンを使って筆圧でメリハリをつけるだけでも、プロ顔負けの温かみのあるデザインになります。

2)事務連絡で終わらせない「営業時間POP」の工夫

店外やレジ横に掲示する「営業時間」や「定休日」をお知らせするPOP。実はここにも、お客様の心を掴むチャンスが隠されています。

単に「営業時間 11:00~20:00」とパソコンの無機質な文字で打ち出すだけではもったいないです。営業時間POPは、お店の入り口でお客様を最初に出迎える「顔」です。

・改善例:「いつもご来店ありがとうございます!当店は心を込めて仕込みをするため、〇時〜〇時で元気に営業しております。皆様のまたのお越しを笑顔でお待ちしております!」

このように、感謝の言葉やお店のスタンスを一言添えるだけで、お客様からの印象(お店のファンになる確率)は劇的に変わります。

3)顧客との絆を深める「アンケートPOP」

最近、卓上にQRコード等と一緒に置かれることが増えた「アンケートPOP」。これは、お店とお客様でより良いお店作りをしていく「価値共創」のための強力な武器になります。

「アンケートにご協力ください」というお願いだけでは、なかなか回答してもらえません。お客様に動いていただくためには、回答する理由(メリット)と目的を明確にデザインすることが重要です。

・書き方のコツ:「もっと美味しいオムライスを作るために、お客様の率直なご意見を聞かせてください!」といった目的を明記しましょう。さらに「ご協力いただいた方には、次回使えるドリンク無料券をプレゼント!」など、小さな感謝の気持ち(インセンティブ)をセットにすることで、回収率は跳ね上がります。

4)飲食店向け「無料テンプレート」活用の落とし穴と対策

「飲食店 pop テンプレート 無料」と検索して、ネット上にある無料のひな形(CanvaやExcelなど)を活用する店舗様も多いでしょう。無料で手軽におしゃれなPOPが作れるため、忙しい飲食店には非常にありがたいツールです。

しかし、テンプレートをそのまま使うと、「どこかで見たことがある、他店と同じようなPOP」になり、お客様の記憶に残りません。

・テンプレート活用の対策:無料テンプレートをベースにしつつも、「お店のロゴを入れる」「スタッフの似顔絵や写真をワンポイントで入れる」「キャッチコピーの部分だけは手書きの文字を画像にして貼り付ける」といった一工夫を加えてください。このひと手間で、無料テンプレートが「あなたのお店だけのオリジナルPOP」へと生まれ変わります。

コラム:支援先で改善を促した飲食店のPOPから学ぶ

支援先がこのようなPOPを店頭に掲示した時の話です。この記事をご覧になっている皆様、いかがでしょうか。おそらく「食べてみたい!」というように響かないでしょう(笑)。

珍しく、直ぐにでも改善するよう、注意をしました。あまりにもひどかったので。なぜなら、この場に行くまで、「POPを言われたとおりに店頭に表示したにもかかわらず、反応薄い」との愚痴でしたので。

改めて、この記事をご覧になっている皆様は、いかがでしょうか。どう改善すべきでしょう?

まず、ここは漁港の近くの食堂で、港から水揚げされた水産物を使ったメニューですから、PRする商品には異論はありません。ただ、以下の論点が課題でしょう(つまり改善が必要でしょう)。

・冬の一押しとありますが、どの点を「押す理由」とするのかが伝わっていない(伝えなければならない)。
・そもそも判断する理由の1つになる「価格」が記載されていない。
・彩り5色とありますが、イラストは5色以上になっているという矛盾をメニューで改善する必要がある。
・そもそも当該メニューが、見込客が実際に消費する場面にあたり、どのような便益(メリット)があるかが伝わっていない。

また、そもそもなのですが、掲示に「記号」が施されていないません。そう、この記事ではPOPの作成の仕方を説明することが主題でしたので、あまり触れてきませんでしたが、「気になる!」「見たい!」「食べたい!(おいしそう!)」「体験したい!」といった気持ちにさせる要素が一切、含まれていないのです。

これまで説明してきたPOPの作成のテクニックは、とても重要性ですが、それを瞬間に伝え、「気になる!」「見たい!」「食べたい!(おいしそう!)」「体験したい!」といった気持ちを、瞬間に醸成させるような工夫(努力)も必要です。

⇒記号については「【事例付】記号消費を活かした飲食店・食品メーカーの集客・販促ガイド|観光客を惹きつけるブランド価値の作り方」を御覧ください。

この記号が、当該POPに掲示されてこそ、集客につながるというものです。

コラム:小規模事業者の売れるPOP作成の論点「記号化による無意識の意識化」

①多くの個人や小規模事業者のPOP掲示時の間違い(課題)

多くの個人や小規模事業者の現場(飲食店や食料品小売店、洋菓子店、和菓子店、食品スーパーなど)では、本当に残念なPOPに出逢います。例えば、食品スーパーなどでは次のようなPOPです。

推測いただくと わかると思うのですが、店内には「たくさんのPOP」が溢れていて、このような定型な情報では、POP本来の目的である「売上向上に繋げること」「購買点数を伸ばすこと」「客単価を上げること」といったことの実現は不可能でしょう。

なぜなら、広告をはじめ、世には多くの情報が溢れていて、結局のところ消費者は「無意識化」してしまっているからです。では、どうするか?

それは、「無意識を意識化してあげること」です。意識化とは、「わたしのことか!」あるいは「何だ?」という注意喚起のようなものです。それでいて、そのPOPが機能して、ようやく、お客様が購買の選択肢として意識が向き始めるのです。そう、購買するという行動の入口に立つことができるのです。

では、無意識の意識化は、どうすれば良いのかそれが「記号化による記号消費の誘発」です。これにより、興味喚起を図ることも可能ですし、実際の購買点数の増加に繋がることも種々の支援先で実証済です。

⇒記号消費については「【事例付】記号消費を活かした飲食店・食品メーカーの集客・販促ガイド|観光客を惹きつけるブランド価値の作り方」を御覧ください。

②無意識の意識化による購買意向の醸成するテクニック

数多く並ぶ商品の中から、その商品を、そのメニューを、選んでいただけるように仕向けるには、「わたしのことか?」「何?何だ?体験してみたい!」「見てみたい!」というように、店内を回遊している御客様の気をひく(魅く)ことしか、購買の入口に立ってもらう方法はありません。

ここを自戒して、POPを作って掲示することが重要です。その手法のアプローチとして、当方は記号化を推奨するわけです。以下に、POPを作っていく際の留意点について紹介しますので、参考にしてくださいね。

・全ての回遊客から気を引く方法

「どのような顧客層が、その商品を購買するか?、到底わからない・・?」

このような場合のPOP作りの思考です。応えは簡単です。記号消費で紹介したバブル図の中の「喜怒哀楽」の視点を活用します。つまり、POPのキャッチコピーとして、次のようなものが、回遊者の視線を釘付けにします。

興味を引く(魅く)記号を検討するバブル図:出所(https://kubo.consulting/how-to1/641/)

例)
「とても悲しい・・この商品今回で終了なのです・・(´;ω;`)ウッ…」
「凄すぎる! 全国で累計*****食 販売という他に類を見ない売れ行き!」
「泣けてくる・・まさか、あの不幸な故人***も、愛用していたとか・・どんな気持ちで使用していたのだろう」

上記事例は、極端ですが、まずは、何?と「回遊している御客様の心を鷲掴みにすること」が重要です。

質問:あなたは、以下の比較A-POP、比較B-POP、どちらが気になるPOPですか??

比較A-POP
比較B-POP

・特定の顧客層から気を引く方法

どのような顧客層が、その商品を購買する可能性があるか、わかる場合・・。

このような場合のPOP作りの思考です。応えは簡単です。先ほど紹介したバブル図の中の「お客様にとっての自分事」の視点を活用します。つまり、POPのキャッチコピーとして、次のようなものが、回遊者の視線を釘付けにします。

例)
「美肌! このテーマで開発された御菓子はこれだけ!」
「焼肉大好きな方必見! 炊き肉!という新しい新ジャンルを御提案♪」
「即席めん常用される方の免罪符!*************」

上記事例は、極端ですが、いずれにしても、それぞれ、あっ、わたしのことか?という視点が盛り込まれています。

質問:あなたは、比較C-POP、比較D-POPどちらが気になるPOPですか??

比較C-POP
比較D-POP

第7章:【Q&A】POP作成でよくあるご質問

Q:エクセルや無料アプリのテンプレートで作成しても効果はありますか?
A: はい、十分に効果があります。現代は人手不足もあり、「pop 作成 無料 テンプレート」「エクセル pop 作成」といった方法で効率化を図る企業が増えています 。大切なのはツールではなく、第2章で解説した「4:1:4:2のレイアウト」と、第4章の「お客様に刺さるキャッチコピー」が盛り込まれているか否かです。

Q:ChatGPTやGeminiなどの生成AIでPOPを作るコツは何ですか?
A: AIに「美味しいパンのPOPを作って」とだけ指示しても、ありきたりな言葉しか出てきません。AIを上手く使うコツは、第4章で紹介した「スタッフの感想」「販売実績」「お客様からの質問」などの具体的な材料(事実)をプロンプトとして入力することです。人間の「現場のリアルな感情」と、AIの「言語化スキル」を掛け合わせるのが、近年のベストプラクティスです。

初稿:2018年3月10日 加筆修正:2025年6月13日、12月23日、2026年3月8日

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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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