小規模加工食品事業者が老人ホームや病院に販売する方法

特定チャネルに「どうやって流通を実現するか」

今回は、老人ホームや病院に加工食品の流通を実現する方法についてです。煎餅を売りたいとする小規模事業者の支援事例を使い説明していきます。

まずもって考えなければならないのは、現場の実情です。一般的に老人ホームや病院等に入所されている方の食事は、日清医療食品さんや、エームサービスさん等の大小様々な「給食や食堂受託会社」が担っています。

小規模事業者が、これらの事業者と取引を開くのは至難の業ですから、すでに取引がある事業者の口座(窓口)を利用し商売する策を考えることが得策です。策と言っても難しい話ではなく、帳合にして販売していこうということです。

例えば、売りたい商品が「個包装された煎餅」で、近所の老人ホームに納入したい!と思うのであれば、その老人ホームを朝から玄関口で可能な限り(怪しまれない限り)観察するようにしましょう。そこには、八百屋をはじめ多くの事業者が出入りしていることに気付くことでしょう。

この煎餅は「老人ホームに入所している方向けのおやつ」ということになりますので、その親和性の高い出入り業者に目星をつけると良いです。大阪府八尾市で煎餅を販売したいといった事業者の事例では、関西最大手の業務用製パンメーカー「オリエンタルベーカリー」が、その老人ホームに出入りしていることがわかりました。

同社の販売所は「東大阪」にあったため、そちらの所長さんを訪ねたところ、気軽に同社の本社を紹介くださり、商流がついたものです。以上のことから言えることを整理すると次のようになります。

・納品したい老人ホームや病院に出入りしている事業者を観察

次に、商流をつけるにあたって気を付けたいことは、以下になります。

・帳合で依頼する事業者の商品とカニバリゼーションしない事 

先の煎餅の事例で言えば、業務用製パンメーカーはパン、小麦系菓子が得意ですので、それ以外の「煎餅」だったから採用されたのです。つまり、この製パンメーカーにとっては、老人ホームの「おやつアイテムの充実」が叶ったということになります。

久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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