【事例・計算式あり】多属性態度モデルとは?飲食店や食品・スーパー等の主力商品を決める活用法をわかりやすく解説

支援先の飲食業(居酒屋、カフェ、食堂など)、食料品製造業(食品メーカー)、食料品小売業(食品スーパーや鮮魚店、八百屋、洋菓子店、和菓子店など)、宿泊業(宿泊プラン)で、売上を想定通り獲得出来ていない状況の1つに、「主力メニュー(飲食店)が存在しない」「主力商品が存在しない」「主力になる品揃えが乏しい」「主力になる宿泊プランがわからない」といった場面に遭遇することがあります。

無論、「この飲食店と言えば!」「この食品メーカーと言えば!」そんな商品やメニューが存在(主力メニューや商品)した方が、想定通りの売上獲得に近づくわけです。

では、どうやって数あるメニュー、数ある商品の中から、選択すれば良いの?そんな疑問がわくことでしょう。その際のアプローチを、多属性態度モデルという考えを使い、説明します。このアプローチは、当事務所の支援の現場において、多くの成功体験を積んできたもので、自信を持っておススメできます。

第1章:多属性態度モデルとは

1)フィッシュバインの多属性態度モデルとは?

多属性態度モデルの代表的な理論として知られているのが、アメリカの心理学者マーティン・フィッシュバイン(Martin Fishbein)が提唱した「フィッシュバイン・モデル」です。

このモデルは、一言でいえば「消費者がある対象(商品やお店)に対して抱く態度は、その対象が持つ複数の属性(特徴)への評価と、消費者がその属性をどれくらい重視しているか(重要度)の掛け合わせによって決まる」と定義したものです。

大学のマーケティングの授業などで学術的なフレームワークとして語られることが多いですが、実は中小企業の店舗経営や商品開発といった現場において、お客様の心理を客観的に読み解き、売れる商品を導き出すための非常に実践的なツールとして活用できます。

消費者が、商品を評価する際、1つの属性だけに着目して判断することはありません。その商品の複数の属性に着目して、判断することが普通です。

そこで、この「複数の属性」を統合したものが、その商品に対する「全体的態度」であると考えます。これが、多属性態度モデルと言われるものです。

2)多属性態度モデルの基本的な「式」と計算方法

「モデル」や「理論」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、多属性態度モデルの計算方法はとてもシンプルです。基本的な「式」は以下のように表されます。

【多属性態度モデルの基本式】
商品の総合評価 = Σ(属性ごとの重要度 × その商品が持つ各属性の評価点)
この式を、現場で使えるようにわかりやすく手順化すると、次のようになります。

1.属性ごとの重要度を数値化する(例:お客様が「価格」を5段階中「4」重視している)
2.商品に対する評価点を数値化する(例:自社の商品の「価格」に対するお客様の満足度が5段階中「3」である)
3.重要度と評価点を掛け算する(例:4 × 3 = 12点)
4.すべての属性(味、見た目、価格など)の点数を合計する

このように、各項目を掛け算して足し合わせることで、お客様がその商品を総合的にどう捉えているか(全体的態度)を、客観的なスコアとして可視化することができます。

第2章:多属性態度モデルのわかりやすい活用事例

ここでは、多属性態度モデルが、現場でどのように役立つのか、イメージしやすいように具体的な事例をご紹介します。

1)事例①:食品スーパーにおける惣菜・お弁当の評価

よく現場で質問される「食品スーパー」を例に、多属性態度モデルの活用例を見てみましょう。あるスーパーが、マンネリ化しているお弁当コーナーの主力商品を見直そうとしているとします。

お客様がお弁当を選ぶ際の判断基準(属性)として、「価格の安さ」「ボリューム」「彩り・見栄え」「健康配慮(無添加など)」の4つをピックアップしました。

事前調査の結果、このスーパーのメイン顧客はガッツリ食べたい層が多く、「ボリューム(重要度5)」と「価格の安さ(重要度4)」を特に重視していることがわかりました。一方で「彩り(重要度2)」や「健康配慮(重要度3)」はそこまで重視されていません。

この場合、もし「幕の内弁当」が彩りや健康配慮で高得点を獲得していても、顧客が最も重視するボリュームや価格で「特盛り唐揚げ弁当」が高得点を獲得していれば、多属性態度モデルの計算式による総合スコアは「特盛り唐揚げ弁当」が圧倒的に上回ります。

このように、スーパーの惣菜部門や青果部門などにおいても、「店側が売りたいもの」と「顧客が本当に求めているもの」のズレを数値で客観視し、真の主力商品を決定する際に大いに役立ちます。

2)事例②:飲食店での主力メニュー選定

食品スーパーと同様に、飲食店や宿泊業などにおいてもこのモデルは効果を発揮します。「自店のどのメニューを看板メニューとして育成すべきか?」という悩みを、勘や経験だけでなく、お客様の実際の評価(重要度×評価点)に基づいて決定していくことができます。

では、実際に店舗で、どのようにアンケートを取り、どのように計算して主力メニューを発見していくのか。次章では、当事務所が現場で実践している具体的な手順(発掘法)を5つのステップで解説していきます。

第3章:多属性態度モデル活用による主力メニューの発見の手順

ステップ① 売れ筋メニューや商品をピックアップ

まずは、ABC分析(重点管理)等で、売れ筋商品やメニューを事前にピックアップしておきましょう。そのピックアップしたものは、最低でもAに値するもの、可能ならBに値するものまでを管理の候補とします。

このステップ①を実現するには、あらかじめ、一定期間の商品毎の売上集計と管理が必要になります。エクセルで充分です。その際の売上管理のポイントを、業種業態毎に紹介すると以下になります。

・飲食店
飲食店の場合、メニューが30点以下であれば、全てを売上の集計対象とします。もし30点以上であれば、スタッフと会話する等、まずは上位30点の目星をつけておいて、一定期間のメニュー毎の売上を集計して、ABC分析しましょう。

・食品製造業(食料品製造業・食品メーカー)
小規模や中小企業の食品メーカーの場合、自社の主力商品は一目瞭然というのが一般的でしょう。プライベートブランドや、特定の小売業の留型商品を除いて、自社ブランド商品の中から選択するようにします。

小規模や中小企業の食品メーカーの場合は、おそらく1番売れている商品、あるいは上位3位までの商品は、わざわざ売上を集計する迄も無く、選択可能でしょうから、特にABC分析をする必要は無いと言えますね。

・食料品小売業(食品スーパーや鮮魚店、八百屋)
この業種の方は少々大変ですが、今どきPOSレジ等は、保有していることが多いので、ABC分析をエクセルで、わざわざ実施しなくても良いのではと思います。ただし、POSレジ等が無い場合は、お客様がお買上にいただいた商品名毎に「正の字」で、レジ打ちで積算する等、必要になるかもしれませんね。また1ケ月単位で売上を集計するということであれば、月末の棚卸で、売れ筋把握も可能でしょう。

・宿泊業
一定期間に提示している宿泊プランをリスト化し、予約数、実際の宿泊数をカウントしていきましょう。その結果をABC分析すれば良いでしょう。

ステップ② 事前に来店客の評価態度を収集

ステップ①の一定期間の売上集計と管理を続ける傍ら、利用してくださったお客様に事前にアンケートを行います。どんなアンケートかと言いますと、お客様の嗜好や選好(好み)の強弱を問うアンケートになります。自店に対しての「お客様の評価態度」を問うアンケートです。

例えば飲食店の場合、ステップ①でピックアップした全ての料理に対して、嗜好や好みを問うことになります。ここでは下表のような視点になります。

話をわかりやすくするために、3つの属性(彩り・鮮やかさ、食材のコダワリ、栄養バランス)に絞ってあります。無論、細かい方が良いのですが、協力してくれるお客様のことを考えると5~7つの属性程度までにしたいですね。

さて何を問うかと言いますと5段階で数字を入れてもらいます。

回答には、5:最も重視する 4:重視する 3:気にしたことが無い 2:あまり気にしない 1:まったく気にしない

このようなニュアンスで回答しやすくすると良いですね。あとは、回答者数を踏まえ、統計処理が必要になります。ここは専門家に任せてあげてくださいね。

要するにメニューや商品の構成要素を書き出していくと、アンケートすべき項目の理解が進みます。宿泊業の場合も、原則的には同じで、その宿泊プランを構成する要素を書き出していくと良いでしょう。

部屋の面積、部屋のタイプ、温泉やお風呂、御料理、アメニティ、清掃状況、部屋のタイプ・・・etc

ステップ③ ステップ②でわかること

ステップ②では結局、自社に来店してくれるお客様、購入してくれるお客様の、自店や自社への嗜好や好みの「重要度」(態度)がわかります。具体的には、下表のようになります。

つまり、この飲食店に来店してくれるお客様は、普段、彩り・鮮やかさには「3」、食材のコダワリには「5」の嗜好があるということです。

ステップ④ 多属性評価モデルの日々の確認

日常の飲食提供、日常の流通販売を通じて、それぞれの商品やメニューの評価(注1)をお客様1人1人に実施してもらいます。先の飲食店の場合は、3属性についてです。評価は、例えば、次のようでしょう。

3:彩り・鮮やかさが「素晴らしい」 2:彩り・鮮やかさは「ふつう」 1:彩り・鮮やかさは「物足りない」

注文を取り、その後、配膳する際にでも、回答への御協力を、お客様にお願いするよう、スタッフに協力してもらいましょう。

(注1)ステップ①の結果、明確になった売れ筋を、上位でリスト化し、飲食店なら、提供する料理(メニュー)について、食品や菓子製造業等の食品製造業(食料品製造業)なら、出荷している商品について、食料品小売業なら、品揃えしている商品について、宿泊業なら、宿泊プランについて、利用したお客様に、都度、アンケートを行います。

話をわかりやすくするために、この飲食店には3つのメニュー(A,B,C)しかないものとします。仮に、一定期間のAメニューの利用者が42名、Bメニューの利用者が39名、Cメニューの利用者が38名だとし、上記3段階を評価していただき、単純平均した場合、下表のようになることでしょう。

ステップ⑤ 主力メニュー候補の選択

あとは、メニュー毎の評価を得点化することです。先の例であれば、メニューAは、1×3+2×5+1×2=15点 というように計算していきます。

上表であれば、お客様の評価が高いのは「メニューB」となりますので、これを主力メニューとして選抜し、育成していくことになります。

ここでは説明していませんが、食品製造業(食料品製造業:食品メーカー)、食料品小売業(食品スーパーや鮮魚店、八百屋)、宿泊業も同様に評価していきましょう。上表にあるメニューAが商品A、メニューAが宿泊プランA、といった具合に考えてもらえれば良いでしょう。

いかがでしょうか。個人や小規模事業者の皆さんも取り組みやすいものです。「1番売れているから」といった理由で、その商品を主力メニューや主力商品と決めつけず、総合的・全体的な視野から、主力メニューや商品を発見し、育成していくようにしましょう。目標売上や、必要な売上獲得の近道になるはずです。

初稿:2021年11月23日、加筆修正:2024年7月25日、2026年3月9日

備考:多属性態度モデルに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 多属性態度モデルとは何ですか?簡単に教えてください。
A. 消費者が商品やサービスを評価する際、「価格」「味」「見た目」など複数の属性(特徴)を総合して判断するという考え方に基づいたマーケティングモデルです。各属性の「重要度」と「評価点」を掛け合わせることで、顧客の「全体的な態度(好意度)」を数値化し、客観的に分析できます。

Q2. フィッシュバイン・モデル(Fishbein Model)との違いは何ですか?
A. 基本的には同じものを指します。心理学者のマーティン・フィッシュバインが提唱した理論がベースとなっているため、学術的には「フィッシュバインの多属性態度モデル」と呼ばれます。ビジネスの現場では、単に「多属性態度モデル」と呼称されることが一般的です。

Q3. 多属性態度モデルの計算式を教えてください。
A. 基本的な計算式は、「総合評価 = Σ(属性ごとの重要度 × 属性ごとの評価点)」です。
例えば、属性が「価格」と「品質」の2つの場合、「(価格の重要度 × 価格の評価) + (品質の重要度 × 品質の評価)」で算出されます。これにより、どの要素が顧客満足度に寄与しているかが明確になります。

Q4. 飲食店で多属性態度モデルを活用するメリットは何ですか?
A. 「単に売れている理由」を深掘りできる点です。例えば、売上1位のメニューが「安いから選ばれている(消去法)」のか、「味が絶賛されている(積極的選択)」のかを判別できます。これにより、本当に伸ばすべき「看板メニュー」の原石を見極め、効果的な販促が可能になります。

Q5. 食品スーパーでの具体的な活用事例はありますか?
A. はい。惣菜やプライベートブランド(PB)商品の開発によく用いられます。顧客が「時短」「安さ」「栄養バランス」「家族の嗜好」のうち何を重視してお弁当を選んでいるかを数値化し、そのニーズに合致した新商品を投入することで、的中率の高い品揃えを実現した事例が多数あります。

Q6. アンケートをとる際、属性(項目)は何個くらいが適切ですか?
A. 回答者の負担を考えると、5〜7項目程度に絞るのが理想的です。項目が多すぎると回答の精度が下がるため、飲食店であれば「味・価格・量・見た目・提供スピード・接客」など、顧客の意思決定に直結する要素を厳選することをお勧めします。

Q7. 「売れ筋商品(ABC分析)」の結果と、多属性態度モデルの結果が食い違うことはありますか?
A. よくあります。ABC分析は「過去の結果」ですが、多属性態度モデルは「顧客の心理(態度)」を映します。例えば、売上は高いが満足度が低い商品は、競合が現れるとすぐに顧客を奪われるリスクがあります。逆に、売上はそこそこでも満足度が極めて高い商品は、次なる主力(Aランク)になるポテンシャルを秘めています。

Q8. 統計学や数学の知識がなくても分析できますか?
A. はい、可能です。基本的な足し算と掛け算ができれば、エクセルやスプレッドシートを使って十分に分析できます。高度な有意差検定などが必要な場合は専門家に依頼するのも手ですが、中小企業の現場レベルであれば、単純平均を用いたスコアリングだけでも十分な意思決定の材料になります。

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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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