良く支援先で、うちの強みは「これ!」といった話を耳にします。
しかしながら、
その内容を日々の販促に落とし込めていない飲食店や食品製造業、菓子製造業の方が
小規模な事業規模ほど多いです。
ですから、今回と後日、この強みが「本当の強み」になるには、どうすれば良いのか?
その論点について書いてみます。
先日、某大根農家が、うちの大根は1番おいしい!とおっしゃっていました。
それを聞いていて、何を根拠に言っているのだろう?
そのように感じました。
つめてきくと、栽培の工夫を説明されます。
ですが、どうでしょう・・
無論、栽培の工夫は大事ですが、
食味との因果関係は、実は「有るようで無い」のが実情です。
そういった意味で、
同社の言う強み「栽培の工夫・・・・」は強みとは言い切れないところがあります。
そんなことは、消費者が1番わかっていて、
納得しないから、買ってもくれないし、買っても継続しないのです。
さて、話を戻し、
本当の強みは何なのか?
ここを知ることが大事です。
それを知る方法はあります。そこを説明していきます。
まず、出発点は、競争優位と言う考え方です。
競争優位は、直接的競合、間接的競合(代替的競合)に比べ、強みが「どの程度か?」を表す尺度です。
その尺度には2つあり、以下のようになります。
■絶対的優位
これは、その事業者特有のもの。
事業者だけが有している知識、ノウハウ、ナレッジ等々を指します。
ですから、同じ焼菓子を製造しても、その事業者しか、その風味や栄養価、食感等を実現できないことになります。
他の事業者が、お金の力などで、覆そうとしても絶対に、覆りません。
それほど、強固な優位性を持っている場合です。
■想定的優位
これは、競合と比較して、相対的に、こちらの方が優位だから「強み」とする考え方です。
つまり、競合が努力してしまえば、簡単に追いつかれてしまうほどのものです。
よって、この優位性は、時間的な制約があるものです。
ですから、気づいたら優位性が焼失していた・・
そんなことが多く、実は多くの小規模事業者は、こちらの優位性をもって「強み」だと判断していることが多いです。
==以上==
ここから言えることは、本当に売れる御店創り、売れる商品を産みだしていきたいなら、
絶対的優位を構築するしか無いのです。
戦術的に、一定期間の儲けを優先するなら、相対的優位もOKですが、時間的制約、鮮度、ここを意識して、
意図的に、見切りを付けれる状況で利用していかなければならないことになります。
では、時間をおいて、先の大根農家を事例に、絶対的優位の構築のアプローチを後日説明したいと思います。
久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。