支援先でイカの加工食品の「食品加工設備」を製造する会社で、実際に相談があった話です。
それは「手形や小切手で支払い受けて大丈夫でしょうか?」というもの。
新型コロナウィルス感染症の影響下で、資金不足に陥った事業者に対して、手形や小切手の不渡り処分を当面猶予する特別措置があります。
通常時は、資金不足になり、手形や小切手に対して支払いができない場合は不渡りで、2回繰り返すと金融機関は取り引き停止を行うものです。つまり、事実上の倒産です。
手形や小切手の不渡り処分を当面猶予の処置は、事実上の倒産を一時的に回避することにはなりますが、支払いを受けて手形や小切手の現金化を予定していた事業社側は、逆に資金不足に陥ることが予想されます。
金融機関においては、不渡り処分の猶予はしても、支払いを肩代わりするわけではありません。従って、なるべく現金で商売をするよう調整すべきですし、相手が支払い厳しいようであれば、安易に業を請け負わないで、相談して頃合いを待つべきでしょう。
久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)
加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。