飲食店の値上げ(販売単価を上げるため)の基本的な考えと方法

新たに支援先(顧問先)となられる小規模事業者の場合、とくに多い、質問の1つが、このタイトルだったりします。

そこで、種々のアプローチの中、基本的なことを1手法、下記に紹介します。その手法には以下の4つの視点があります。取り組んでみてはいかがでしょうか。

①アップセル
 1つの料理の価格バリエーションを、いくつか設けることで、 意図的に1番売りたい単価の料理が1番注文が多くなるように仕向けることです。よくあるのが、松・竹・梅といった設定を価格が低い順から、冠すると、御客様は自然と真ん中の竹を選ぶというものです。

 お客様側の心理に働く、「少々の見栄」が、そのような選択をさせます。例えば4段階設定すると、下から2番目の値付けのものを選ぶことがわかっています。3段階では、ちょうど中央です。

 例えば500円のランチを提供している店が、1人あたり客単価を800円にしたい場合、下から、500円、800円、1200円、といった値付けをすることで、従来、500円の客単価が、800円に近づいていくという現象を体験することになります。

②クロスセル
 料理を注文する際、他の料理等を併せて購入してもらうことを誘導する手法です。 せっかく来店していただいたのですから、少しでも、売上単価を向上したい場面に使います。

  たとえば、お会計時に、今日お食事いただいたものは、別途、webでレトルトを購入できますとチラシを配布しておいたり、 注文を受けた料理に、このワインがオススメですといった具合に、注文を促したりする考え方です。

 活用のポイントは、お酒のペアリングのように、売れ筋や売りたい料理の関連商品を、いっしょに販売するという思想が1番、効果が大きいように感じます。

③パッケージセル(抱き合わせ)
 ようするに、セット販売、あるいは、1個より2個の方がお得というPRで、購入単価を上げる方法です。

 例えば、居酒屋などで、1品1品、注文される場面で、3つまとめて注文で、割安といった訴求などが考えられます。

④ダウンセル
 売れ筋の商品や、本日のオススメなどで、品切れになってしまう場合もありますよね。このような場合、御客様はガッカリするものです。そこで、ガッカリさせないように、活用したい取組が、ダウンセルになります。

 注文しようとしていただいていた料理のお値段で、別途、こちらから類似のもので、より良いものを提案することです。結果、その失注を避けることが出来ます。
 例えば、茄子のパスタが品切れの場合、代用でズッキーニがあれば、ズッキーニパスタを提案し受注することです。

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以上、概ね4つ紹介しましたが、全てに言える大切なポイントは、「お客様の満足度」(顧客満足度)が得られる取り組みか否かです。これが得られないようだと、値上げ時に、ただ単に「高い」という印象で、御客様は離反してしまうでしょう。ですから、満足度に直結する下記要因、これを今一度、念頭において、取り組んでいくことをオススメします。

 「当店のお客様にとっての存在価値は、どんなものだろうか?」(存在価値の見つけ方はこちらクリックで御覧いただけます)

 この価値を意識して取り組めばに、単なる値上げでは無く、共感を得られる値上げになることでしょう。

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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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