飲食店の売上構造分解から集客や販促策を練る方法(売上獲得につながるマーケティング策の立案方法)

 飲食店を経営する方々に「なぜ集客策を実施する必要があるのか?」「なぜ販促策を実施する必要があるのか?」を問いますと、概ねの回答は「売上を極大化するため」「売上を獲得するため」「想定通りの売上を獲得できるようにするため」といったようになります。

 しかしながら、「その集客策や販促策が、なぜ売上に効いてくるのか(効果的なのか)?」を問いますと回答できないものも事実です。そこで今回は、「飲食店の売上の構造を分解し、その上で、どういう思考で売上獲得の手段である集客策や販促策を起案すれば良いのか」を示していきたいと考えています。

目次
1.飲食店の売上を構造的に分解する
1)月当たり目標売上=1日あたり来店客数(人)×平均購買単価(円)×営業日数(日)
2)1日あたり最大の来店客数=席数(席)×回転率(回転)
3)1日あたり最大の来店客数=店頭を通る人・車(人・台)×立ち止まってくれる確率(%)×入店率(%)×購買率(%)
4)1日あたり最大の回転率=営業時間(時間)×1席で1時間あたり何人利用できるか(人)
5)1日あたり目標売上=1日あたり来店客数(人)×平均購買単価(円)
6)1日あたり最大の来店客数・チラシ=拠点数(箇所)×配布枚数(枚)×興味喚起率(%)×来店行動率(%)
7)1日あたり最大の来店客数・Web/チラシ=セッション数(訪問数)×コンバージョン率(来店行動率:%)

2.飲食店の売上の要素毎に集客や販促のアプローチを整理していく
1)平均購買単価
2)立ち止まってくれる確率
3)入店率
4)購買率
5)店舗滞在時間
6)チラシの拠点数
7)チラシの配布枚数
8)チラシによる興味喚起率
9)チラシによる来店行動率
10)Webのセッション数(訪問数)
11)Webを介した来店行動率

3.売上に効くマーケティング施策の参考記事

1.飲食店の売上を構造的に分解する

 下表は、飲食店の売上を構造的に分解した事例です。一般的に飲食店の売上は「客数×客単価」と分解されますが、そんな緩い分解では、策を講じるにもあまりにも定義が広く、的が絞れないものです。そこで、おススメするのが下表のような分解です。表の上段は「月当たりの目標売上」を分解したもの、下段は「1日あたりの目標売上」を分解したものです。

by 月当たりの目標売上の設定と内容の分解
by 1日当たりの目標売上の設定と内容の分解

 これは一例ですから、様々な切り口で分解できることでしょう。皆さんの御店特有の要素も踏まえながら、なるべく細分化して求めていくことが重要です。

 念のため、以下に上表の売上分解式を掲示するとともに、マーケティング実行策を検討する際の着眼点を示しておきます。

1)月当たり目標売上=1日あたり来店客数(人)×平均購買単価(円)×営業日数(日)

 飲食店としては、単価を上げて営業日数を減らすといった戦術を検討する等、トレードオフや折衷型の施策が検討可能ということです。

2)1日あたり最大の来店客数=席数(席)×回転率(回転)

 飲食店としては、席数を確保して回転率を落とす、席数を減らして回転率を上げる等、トレードオフや折衷型の施策が検討可能ということです。

3)1日あたり最大の来店客数=店頭を通る人・車(人・台)×立ち止まってくれる確率(%)×入店率(%)×購買率(%)

 飲食店としては、立ち止まってくれる確率が高いが入店率が低い、立ち止まってくれる確率が低いが、立ち止まると必ず入店してくれる等、トレードオフや折衷型の施策が検討可能ということです。

4)1日あたり最大の回転率=営業時間(時間)×1席で1時間あたり何人利用できるか(人)

 飲食店としては、営業時間を伸ばすことで回転率を上げることも可能であるし、営業時間は、そのままで、1席あたり利用できる人数を増やす策を講じるといったことも可能等、トレードオフや折衷型の施策が検討可能ということです。

5)1日あたり目標売上=1日あたり来店客数(人)×平均購買単価(円)

 先述の2)や3)で1日あたりの来店客数を増やす策を講じれる他、そもそも客数は、そのままに、購買単価を上げる策を実施する等、トレードオフや折衷型の施策が検討可能ということです。

6)1日あたり最大の来店客数・チラシ=拠点数(箇所)×配布枚数(枚)×興味喚起率(%)×来店行動率(%)

 先述の2)や3)で1日あたりの来店客数を増やす策を講じれる他、チラシのみでは、拠点数を増やし、配布枚数が苦戦しても良い、拠点数が減り、配布枚数は減るが、興味喚起率が高いといったように、トレードオフや折衷型の施策が検討可能ということです。

7)1日あたり最大の来店客数・Web/チラシ=セッション数(訪問数)×コンバージョン率(来店行動率:%)

 セッション数を伸ばしたが、来店行動率が、まずまずで良い、セッション数が減っても、来店行動率を向上させる等々、トレードオフや折衷型の施策が検討可能ということです。

2.飲食店の売上の要素毎に集客や販促のアプローチを整理していく

 1にて、自店の売上の構造を要素として分解できたら、次は各要素について、どのような集客策や販促策が可能なのかを整理していくと良いでしょう。ここではあくまでも、「方向性を確認すること」に留めておきますね。

1)平均購買単価

 グランドメニューの見直し、売りのメニューの見直しや立案、価格の見直しや改善、セット販売や組み合わせ提案の強化(*)、物販やテイクアウトの強化(*)等々

*1人あたりの購買単価は、単価×点数とも表現できるため

2)立ち止まってくれる確率

 店頭マグネットの設置や改善、存在価値を踏まえたPOPや掲示、看板設置や内容の改善、のれん設置や内容の改善等々

3)入店率

 店頭マグネットの設置や改善、存在価値を踏まえたPOPや掲示、看板設置や内容の改善、のれん設置や内容の改善等々に加え、希少性・限定性・即時性・利便性を踏まえた「この機会に利用したい!」「この機会に利用すべき!」といった動機付けが叶う施策の実施が必要。

4)購買率

 グランドメニューの見直し、売りのメニューの見直しや立案、価格の見直しや改善、セット販売や組み合わせ提案の強化(*)、物販やテイクアウトの強化(*)等々に加え、種々の特典(価格的、非価格的)の訴求、POPの記載内容や、店内掲示で訴求する内容の改善が必要。

5)店舗滞在時間

 滞在時間を短くして座席回転率を上げる、あるいは滞在時間を長くして購買率を上げるといったような両方向での検討が必要。いずれにしても、グランドメニューの見直し、売りのメニューの見直しや立案、価格の見直しや改善、セット販売や組み合わせ提案の強化(*)、物販やテイクアウトの強化(*)、種々の特典(価格的、非価格的)の訴求、POPの記載内容や、店内掲示で訴求する内容の改善等々が必要。

6)チラシの拠点数

 知人や友人の飲食店への設置、種々の観光地に設置、商工会や商工会議所に設置、道の駅に設置等々、工夫と努力次第で拠点数の拡大可能。

7)チラシの配布枚数

 知人や友人の飲食店への設置、種々の観光地に設置、商工会や商工会議所に設置、道の駅に設置等々、工夫と努力次第で拠点数が拡大すれば、自ずと配布数は増加。ほか店頭での配布、固定客や応援客を介した紹介制による配布等々、工夫が必要。

8)チラシによる興味喚起率

 魅力あるメニューやイベントの企画立案、魅力のあるチラシの作成(魅せ方:文字、イラスト、画像、キャッチコピー等々)等々。要するに「捨てられない」「役に立つ」チラシ作成が必要。

9)チラシによる来店行動率

 魅力あるメニューやイベントの企画立案、魅力のあるチラシの作成(魅せ方:文字、イラスト、画像、キャッチコピー等々)等々。要するに「捨てられない」「役に立つ」チラシ作成が必要。これらに加え、希少性・限定性・即時性・利便性を踏まえた「この機会に利用したい!」「この機会に利用すべき!」といった動機付けが叶う施策の実施が必要。

10)Webのセッション数(訪問数)

 サジェストワード踏まえたwebサイトテキストの実現や更新、顧客にとって役に立つ情報の提供、SNS等による興味喚起の実現によるwebサイトへの流入等々。

11)Webを介した来店行動率

 サジェストワード踏まえたwebサイトテキストの実現や更新、顧客にとって役に立つ情報の提供、SNS等による興味喚起の実現によるwebサイトへの流入等々に加え、希少性・限定性・即時性・利便性を踏まえた「この機会に利用したい!」「この機会に利用すべき!」といった動機付けが叶う施策の実施が必要。

3.売上に効くマーケティング施策の参考記事

以下に、先述の策を講じるのに必要な手法、方法、手順、コツ等々の「まとめ」のURLを掲載しておきます。必要に応じて、選んで御覧いただくか、例えばPOPの作成方法について知りたければ「POP 作成方法 久保正英」、チラシ作成方法について知りたければ「チラシ 作成方法 久保正英」、メニュー開発について知りたければ「メニュー開発方法 久保正英」等々をGoogleで検索すると近道です。

⇒販売促進や集客策に役立つ記事はこちらをクリック

⇒メニュー開発に役立つ記事はこちらをクリック

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久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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