集客や販促はネガティブ発想お客様を理解すると成功に繋がりやすい

支援先の菓子メーカーのマーケティング担当者が商品開発会議で発した言葉を2つ紹介します。
「このフレーバーは日本初なので、それなりに注目されると思います・・」
「1度手に取って食べていただければ、きっとリピートしてくれるはずです・・」

また、別の支援先のカフェチェーンの商品開発の担当者が、新メニュー案の社内試食会で発した言葉を1つ紹介します。
「ボリュームも女性向けですし、何よりカラフルで、当店の顧客層の20~30歳台の女性に受け入れられると思います・・」

事例を2つ紹介したのですが、何かお気づきでしょうか。

それは、世間で言うところの「プロダクト・アウト」的な発言の内容だと言いうことです。よく、「顧客目線で」「マーケットイン発想で」といった言葉を大事にされる方ほど、このような言葉使いが多いことに気付きます。

この2つの事例の共通点の発想を整理すると、下記のようになります。

*しっかり練りに練って、商品化(サービス化)出来そうなので、きっとお客様に受け入れてもらえる(売れる)はず

何だかポジティブ発想で、すべてを片付けてしまおうとします。しかしながら、これは大間違いです。

何故なら、通常の「ほとんど」の消費者(私たち)は、あらゆるモノやコトを、ネガティブに(大きな壁を作って)、判断することから購買検討することの方が通常です。

例えば、車検時にディーラーで「大幅値引きキャンペーン中なので、新車を紹介させてください」と言われても、消費者の気持ちは車検なのですから、「わざわざ新車購入しなくても、今の車で事足りているしね」と壁を作ることでしょう。

例えば、女性友達同士で、食事した外食先の飲食店で、レジで御精算時に「クリスマスディナーの早期予約特典」を案内されたとしても、消費者の気持ちとしては「2ケ月も先のこと、まだわからないよ」「今年のクリスマス、週中で仕事で、無理ですね」となることでしょう。

従って、そもそも、ネガティブに消費者は反応するものだ!という前提で、顧客とのコミュニケーションアプローチを考えておくことの方が重要だと言うことです。

言葉を言い換えると「集客策や販促策は、ネガティブ発想な消費者を、ポジティブな発想に向かわせる一連の取組み」と言えます。

久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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