飲食業、食品製造業、農業者の売上獲得支援をしている中小企業診断士の久保正英です。
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ここに来て、感染症が大爆発する中、様々な反対意見を押し切って開催に漕ぎつけたフジロックを題材に、そこからの学びを記しておきたいと思います。

関東圏を中心に緊急事態宣言が発令され、開催地の新潟県や湯沢町等も、県外往来を控えるようアナウンスしている中での開催。
私は、仕事でどうしても,準備(設営)、開催初日に行かなければならず、見届けた中での所感として、読んでいただければ。
否定もしないですし、肯定もしませんが、1出店者の支援という立場から、このイベント全体を俯瞰してみました。
■開催までの学びと所感
まず開催に漕ぎつけた背景として、新潟県、湯沢町の両者と、フジロック主催者が念密なコミュニケーション、念密なネゴシエーションがあったことに着目しなければなりません。
湯沢町等のホームページでの町長発信の内容を読んでいただいても理解できるとおり、「どうやったら出来るか?」というコミュニケーションが主催側とあったということです。国内の屋外音楽イベント等が軒並み、中止や延期に追い込まれる中にあって、いろいろな意見はあるようですが、主催者側は、専門家の意見を全て受け入れるとして、準備にあたった点が評価に値します。
例えば、出店者やアーティストは、開催1週間前に全員PCR検査を行い、且つ会場入り当日は、抗原検査で陰性で、体温が健全でなければ入口から先には入れないという徹底ぶり。来場者には抗原検査を義務付けており、入場時、実施を確認できない方には別室で、実施し、陰性の方のみが入場できるという判断。

ここから学べることは、イベント主催者のメッセージ性が重要ということでしょうか。今回の場合は、陽性者は受け入れないという徹底したメッセージが、強烈に浮かび上がります。
■設営や準備中の学びと所感
主催者側のメッセージは、強烈に出店者や設営業者には伝わっており、暑い中であっても、必要以上の声を出さず、マスク着用は当たり前で、絶対に陽性者は出さないと見て取れる厳格な雰囲気であったと思います。
無論、マスクをとる時もありますが、喫煙者の喫煙の時、食事の時、飲料摂取の時といった具合で、種々のイベントの現場と比較すると、何度も言いますが「厳格な場」であったと言えます。














ここで感じる学びや所感は、主催者が絶対に罹患者を出さない、受け入れないという厳格なメッセージであり、現場の出店者や設営者においても、それが踏襲されていたと肌身に感じたものです。
マスクを取る際も、周りに配慮する等、逆にとっていれば、白い目にさらされるような厳格な雰囲気です。
■開催初日の学びと所感
まずは、開催初日の写真をいくつか掲載しますので、御覧ください。










まず、思うのは、会場がとにかく広いということです。会場の端から入口まで最短ルートを選んでも約1時間は要するでしょう。
屋内と違い、屋外と言うところも、イベントの3密対策としてみれば、有利に働くような気がしますので、屋外イベントとしての3蜜は、相応に機能しているように思います。主催側のメッセージも「しつこいくらい徹底」していて、アーティストからも足元の印を目途に、ソーシャルディスタンスの働きかけをお願いするし、マスクの着用、声を出さないこと、これらも徹底的に「念には念」を、観客に働きかけています。スタッフからはもちろんですが。
また、入場口で酒類の持ち込みを断わるということで、荷物検査までしていますので、本当にお酒を飲んでいる人は、いない模様です。場内にはノンアルコールビールはありますので、そちらはOKでした。
種々のSNSを見ていますと、フジロックを偏向して俯瞰し投稿したいとする方が大勢いられるようで、公平に見る立場として、ビックリする場面を何度も目撃しましたが、わざわざ来場者がマスクを外すタイミングを待ち、写真を撮るなど、何とも悲しくなる状況にも出くわしました。
少なくとも入場者は、抗原検査で陰性の方のみということが担保されており、その上で、屋外としては異例なくらいの徹底ぶりですから、ここからクラスターが発生するということは考えられないと思います。
宿泊先の方や、会場周辺の飲食店で食事をした時も、その徹底したメッセージは伝わっているようで、不安はあれど協力的な側面も多々見ました。無論、不安が優先し、否定的な方もいらっしゃいます。
開催初日からの学びと所感は、罹患者を入場させない、罹患者を出さないという徹底した想いが、会場全体にあり、来場した方も例年と異なり、日本人が多いこともあって、性善説で管理できるのだなと感心させられたものです。
本当に真面目にソーシャルディスタンス等の対策を、意識して取られていることに感心しました。無論、著名なアーティストの際は、少々密な場所もありますが、大人な対応をされている方々の光景に感心したものです。
■最後に
プロ野球やプロサッカーは、入場者数を、収容人数の半分にして、観客を受け入れています。プロチームの運営としては、当然、そこが無いと事業が立ち行かないわけです。
この屋外フェスの主催者も、事業と捉えれば、同様のことが言えるでしょう。全国の屋外イベントが、諸々、中止や延期になる中、このイベントが実施されることには、ある意味、大きな学びがあるでしょう。
開催中だけでなく、開催後も、動向を注目していきたいと思うのです。
余談ですが、密集度なら、都内の満員電車、近年のキャンプブームにある週末のキャンプ場の方が、密です。
いろんな思惑が交錯するフジロック、いずれにしても、願うは、罹患者が出ないこと・・ですね。
久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。