今回、ご紹介するのは、5月にオープンしたばかりのパン屋さん。
神奈川県逗子市の「パンプレッソ」です。


スタートダッシュに成功し、創業計画で策定した売上や利益も申し分ない推移。



ここの成功要因は、小手先の集客策や販促策に頼っていないということ。
ポイントは以下の2点です。
・創業にあたり長く愛されるお店に必要な「存在価値」を明確にしたこと。
・その「存在価値」を記号にしたコンセプトストアを展開していること。
存在価値の発見には以下の論点を確認しました。
ステップ① 特定存在価値の発見(今回は交絡因子アプローチを採用)
今回利用した方法は、「見せかけの相関関係」の背後にある交絡因子の発見です。具体的には下図用のようなもので、種々の食品添加物と常用積算日数との関係です。

食品添加物が少ないから、毎日食べれると解せる傾向が見れますが、ここに因果関係が無いだろうと分析しました。
具体的には、不味ければ続かない、食品添加物以外の「健康への悪」イメージがあるものは、常用しないとしたのです。
結果、交絡因子として「健康な食生活を気遣っている」を見出し、次のような因果関係に整理しました。
健康な食生活を気遣っている人は、食品添加物等の「健康への悪」イメージのあるものは避ける傾向があり、そのような食品を意識的に購買する
以上のことから、交絡因子≒自店の「存在価値」と据えたのです。
ステップ② 一般的存在価値の発見
一般的存在価値を再掲しておきますが、以下になりますね。

この中から、主に以下を選択することになりました。
・社会課題
・学べる
ステップ③ 特定×一般による記号の決定
記号消費を誘発するコミュニケーションとして、記号は「毎日食べれる品質」とし、その視覚化(イラスト、POP説明、商品仕様・・etc)を店内外コミュニケーションとしました。
商品仕様で事例を言えば、「マーガリンでは無く、バターを使う」等々ですね。
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まだまだ、道半ばであり、コミュニケーション不足ですが(POP等)↓・・・

それだけ成長の伸びしろが大きいということです。楽しみなお店を支援できることに感謝です♪
久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。