個人や小規模の農家は、果物、野菜等々を栽培して販売する際に
こんな料理に!
こんな食べ方がある!
そのように言って、お客様に販売する方が多いです。
結果的に出来た野菜を、サラダに、煮物に、天ぷらに。
このように 多くの農家が提案販売されます。
それは、それで何ら問題無いのですが・・
しかしながら、そこが課題なのです。
、
本当に、その野菜が、提案する調理法に適しているのでしょうか?
あるいは、調理法に適しているように その野菜は完成されているのでしょうか?
個人や小規模農家の方の場合、
直で飲食店に納品したり、
個人向けの宅配を行ったりが多いと思います。
そのような方々こそ、
どういう料理で食べて欲しいのか?
どういう使われ方を飲食店にしてもらいたいのか?
そのように考えてから
栽培を試行錯誤すべきなのです。
逆に言うと、この思考で栽培された御野菜等は、他を圧倒する品質が実現できるとともに、
販促におけるPRについても、とても響くバリエーションを持つことになるのです。
つまり、農作物の商品開発が必要です。
それでは、我がシンプルべジの事例を踏まえて
農作物の商品開発の手順を紹介していきますね。
ここでは、飲食店に卸すことを目的に、開発する段取りを紹介していきます。
ステップ①:野菜の調理コンセプトの決定
取引したい飲食店、あるいは取引している飲食店の「売りのメニュー」を確認します。
あるいは、ご自身の御野菜がどのように調理されてほしいかを決定します。
例えば、シンプルベジの春菊は「サラダで食べて欲しい」「サラダで提供してくれる御店に卸したい」と決定しています。
ステップ②:調理コンセプトにマッチした野菜の機能性の検討と決定
ここは、ややこしいので、サラダに美味しい春菊を事例に紹介してしまいます。
ポイントは、調理した結果の料理の「食味や風味をイメージできる」ことがポイントです。
春菊をサラダとして提案するために「春菊に求める機能」は主に以下です。
⇒春菊らしい香りが必要
⇒茎や根元まで全部ざく切りで食べれる柔らかさ
⇒春菊独特の苦みや、えぐみが少ない状況
⇒見た目が春菊とわかりやすい形状
ステップ③:タネの選別と決定
どのような農家でも、最初は種を購入しますよね。
現在自家採取をしている農家も最初は購入であったはずです。
その際の購入の留意点と考えていただいたら結構です。
ポイントは最終的に提案したい料理に適する「野菜の機能性」を発揮できる形質や形状、風味に近づくであろうタネを選ぶことです。
例えば、サラダに美味しい春菊のタネ(種)を選ぶ際、大きく3分類から検討しました。それは小葉系春菊、中葉系春菊、大葉系春菊です。
春菊らしい香りが必要:香りは小葉系が適切、中葉系は香り弱い、大葉系は香りがほとんど無い
茎や根元まで全部ざく切りで食べれる柔らかさ:小葉系は筋張りがある、中葉、大葉系は栽培工夫で柔らかさ調整可能
春菊独特の苦みや、えぐみが少ない状況:大葉系は茎の中に要因である白綿が多くなる、中葉は栽培工夫で白綿減らせそう、小葉は白綿できない
見た目が春菊とわかりやすい形状:小葉系は人参の葉等々にも似ている、中葉系は一般的なイメージとして春菊らしい葉の形状、大葉は春菊らしくないと見る小h氏やも居る
大まかに言えば、以上のように検討し、最終的に中葉春菊を選択することにしたのです。
★自家採取する場合は。先の機能性を充足している 株を次年度以降、選抜して残しておき、花を咲かせ、そして見守りながら種を取ることになります。
ステップ④:試行錯誤の栽培による再現性の確立
ここからは、農家さんの腕の見せ所です。既成概念にとらわれず、栽培過程の様々なチャレンジをしてほしいです。
その機能を成し得えるための『試行錯誤』をするのです。
サラダに適した品質は、どのような栽培方法が良いのか、工夫を考え整理していきます。
つまり、栽培の中から自然を研究する。
大切なことは再現性の確立です。
・適する土壌を考える:キク科の雑草が多い土壌が良さそうだ・・
・柔らかい茎にするためには、白綿が茎の中に少ないようにするには:密植栽培が良さそうだ・・
・・・。。etc
自然を観察しながら、再現性があるように人為的に関わる(栽培)。
ここがポイントです。
商品化した後、あの時と風味が全然異なる・・では、原則的にはダメなのです。
シンプルべジでは、再現性の論点として例えば以下のような栽培管理があります。
すべては紹介できませんが、わかりやすい論点のみ。
ステップ⑤:機能性をPRした商談等の販促活動の実施
このように調理してほしい、このような機能があるので、調理はこのようにしてほしい、そのような商談等を実施するように心掛けましょう。
例えばシンプルべジは、下のようにビジュアルで、サラダに美味しい理由と伝えることもあります。
⇒サラダで美味しい理由として、茎の中に白綿が無い
(右2つがある。左2つ無い状態で、左がサラダに適していて苦味、えぐ味なし)
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PS,コロナ憎し・・
支援先の皆さん
がんばっていきましょうー!
久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。