同一労働同一賃金義務化の勘所(小規模食品事業者向け)

2020年4月1日より、中小企業にも、正規社員と非正規社員の不合理な待遇差は認められなくなるというものです。これを同一労働同一賃金と言います。

仕事を共にする弁護士や社労士の先生の指導の場に同席させていただき、細かい論点はあるものの、大きく、以下の1点に留意すれば、良いのだなという見解を得ました。紹介しておきます。

■一律に分け隔ては無くすこと
 支援先食品事業者でも、多かった事例が、賞与や退職金について、正規社員には有り、非正規社員には無しといった一律なルールを設けているケース。これは、どんな理由を用意するにしても、無理があるでしょうから、即刻止める(あるいは見直す)べきです。

 他には、直接的賃金に関わらなくても、「間接的に賃金と見なせる事案」については注意が必要です。例えば、ありがちな論点は以下です。

・夏季休暇や冬季休暇が正規社員にあって非正規社員に無い

・扶養手当が正規社員にあって非正規社員に無い

・自社商品の持ち帰りを正規社員はOKで、非正規社員はNG

・休憩時間を正規社員を優先に取得させ、その後、非正規社員といった暗黙のルールがある

・正規社員は、制服を会社が委託業者にクリーニング回しているのに、非正規社員は一律に、自宅で自腹で選択を指示している。

・・・・etc

 要するに、業務の内容、業務の責任の程度、職務の内容、配置の変更の範囲等々、現状を、しっかり確認いただき、差があるのであれば、その差の理由を、明確に説明できるのか?

 説明が、社会通念上、明確で無い論点は、即、見直しや改善が必要になります。4月1日より開始です。急ぎましょう。

 なお、ややこしくてわかりづらい方は、同一労働同一賃金同一条件といったように、同一労働同一賃金の後ろ側に、同一条件という言葉を添えて考えるよ良いですね。

久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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