今年から通年になった種々の補助金。
おかげさまで、当事務所も通常支援プラスαで大変です。
スタッフの坂元先生もなんだか疲れ模様。
さて、何で添削で疲れるのかな・・
そのあたりで想うところがあるので書いてみます。
それは、申請書を作成する事業者の皆さんが、
申請書を審査する「審査員」の気持ちが理解できないからでは無いでしょうか。
そのため、「ただ 実施したいことを書く」
「ただ、購入したいものを書く」
それがベースで、必要に迫られて、マスを埋めているだけ・・
それを添削する立場としては、無論、これじゃ「不採択」ですよ・・
そう、感じるので、そのあたりをどうしたものか・・と手伝うわけで・・
その気苦労が疲れを誘発している気がします♪
さて、補助金申請を中心に述べていきますが、
これは融資申請の際の事業計画書や申込書、
あるいは、小規模な株式会社をはじめるにあたり、出資者を募るものなら、
その際のプレゼンテーション資料にもいても同様の見解です。
必要に迫られて、マスを埋めているだけ・・
これでは、認めてくれるはずもありません。
では、何が大事かと言いますと?
審査する方や評価する方などが、「どのように書いてあれば喜ぶか?」
これを最初に検討し、決めてから記述を はじめると良いですよ。
これは、私がこれまで商品やメニュー開発、種々の販路開拓で最重要な「記号消費の誘発」と通づる概念です。
記号消費とは何ぞや?と思われる方は、ぜひ、過去の記事を探してみてくださいね。
さて、
今回は、補助金の話で進めましょう♪
記号化の視点で、これだけは抑えて欲しい!
そのことだけを 今回はお伝えします。
それは、以下の2点でしょう。
1.審査員が審査しやすいように記述
2.審査員が納得するように記述
まず、1ですが、例えば小規模事業者持続化補助金の申請書をご覧ください。
これは小規模事業者持続化補助金の「一般型」から抜粋したものですが、
例えば「顧客ニーズと市場の動向」とあります。
審査員は、顧客ニーズと市場の動向が「ちゃんと書いているかな?」と探すだろうな・・
そのように推察します。
ですから、この場合、このマスには、オウム返しで、
わざわざタイトル出しをして書いてあげれば良いのです。
1)顧客ニーズについて
******************************
2)市場の動向について
****************************
以上のような感じです。
ポイントは聞かれたことに真摯に応える・・
つまりオウム返しがオススメです。
「自社や自社の提供する商品やサービスの強み」なら、
1)自社の強みについて
*************************
2)提供する商品(メニュー)の強みについて
**************************************
3)提供するサービスの強みについて
****************************************
例えば、うちは製造業だから、サービスなんてないよ・・と口にする経営者の方がいますが、
そんなことは無いはずです。
製造業でも例えば・・
・顧客のオーダーの意図を汲み取るまで何度でもミーティングの場を設ける
このように書けば、充分、サービスです。
最後に2の審査員が納得するように記述は・・
ひと言で言うとリップサービスです。
主な論点は以下の2つでしょう・・
・設備投資の額を充分に上回る目標の設定
・論理性
まず、設備投資の額を充分に上回る目標の設定とは、
例えば小規模事業者持続化補助金で、30万円の広告を打つのなら、30万円を目標売上としないこと・・です。
そうですね、最低でも掛かった費用の3倍の売上目標は掲げたいところ。
次に論理性です。
例えば小規模事業者持続化補助金なら、
顧客ニーズ:webで買えると便利と常々、顧客から要望がある
補助事業計画書で実施する内容:webショッピングサイトを構築
そう、このような関係性です。
さて、リップサービスというのは、どういうことかと言いますと
要するに、あまり真面目に捉え過ぎず、少々大袈裟にPRする・・
そのような視点を言います。
例えば、30万円の広告なら、本音では60万円(2倍)くらいの売上かな・・と思うのであれば
3倍(90万円)、4倍(120万円)、5倍(150万円)・・
このように 物怖じ気なく、大袈裟にPRすることです。
そう、これがつまり、リップサービス♪
審査員は、費用対効果あるな・・
そのように 審査してくれることでしょう(笑)
===まとめます・・===
審査する方が期待する(喜ぶ)視点を検討します。
それを 目立つように 書いてあげるのです。
ここで言うところの、
期待する(喜ぶ)というものが、
マーケティングで当方が説明に使う「記号化」と言う概念です。
久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。