飲食・食品製造業の売上獲得支援をしている久保正英です。
本日も数あるブログの中から、御縁をいただき、嬉しく思います。
ありがとうございます。
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今回も、支援先で多々ある場面の話から。
食品製造業の場合、マーケティングや商品開発を司る部門の会議に出ると・・
「では、多数決を取ります・・」
そのように、上市する商品を決定していく場面に多々、遭遇します。
飲食チェーンにおいても、メニュー開発の現場の最終局面で必ずと言っても語弊が無いほど、
「では、多数決を取ります・・」
ただ、ここで留意していただきたいのは、
その多数決で商品やメニューを決める工程は適切ですか?
事例を交えて紹介していきますね。
今、試作①、試作②、試作③の3つが最終選考まで残っているとします。
そんな中、最終的に市場に出す予算が持てるのは1つだったとしましょう。
仮に、商品開発部には、7人のスタッフが居て、
このメンバーに商品化したい順位を1から3位で「こっそり」順序付けさせてみたのが下記の表になったとします。
このような背景があるにも関わらず、仮に多数決で、度の試作品を市場に出すかを聞くと、
結果的に、下記の黄色の部分のようになり、試作①を市場に送り出すと決定してしまうことでしょう。
試作①は、6人中3人が1番に商品化したいと思っているのですから、多数決で、どれかに手を挙げて?とすれば
結果は仕方ないことです。
しかしながら、ここで重要なのは、試作②と試作③は実際のところ、どうなのか?ということです。
それを考えるには、択一で質問していくことが重要になります。
「試作①と試作②のいずれを商品化した方が良いと思いますか?」
この場合、「こっそり」回答で判断すると、以下の黄色の部分のようになり、
試作②とすべきということになります。
つまり、試作②の方が試作①より順位が高い回答が4人いて、試作①の3人より多いからですね・・
また、「試作①と試作③のいずれを商品化した方が良いと思いますか?」の場合
「こっそり」回答で判断すると、以下の黄色の部分のようになり、
試作③とすべきということになります。
つまり、試作③の方が試作①より順位が高い回答が4人いて、試作①の3人より多いからですね・・
いかがですか?
このように、仮に試作①がそのまま商品化で進む場合、
試作①より試作②、試作①より試作③の方が多勢であるにも関わらず
その意見は無視されることになります。
商品開発やメニュー開発の最終局面では、
このような視点に留意し、適切な選択が成されるように進めなければ、
仮に上市したものが売れない場合、
「ほれ、見たことか・・」という悪い空気が社内に充満するものです。
慎重に選択していきたいものですね。
久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。
講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。
2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。
近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。
主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。