使えない事業計画書を日々管理に使える事業計画書に変える作り方(売上・売価計画まで)

飲食業、食品製造業、農業者の売上獲得支援をしている中小企業診断士の久保正英です。

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今回は、事業計画書の作成の仕方について売上・売価計画について説明します。

前回は費用(総原価・原単位原価)計画でした ⇒ こちらをクリック

今回説明している内容は、小規模や中小の飲食業、農業、食品製造業向けの内容です。悪しからず。

STEP③ 直近の決算情報から売上構造を把握する

まずは費用の時と同様に、決算書を直近2期分ほど用意しましょう。それ以前だと現在の事業構造から乖離している可能性が高いですので、直近にこだわります。1期のみですと、特殊要因(たまたまスポットで沢山販売できた等々)が働きますので、2期、もしくは3期くらいが適切です。

支援先の実例の原価構造の数字を下記に示します。

この表を見ながら説明していきます。

この事業者(農業)は前回に続き、年間約100トンを製造販売(栽培出荷)しています。主たる取引先は「あ」という食品スーパーチェーンで、それ以外の顧客を「他」としています。「あ」と「他」は概ね5割ずつの販売量なので、直近2期の売上を合算した上で按分しています。「あ」は現在200円で卸しています(売価)。「他」は平均売価140円です。あとは、売上それぞれで換算すれば、「あ」のトン当たり売価、kgあたり売価、「他」のトン当たり売価、kgあたり売価がわかります。200円と140円を販売量で加重平均すれば、直近2期分の平均売価がキロ当たり170円であることがわかります。

以上が現在の売上構造です。

STEP④ 今後の売上構造の見通しを数字にする

次は、将来どうありたいか?を簡便な表にして整理します。この農業者の場合、製造販売する量(栽培出荷)を現在より1.2倍の120トンと計画しています。また取引先「あ」を2割増しの70%の売上構成比まで伸ばしたいと考えています。

STEP⑤ 今後の売上構造の見通しを踏まえ、ステップ③の数字を整理する

STEP④が決まれば、あとは直近2期分の売上構造の表をステップ③のように整理していきます。ポイントを以下の、この事業者の例で説明します。

全体の売上は1.2倍にすること、「あ」の構成比を70%とすること。結果、直近2期分の売上傾向に、今後の見通しを反映した売上構造が見える化できます。

つまり、キロあたり182円で19,602,001円の売上目標が妥当だとなります。ただし、注意しなければいけないのは、単純に売上を1.2倍にしたとしても、目標の生産量は111トン止まりであり、120トンには届いていないということです。

なぜ、1.2倍に売上を伸ばして計算したのに、20トン増えていないか?

ここは、売上構成比が変わったからです。今まで140円で売っていたものの2割が200円になるわけですから、その分、キロ当たりの出荷量(製造販売量)が減るからです。

STEP⑥ あるべき売上と費用(総原価)を整理する

以上までのステップでわかったことは何でしょう。

それは、今後120トン製造販売(栽培出荷)するにあたり、事業全体で売価は182円であるべきということ、さらには、前回の費用(営業利益までの)構造の整理から、原単価は175.40円であるべきということです。

従って120トン製造販売(栽培出荷)時の理想の売上と営業利益の構造は次のようになります。

以上から、事業全体で表現すると下表のようになるでしょう。

STEP⑦ 日々の取組で利用する考え方

このようなアプローチで事業計画を策定していくと、単位当たりで販売すべき売価と、単位当たりで製造管理しなければならない費用が明確になります。

この事例の事業者の場合、キロ当たり182円以上で販売できていれば、年間売上目標の21,840,000円の実現が叶います。また栽培や販売に関わる費用は、キロ当たり175.40円以下で実現できていれば、年間の費用(売上原価、販売管理費)21,048,000円の実現が叶うということです。

従って、2回にかけて紹介してきた管理事業計画書を作成すれば、営業マンは、都度販売する売価の管理意識が芽生えますし、管理側は、費用の意識が芽生えるというものです。

久保 正英(中小企業診断士・マーケティングコンサルタント)

加工食品事業者や飲食店等の消費者向け商売の「マーケティング」戦略立案と実行支援に日々取り組む。 支援する事業者のスキルや、置かれている事業環境を踏まえた「実現性の高い」支援が好評である。

講演やセミナー、執筆においては、「出来ることから出来るだけ実行」をモットーに、実効性の高い内容を傾聴、傾読できる。

2016年には、記号消費論を活用した「集客の手法論」を広く世間に公開し、その内容が認められ「中小企業庁長官賞」を受賞した。

近年は、存在価値論を支援研究テーマに掲げる一方、農林水産省や環境省の委員を2013年以降現在まで歴任しており、飲食業、食品製造業、農業、水産業といった業種の政策への提言も積極的に行っている。

主な著書に『飲・食企業の的を外さない商品開発~ニーズ発掘のモノサシは環境と健康(カナリア書房)』 『「お客様が応援したくなる飲食店」になる7つのステップ (DO BOOKS・同文館出版)』がある。

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